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ブラジルGP レースの舞台裏
2008年11月2日(日)●レースの舞台裏 「さようなら、リチャード」 ブラジルGPはチームマネージャーのリチャード・クレーガンにとって、パナソニック・トヨタ・レーシングにおける最後のレースとなりました。リチャードは1984年にラリーのメカニックとしてトヨタ入りし、最初のイベントであるサファリラリーで優勝しました。ですがその彼は11月終わりにチームを去り、新たにチームマネージャーとしてアブダビ・モータースポーツ・マネージメントに加わることになっています。そこでレースチームはこの機会を利用して世界中のメディアの前でリチャードに「さようなら」を伝えることにしました。彼には特別にあつらえたアルパインスターのレーススーツが贈呈され、またチームの面々が集合写真のために集まりました。彼は11月の終わりまでトヨタ・モータースポーツに留まりますので、レースチーム以外の面々には彼にお別れの挨拶をするための時間が十分に残されています。また、リチャードの同僚のチームマネージャー達にとっても、今回が彼にお別れを言う最後の機会となったため、彼にサイン入りのシャツをプレゼントしていました。 ●ライバルチーム周辺で見つけたニュース ブラジルGPの最終周で信じられないようなバトルを繰り広げた末、ルイス・ハミルトンが世界選手権のドライバーズタイトルを獲得しました。フェラーリのフェリペ・マッサがブラジルGPをトップでゴールした瞬間には、彼がタイトルを手にしたかと思われたのですが、しかし最終コーナーでティモ・グロックをかわした2台のうちの1台がルイス・ハミルトンだったのです。これによりハミルトンが5位となり、結果、彼がF1史上最年少のワールドチャンピオンとなりました。マッサとのポイント差はわずか1ポイントでした。一方のフェラーリもコンストラクターズ選手権のタイトルを獲得しましたので、ある程度の慰めにはなったことでしょう。 ●レースリポート 2008年FIA F1世界選手権第18戦ブラジルGPでは様々な出来事が起こりましたが、そんな中、パナソニック・トヨタ・レーシングは2台そろってポイントを獲得し、ポジティブなシーズンを締めくくりました。 まず、フォーメーションラップの直前に降り出した雨のため、レースのスタートが10分遅れとなりました。そこでチームは2台のクルマのタイヤをブリヂストン・ポテンザのウェットタイヤに変更しました。 ヤルノ・トゥルーリは2番手グリッドから見事なスタートを決め、1コーナーでもその順位を守りました。一方のティモ・グロックは10番手スタートから一つ順位を上げました。 車列の後方で起こったアクシデントのため1周目にセーフティーカーが入りましたが、その3周後にはレース再開となりました。この時もトヨタの2台は順位を守っていましたが、コースが次第にドライへと変わっていくと、ティモはわずか8周目にピットインしタイヤを交換。ヤルノもしばらくの間トップを走りましたが11周目にドライタイヤに交換しました。 残念なことにこの時のピットストップが僅かに遅れ、このためヤルノはタイムと順位を失うことになりました。また、フォースインディアのジャンカルロ・フィジケラを20周目にかわしたティモは6位に浮上しましたが、ヤルノの方は同じようにはいきませんでした。ヤルノはセバスチャン・ボーデを追い越しましたが、フィジケラはかなりのプレッシャーにもめげず、先行を許してくれませんでした。 ティモは36周目に最後のピットストップを行い、タイヤ交換と燃料補給を終えました。その7周後にはヤルノも同じく最後のピットストップを行っています。これでティモが7位、ヤルノが8位となり、このままレースが終わるかと思われたのですが、残り6周となった時点で雨が振り出し、状況が変わります。 雨が激しくなる中、二人は共にドライタイヤのままコース上に留まり、当初は順位を上げていきました。しかしやがて路面が滑りやすくなり、走行が難しい状況になっていきます。ティモは最終周を4位で走行していましたが、最終コーナーで2つ順位を落としてしまいます。これによりティモが6位、ヤルノが8位となりました。ティモはこう話しています。 「レースの最後に雨が激しくなって来た際、ドライタイヤを履いていたが、最終周はそれではもう無理だった。できる限りの力を尽くして戦ったが、クルマをコース上に留めておくことすら難しかった。それで最終周の最後で順位を落としてしまった。トップ6でフィニッシュできたのは上々の結果と言える。週末の滑り出しではクルマのバランスに苦しんでいただけにね。だが4位まであと少しだっただけに、ちょっとがっかりしている」 ヤルノがこう続けました。「残念ながら私はかなり遅いフィジケラのクルマに捕まってしまった。彼を追い越すだけのトップスピードがなかったため、あそこで何周にも亘って時間を失ってしまった。彼をかわしてからはすぐに私がコース上で最速の一人となった。そこでかなり挽回して、前を行く各車との差を縮めることができたが、それでは十分ではなかった。雨が降り始めた時、我々はドライタイヤのまま走り続けることにし、結果、1ポイントを獲得できた」
パナソニック・トヨタ・レーシングは今回獲得した4ポイントを加え合計56ポイントを獲得。これによりコンストラクターズ選手権で5位となりました。一方、ドライバーズ選手権ではヤルノが31ポイントで9位、ティモが25ポイントで10位となり、二人揃ってトップ10入りを果たしました。 |