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テクノロジーと土埃、そしてオーストラリア・ルールのフットボール
2008年3月13日(木)パナソニック・トヨタ・レーシングの新たなドライバーコンビ、ヤルノ・トゥルーリとティモ・グロックは、アルバートパークを舞台に開催されるオーストラリアGP開幕を前に、早くもメルボルンで全開走行を見せてくれました。 例年、F1シーズンの開幕直前の2~3日はチームにとって非常に忙しい日々になります。サーキットではメカニックたちが全てをミスなく準備するため懸命に仕事を進めていますし、ドライバーの方も地元メディアや国際メディアの対応に追われます。 新しくトヨタのドライバーとなったティモですが、今週の彼の仕事はまず月曜日にいつもとは少し違うタイプのクルマを走らせることから始まりました。この日、ドイツ出身で25歳になるティモに与えられた仕事は、ラリーカーでの腕試しでした。一緒に走ってくれたのは、3度のオーストラリア・ラリーチャンピオンに輝くニール・ベーツです。 会場となったのはメルボルンの西に位置するウェリビーパークの特設コース。素晴らしいスーパー2000オーリスを初めて体験する前に、ティモにはまずラリーのエキスパートから幾つかアドバイスがありました。 ビクトリア地方の土埃と厳しい陽射しにも関わらず、ティモは夢中になってオーリスをドライブ。そしてこの日の走行が公式に終わった後も、彼はとにかく楽しむためだけに予定外の周回を続けました。彼は天性のテクニックでクルマを横滑りさせながら素晴らしい走りを披露し、それを見守っていた目の肥えたラリーファンに強烈な印象を与えてくれました。 ティモは火曜日にもまた別の新車をドライブしました。今度はスーパーチャージャー付きの新型TRDハイラックスです。これは今週彼が使用するカンパニーカーの役目も果たします。ティモはメルボルン郊外のアルトナにあるトヨタ・レーシング・デベロップメント(TRD)の工場とトヨタ・オーストラリアのパフォーマンス・ビークル部門を訪問しました。 強力な馬力を誇るTRDハイラックスがTRDのエンジニアによってどのようにしてアップグレードされたのか、その秘密を教えてもらったティモは、同時にこのクルマの公式なラインオフ式典(工場の生産ラインから完成車が出て来るのを祝う式典)にも参加しました。 一方で水曜日に仕事をしたのがヤルノです。かつてカートの世界チャンピオンだったヤルノは、そのルーツに戻り、開幕戦が行われるアルバートパークサーキットの近くに新設されたカートコースに赴きました。自らの“トゥルーリ・カート”をドライブしたヤルノは、トヨタ・レパード・シリーズに参戦する新進気鋭のオーストラリア人ドライバーたちにいくつか専門的なアドバイスを送っていました。 トヨタ・レパード・シリーズの勝者であるデビッド・サラには、選手権で優勝したご褒美としてヤルノからトヨタ・ヤリスが贈呈されました。その後ヤルノはヤラ川にあるレストランに移動し、オーストラリアのメディアの数名を相手に、ワインの複雑な世界について“短期集中講座”を行いました。 時を同じくして、ティモはオーストラリアルールのフットボールの基本を見せてもらっていました。教えてくれたのは地元の人気チームでナショナルカップを保持しているセント・キルダです。もちろん、数日後にトヨタのグランプリドライバーとしてのデビューを控えたティモですから、オーストラリアンフットボールの売りとも言える荒々しいアクションからは距離を置いていました。それでもAFLシーズンの開幕を数日後に控えたセント・キルダのスター、マット・マグワイア選手が、会場となったムーラビン・オーバル競技場でその基本を見せてくれたのです。 さあ、次に控えているのはヤルノとティモがもっと慣れ親しんでいる舞台です。金曜日のオーストラリアGPフリー走行が始まれば、2人はチームの新車、TF108のコックピットに戻ります! |