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Rd.5 Grand Prix of Spain report
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ヤルノ・トゥルーリ Q+A
「毎レースできるだけたくさんのポイントを稼ぐことを考えている」
3度目の表彰台を獲得しさらに調子をあげてきたヤルノ・トゥルーリに、自ら「ベストレースのひとつ」と語るスペインGPを振り返ってもらった。また、期待の高まる次戦、モナコGPへの抱負も聞いた。
~TMG広報スタッフ

●5レースを終えて3回の表彰台という結果をどう思いますか?
「5レースで表彰台3回というのは、パナソニック・トヨタ・レーシングのスタッフ全員の素晴らしい努力の結果だと思うし、これは私の予想以上の成果だね。バルセロナでのレースは私にとっても素晴らしい結果となった。そしてあえて言いたいのは、私のキャリアの中でも今回はベストレースのひとつになったということだ。クルマが完璧な状態ではなかったため、ラルフの前のポジションを走り続けるのはとても大変な作業だった。彼とは戦略が違っていて、私の方は燃料が重いときに速く、ラルフの方は燃料が軽いときに速かった。これはセットアップの違いが理由だった」

●つまりバルセロナでは最初から最後までずっと全開で走っていたわけですね?
「とにかくタフなレースだった。私はピットストップの前後のインラップとアウトラップでも本当に精一杯プッシュしなければならなかったんだ。最初のピットストップでは燃料補給装置に問題があって、少量の燃料が漏れて火がついてしまった。でも最終的にはすべてがうまくいったし、再び表彰台に立てたのも最高だった。ラルフもいいレースをしたしね」

●チームメートのラルフ・シューマッハーとの関係はいかがですか?
「今のところ私たちにとってチャンピオンシップはいい形で進んでいるし、彼との関係もとても良好だ。これまでは私の方がすこしだけいい形で展開しているものの、でもよく確認してみればそれほど明確な差があるわけではないことがわかるはずだ。私にとってはすべてがいい形で転がってくれたけど、ラルフは何度か不運に見舞われている。特にイモラではそうだった。とはいえすでに彼も14ポイント獲得しているわけで、これはかなりいいリザルトと言えるね。ラルフはとてもいい仕事をしているよ。今シーズンは長いし、私たち2人のうちどちらが最終的に上になっているかを話すのは早すぎる。ともかく、大切なのは“ラルフとヤルノに何ができるのか”、ではなくて、“トヨタには何ができるのか”なんだよ」

●あなたの目から見て、今シーズン、トヨタは何を実現できると思いますか?
「素晴らしいスタートを切れたわけだけど、あれもこれもと予想を立てるのは難しいね。みんなまだバタバタしている最中だし、どのチームもルールの変更にようやくうまく対応しつつある段階だ。本当に安定したパフォーマンスを発揮しているのは、唯一フェルナンド・アロンソとルノーだけだね。それ以外のチームは今も改善を続けている最中だから、私としてもチャンピオン争いについて何かコメントできるのはシーズン中盤になってからだと思う。現段階では、とにかく毎レースできるだけたくさんのポイントを稼ぐことを考えている」

●スペインGPではあなたのお陰でトヨタが暫定ポールポジションを獲得したわけですが、これについてはどのくらい満足感がありましたか?
「もちろん土曜日の結果についてはとても嬉しかった。ただし、そのプロセスについてはそうでもなかった。正直に言えば、あの結果はちょっと予想外だったからね。土曜日の午前中、私はグリップ不足に悩まされていた。クルマのバランスがうまく取れなかったしセットアップやその他の要素もいまひとつで、とにかくクルマのフィーリングがよくなかった。金曜日に調子よくロングランをした後はかなり自信があったんだけど、土曜日はそれとは正反対だった――別のセットのタイヤを装着した意外は何も変更していなかったのにね。だから暫定ポールポジションという結果には驚いたよ。十分に自信があったわけじゃないし、いつものように限界までビシッと決めることもできなかったからさ」

●あのときのラップではミスがまったくなかったのでしょうか?
「あのラップではミスがゼロだったし、それがあの結果を生んだ秘密だと思う。バルセロナでは空力が非常に重要だけど、風向きがちょっと変わっただけで大きな影響を受けてしまう。ドライバーにとってはかなり厳しい状況になってしまうし、あれだけたくさんのミスを目にしたのもそれが理由だ。フェルナンドとキミ・ライコネンはどちらもミスを犯したけど、私の方はなんとかミスなしで周回できた。その結果、暫定ポールポジションを手にできたわけだ」

●日曜午前の2回目の予選で5位に落ちたときはどのくらい落胆しましたか?
「でもあれは私が予想していた結果にかなり近かったし、最終的なグリッド順に関してはそれほどネガティブには考えていなかった。論理的に考えた上で、日曜日はキミとフェルナンドが速いだろうと予想していいたしね。確かにマーク・ウェバーがフロンローに並んだけど、彼の場合は3回ストップの予定で燃料が軽かった――しかもレースでは2回ストップに切り替えることになったわけだ。この3人を除けば、私の前に立ったのはラルフだけだった。ラルフは1回目の予選でも私とかなりタイムが接近していたし、2回目の予選ではわずかに私より燃料が軽かった。私は特にポールポジションを狙っていたわけじゃなかったんだ。レースとそのための戦略のほうに集中していたからね」

●スペインGPでは何か新しいパーツは使いましたか?
「バルセロナではいくつか新しい空力パーツを投入した――そのパーツは風洞実験で大幅な改善が確認できていたんだ。新しいパーツを制作し、そして木曜日にサーキットに届けるため、チームは素晴らしい仕事をしてくれた。サーキットでは車検の時間をできるだけ遅くしてもらえるよう手配しなければならなかったしね」

●テストもしていないパーツを付けて走るときの自信はいかがでしたか?
「昨年、チームは信じられないほどのいい仕事をし、そしてその努力が今報われているのだと思う。昨年は風洞が期待通りに稼働してくれなかったけど、チームはこれに改良を加え、そしてそのお陰で今では実験で得られた数値がその通りにコース上でも反映されるようになった。だから今は風洞で改善が確認できたパーツをそのままクルマに装着しても実際にうまくいく、という十分な自信を持っている。そしてバルセロナでもその通りになった」

●新しいパーツによってどのくらいパフォーマンスが上がったのでしょう?
「全体的なパフォーマンスとしては、おおよそ0.2秒から0.3秒くらい速くなったと思う」

●次のレースはモンテカルロですね。昨シーズンは優勝を飾っていますから、今年もまたあなたが優勝できるのでは、と考えてもおかしくはありませんよね?
「モナコGPでまた優勝できるなんて想像するのは、それだけでも素晴らしいことだ。でも単に私の初優勝が昨年のモナコGPだったからと言って、また勝てるなんて思うのは間違いだよ! モナコGPは素晴らしいイベントだし、雰囲気も最高だ。モナコではクルマ全体のパッケージよりもドライバーの技量が占める割合が高いのは確かだけど、でもまずはクルマが決まっていなければ話にならない。それにモナコでは予想もしていなかったことがいろいろと起こって障害になったりするしね。バルセロナでは2台ともいい順位でフィニッシュできたから、モナコの最初の予選では後半に走ることになる。モナコでは路面にタイヤのゴムがくっついていけばいくほど大きくタイムがアップするから、これは特に重要な要素になる。そしてレースでは追い越しが本当に難しいから、予選の順位が非常に重要になるわけだ。私は110パーセントの力を出して走ると約束するよ!」