ヤルノが語るモナコGP
●ヤルノ、あなたもモナコGPを特別なレースだと考えていますか?
「イエスでもありノーでもある。2004年にモナコで勝ったことは私のキャリアのハイライトとなっているし、モンテカルロにはいつも特別な雰囲気があるからね。たくさんのヨット、グラマラスな雰囲気、そしてこの場所自体の歴史の重みもある。モナコGPの週末は常に“気持ちが良くなる”要素であふれているが、いっぽうではいつも通りにミーティングやテクニカルブリーフィングをこなさなければならないし、他のレースと同じようにPRやマーケティングのための仕事もある。そういった仕事には、いつもと同じようにプロフェッショナルな態度で臨まなければならない」
●モンテカルロでは例年、特に素晴らしい走りをしているように思いますが、これはなぜなのでしょう?
「“クルマ以上に”とは言わなくとも、クルマと同じくらいドライバーの貢献が重要になるサーキットが好きなんだ。常にいいクルマが必要なのは当然だけど、でもモンテカルロというのはドライバーが本当の意味で結果を左右する、そんな場所だと思う」
●モナコでは特にどのような資質が必要なのでしょう?
「一番重要な要素はふたつあると思う。それは正確さと集中力だ。ここではミスが許されるスペースなんてまったくないからね。ガードレールやタイヤバリアにぶつかってしまいそうな場所はいくつもあるし、些細なミスをしただけでレースが終わりになることもある。モナコGPは大変な挑戦だけど、でも私はこれを心から楽しんでいるだ。年間カレンダーの中で平均速度が最も遅いサーキットだけど、コックピットにいるとそういった印象は皆無だ。周囲の建物がまさにすぐそこにあるからね。観客にとってもこれは同じだ。視覚的に(クルマの速さの)比較の対象になる物がすくない通常のサーキットで見ているときよりも、遥かに刺激的なスピード感覚を味わえるんだ」
●2004年の優勝について、どんなことが記憶に残っていますか?
「私にとってあれは素晴らしい一日だったし、これからも懐かしい大切な思い出になるだろう。ドライバーにとってグランプリ初優勝は特別なことだが、それをモナコで達成できたなんて本当に最高だった。また、ポールポジションを獲得してそのままレースを引っ張ったあの勝ち方も、私にとっては大いに満足がいくものだった。モナコはあらゆるドライバーにとって特別な意味を持っていると思うし、あの日は私にとってとにかくこれ以上いくらい素晴らしい日だったよ。私はいつだって自信を持っていたし、自分がレースで勝てるということもわかっていたけど、でもそれを実際に証明できたのはうれしかったね!」
●他のレースよりもモナコでは予選がさらに重要なのでしょうか?
「その通り。ここでは追い越しが難しいからね。モナコとハンガリーの2レースは予選が特に重要になる場所だ。モナコではたとえ前を走るクルマより3~4秒速かったとしても、相手がミスしてくれない限り、追い越すのはほぼ不可能と言っていい。だからモナコではレース結果が予選の順位と同じというドライバーをよく目にすることになる。レースでクルマのポテンシャルを最大限に引き出したいのなら、予選で最前列かそれに近い位置を確保することが必須になる」
●モナコ王室の面々と対面するのは特別な体験でしたか?
「モナコの表彰台に上がったときは信じられないくらい最高の気持ちだったし、そこにいたロイヤルファミリーの存在やレース後のディナーはレースの魅力に更に特別なものを付け加えてくれた。あれはモナコGPというレースの歴史と格式を実感した瞬間だったね」