F1世界選手権第9戦アメリカGPの公式練習3回目と4回目に続き、公式予選が行われた。昨日の公式練習2回目でクラッシュを喫したラルフ・シューマッハーは、今朝、FIAのチーフメディカル委員によるドクターチェックを受け、その指示で、傷害は無かったものの、大きな衝撃を受けたことにより、今回のアメリカGPの出場を断念することになった。その結果、公式練習3回目以降は、サードドライバーであるリカルド・ゾンタが、ラルフ・シューマッハーに代わって“TF105”をドライブすることとなった。リカルド・ゾンタにとっては、昨年のブラジルGP以来の決勝レース出場となる。公式練習3回目は、気温21度、路面温度33度、湿度は60%というコンディションで午前9時に開始されたが、ヤルノ・トゥルーリはコースインせず、リカルド・ゾンタが初期チェックの1周のみを走行した。その後、30分のインターバルを挟み、午前10時15分に開始された公式練習4回目では、ヤルノ・トゥルーリが7番手、リカルド・ゾンタが9番手のタイムをマークした。公式予選は午後1時に開始され、気温24度、路面温度42度のコンディションの下で、前戦カナダGP決勝結果の逆順でタイムアタックが開始された。今期初レースとなるリカルド・ゾンタは、1番目に出走し、13番手グリッドを確保。ヤルノ・トゥルーリは10番目とやや早めの出走順ながら、圧倒的な走りを見せ、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって初のポールポジションを獲得した。明日午後1時(日本時間20日午前3時)に決勝レース73周のスタートが切られる。
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ヤルノ・トゥルーリ : カーナンバー16
シャシー:TF105/02
公式練習3回目: 20番手 タイム無し 0周公式練習4回目: 7番手 1分11秒457(トップと0.814秒差) 7周公式予選 : 1番手 1分10秒625
3周
「昨日我々に起こったアクシデントの後、複雑な心境の一日だったが、それだけに今日の結果は嬉しいものになった。私は好調で、素晴らしく良い予選アタックラップで早い時点で、暫定トップに立ったが、全員が走り終えても、ポールポジションの座を維持できたことを非常に喜んでいる。今日は不思議な一日で、公式練習ではあまり周回を重ねることが出来なかったにもかかわらず、冷静に、限られた走行データの中からセットアップを見出すことが出来た。確かにタイヤの問題は、決勝レースへ向けて大きな懸念ではあるが、明日にはこの問題が解決していることを望んでいる。上手く行けば、明日の午後、我々はより多くのものを得られるだろう。我々がどこまで出来るのか、決勝レースを楽しみにしている」
リカルド・ゾンタ : カーナンバー17
シャシー:TF105/05
公式練習3回目: 19番手 タイム無し 1周公式練習4回目: 9番手 1分11秒760(トップと1.117秒差) 10周公式予選 : 13番手 1分11秒754(トップと1.145秒差) 3周
「ヤルノ・トゥルーリのポールポジション獲得は、私にとっても嬉しいことだが、私の8ヶ月ぶりの予選アタックは、理想的な状況とは言い難かった。昨日のアクシデントの後今日の午前中はやや混乱しており、十分に走れたとは言えない全体の状況を考えれば、予選アタックは上手く行った。1番目の出走順ということで、アタックは難しく、コースは非常に滑りやすく、“TF105”は大きくスライドしているのが分かった。しかし、予選アタックラップは納得行くものであり、決勝レースを戦うチャンスを得られたことを喜んでいる」
ディーター・ガス : チーフ・レース・エンジニア
「ヤルノ・トゥルーリがチームにとって初めてのポールポジションを獲得したことは素晴らしいことで、とても喜んでいる。今年、我々は良い予選順位に慣れては来たが、ヤルノ・トゥルーリはこれまで以上に見事な予選アタックで、僅差でキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)を抑えてくれた。リカルド・ゾンタは、1番手出走という明らかに大きなハンデを背負っての予選アタックであり、予選出走順位の不利は、序盤出走車と終盤出走車の予選タイムにも見て取れる。しかし、リカルド・ゾンタは良い走りで納得出来るポジションを確保してくれた。また、我々は、明日の決勝レースのタイヤに関して、どうするのかを見出さなければならない。誰もがここで我々とミシュランタイヤが直面している問題を知っている。ミシュランから明日のレースの状況に関しての情報を待っているところだ。他の仕様のタイヤを決勝レース用に持ち込むか否かについては、我々はその決断を待つ必要がある」
高橋敬三 : 技術コーディネーション担当ディレクター
「昨日のタイヤトラブルのために、セットアップと周回数に妥協を強いられたが、それにもかかわらず、ヤルノ・トゥルーリがトヨタに初めてのポールポジションをもたらしてくれたことは本当に嬉しい。一方、ラルフ・シューマッハーに代わって急遽出場することになったリカルド・ゾンタは最初のタイムアタックだったために路面が滑りやすかったがペストを尽くしてくれた。明日のレースに向けても、出来る限りの努力を続ける」
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