2005年F1選手権第8戦カナダGPでは、パナソニック・トヨタ・レーシングのラルフ・シューマッハーが第6戦に続いて6位入賞を果たし再び3ポイントを獲得した。
ただしチームメートのヤルノ・トゥルーリは、不運にも残りわずか8周となったところでブレーキディスクが破損し、ほぼ手中にしていた今シーズン4度目の表彰台を逃している。
元フェラーリの伝説的ドライバー、ジル・ヴィルヌーヴの名を冠した今回のサーキットはブレーキに非常に厳しいコースとして知られている――最高速から急ブレーキをかけなければならない場所が4つもあるのだ。各チーム共にセンサーを通じてブレーキの温度や摩耗の度合いをチェックできる体制になっているが、今回のトゥルーリの場合、2回目のピットストップの前にそのセンサーの情報を伝えてくれるテレメトリーシステムが故障してしまっていた。
「スタートがよくていくつかポジションを上げることができたし、間違いなく表彰台に上がれそうな展開だったのに本当にツイていない」と話すトゥルーリ。
ラルフのほうは、難しいレース展開になっていたものの、すくなくとも3ポイント獲得できただけになんとか満足といったところ。「スタートはまったくダメだった」と話すラルフ。「ポジションをいくつか落としてしまって、結局ニック・ハイドフェルドの後ろになってしまった。私のほうが彼よりも速かったが、モントリオールのコースでは追い越しが簡単じゃないからね。またセーフティーカーが入ったタイミングも私にとっては最悪で、ここでも順位をいくつか落としてしまった。それでも3ポイントを獲得できたことはポジティブな結果として考えたい」
レースの方はウェスト・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンがこの4戦で3勝目を挙げ、前回のニュルブルクリンクでの雪辱を果たした。2位はスクーデリア・フェラーリ・マルボロのミハエル・シューマッハー。これは今シーズンのフェラーリの最上位フィニッシュ(2回目)だ。ルーベンス・バリチェロが3位に入り、フェラーリは2-3フィニッシュを達成している。4位はザウバーのフェリペ・マッサ。これは彼にとってのF1最上位フィニッシュ・タイ記録となる。BMWウィリアムズF1チームのマーク・ウェバーがその直後の5位でフィニッシュ。6位のラルフの後ろはレッドブルの2台、デヴィッド・クルサードとクリスチャン・クリエンが7位と8位に続いた。
パナソニック・トヨタ・レーシングのジョン・ハウエットは次のように語っている。「モントリオールでブレーキが課題になることはもちろんよくわかっていた。だが今回の最大のトラブルはヤルノのクルマのテレメトリーが故障してしまったことだ。このため彼の車のブレーキ温度をチェックできなかった。ラルフのクルマのほうのデータを参考にして判断していたが、それもある程度の推測にしかならなかった。結局の所、違うドライバーが違う状況で違うポジションを走っているわけだからね。今日のヤルノは表彰台に値する走りをしていただけに、本当に残念でならない。ラルフがセーフティーカーのタイミングで遅れてしまったのも残念だった。とはいえ、最終的に3ポイント獲得できたことには満足している」
ドライバーズ選手権ではヤルノ・トゥルーリが27ポイントで3位を守った。またコンストラクターズ選手権ではマイルド・セブン・ルノーF1が76ポイントで1位、ウェスト・マクラーレン・メルセデスが63ポイントで2位、続いてBMWウィリアムズF1チームとパナソニック・トヨタ・レーシングがともに47ポイントとなっている(上位フィニッシュの多さによりウィリアムズが3位扱い)。その後ろには2ポイント差でディフェンディング・チャンピオンのスクーデリア・フェラーリ・マルボロが続いている。F1世界選手権は1週間後の6月19日にインディアナポリスで第9戦の決勝を迎える。
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