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中国GP レースの舞台裏
2008年10月19日(日)

●レースの舞台裏

パナソニック・トヨタ・レーシングにおける1シーズン目が終わりに近づきつつある中、長かったアジアラウンドの最後ということで、ティモはレースチームの面々を上海での夕食に連れ出しました。そのティモは、ヨーロッパの食事がどんな味だったのかを思い出すべく自宅へ戻ることを楽しみにしていると認めていました。またティモは、トヨタのピットの反対側に「ティモ・グロック、ワンストップの魅力的な奴!」と書かれている横断幕を見つけ、面白がっていました。ただしそれが褒め言葉なのか、あるいは単に予選13番手だった彼のレース戦略を地元のファンが推測しているだけなのか、それは本人にもはっきりとは分かりませんでした!

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース

中国GPではマクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンが予選で今季7回目のポールポジションを獲得し、また、レースでも今季5勝目を達成するなど、最後まで圧倒的な強さを見せました。この勝利により、11月2日のフェリペ・マッサにとっては母国レースとなるブラジルGPでは、ライバル勢の結果に関わらず、ハミルトンはとにかく5位に入ればワールドタイトルを手にできることになりました。

チャンピオンの座を譲ることになったキミ・ライコネンは、上海の予選でフロントローを獲得。レースでもほとんどの時間を2位で周回していましたが、終盤になるとチームメートであるフェリペ・マッサのタイトル獲得を優位にすべく、その順位を彼に明け渡しました。「チームが私に何を期待しているのかは分かっているし、あの状況では普通のことだ」と話すフィンランド出身のライコネン。昨年、彼自身がタイトル獲得を目指していた際にはマッサから手助けされています。

BMWザウバーのドライバー、ロバート・クビサはチームメートのニック・ハイドフェルドの後ろの6位に終わり、この結果、タイトル獲得の望みは中国で潰えることとなりました。クビサは予選トップ10入りを逃しましたが、これは今季わずか2度目のことでした。また、レースでチームの戦いの先頭に立ったのは、デヴィッド・クルサードを邪魔したためグリッドペナルティを受けたニック・ハイドフェルドの方でした。

ルノーのネルソン・ピケJrはフェルナンド・アロンソの4位を後方から支援し、最後は彼自身がトヨタのティモから15秒遅れの8位でフィニッシュ。これにより今季5度目となるポイント獲得を果たしました。ただしルノーは2度のチャンピオンに輝いたアロンソともども来季のドライバーを確定しておらず、ブラジル出身のピケJrのシートもまだ決まっていません。

●レースリポート

2008年FIA F1世界選手権第17戦中国GPで、パナソニック・トヨタ・レーシングのティモ・グロックは闘争心溢れる走りで7位に入賞し、2ポイント獲得しました。

フリー走行と予選ではクルマの良好なバランスを見つけるのに苦労したティモでしたが、レースではワンストップ作戦を最大限に生かしました。予選は13番手でしたがマーク・ウェバーがグリッド降格となったため12番手からスタートしました。「ワンストップを選択したドライバーは4人だけだったと思う」と説明するティモ。「最初はクルマが重く、タイヤの熱入れが難しかったため、非常に厳しい状況だった。全56周のレースの32周目まで走り続け、そこで燃料補給をし、オプションタイヤに交換した。最初から最後までできる限りハードにプッシュし続けたし、ゴールでは2台のBMWからもそれ程離されていなかった。もし第1スティントでニック・ハイドフェルドの後ろに捕まっていなかったら、ロバート・クビサの前でフィニッシュできていたかもしれない。でもまた2ポイント獲れたのは気分がいいね」

チームメートのヤルノ・トゥルーリはこの週末を通じてティモよりもTF108の感触に満足していました。ウェバーとハイドフェルドにペナルティが科された結果、彼は7番グリッドからのスタートとなりました。ところが残念なことに彼はスタート直後の第1コーナーでトロロッソのセバスチャン・ボーデと接触し、コースアウト。クルマのボディワークの右側を損傷してしまいました。

ヤルノはこう話しています。「スタートしてすぐに私はセバスチャン・ベッテルと横並びになっていたが、彼がイン側の走行ラインを確保していたのでこちらはあきらめざるを得なかった。その後、突然セバスチャン・ボーデが私の後ろから私のクルマの右側に当たってきて、その部分を壊してしまった。彼は今年のスパでも既に一度こうしたことをやっているから、とてもフラストレーションを感じる。あの時も彼は私のレースを1コーナーで台無しにしてしまった。更にポイントを獲得できるチャンスが十分にあっただけに、あれ以上走行を続けられなかったのは残念だった」

TMG会長兼チーム代表の山科忠はこう付け加えています。「今日はヤルノが他車のせいでレースからリタイヤとなり、最悪のスタートとなった。彼はモチベーションが非常に高かったし、十分にトップ6入りできたはずだ。だがその代わりに彼はボディワークや空力パーツなどクルマの右側のほとんどに損傷を被ってしまったため、走行継続が不可能となってしまった。ティモは素晴らしい仕事をした。特にフリー走行と予選の彼の状況を考えると尚更だ。彼は見事なドライブを見せてくれたし、またワンストップ作戦も適確だった」