●インディアナポリスでのクラッシュ以降、身体の調子はいかがでしょう?
「何も問題ない。FIAの担当ドクター、ガリー・ハーツタインとサーキットのメディカル・スタッフに診てもらったし、念のためその後にも病院でレントゲンを撮ってもらった。でも今はまったく問題ない」
●症状がぶり返すこともないわけですね?
「ないね。去年のアクシデントのときよりも衝撃はだいぶ小さかったんだ。今ここにいられるのもそのお陰だよ」
●インディアナポリスのターン13に何か縁起の悪さを感じているはずですよね?
「そうかもしれないね。“雷が同じ場所に2度落ちることはない”(同じことが同じ場所で繰り返し起こることはない)という諺があるけど、でも今はそんなことはないということがわかったよ!」
●フランスGPの予選では12番手でした。これは単に、アメリカGPに参加しなかったために出走順位が最初になってしまったからでしょうか?
「そう。予選を最初に走るとなると路面にはラバーが乗っていないしグリップが少ないため、110パーセントの力でプッシュしなければならなくなる。問題はそれが悪循環になってしまうことなんだ。アデレード・ヘアピンではブレーキングのタイミングをすこし遅らせたわけだけど、あれをミスだという人もいるだろう。でも実際の所、まともなグリップがまったくなかったんだ。あのせいで0.3秒は失ったと思う。あれがなければ順位はもうすこし前になっていただろうね」
●自分の力では対処しようがないことを理由にペナルティを課され、それが次のレースにまで影響してしまうことに対し、どれくらいフラストレーションを感じますか?
「もちろんフラストレーションは溜まる。でもいずれにせよあたえられた条件でレースをするしかないからね。今シーズンのルールに関して、何人かがすでにコメントしているのは知っている。でも、このルールはドライバーたちが作ったものではないし、現在有効なルールに従って仕事を遂行するのがドライバーの役目だからね。ときにはそれが自分に有利に働くこともあるし、逆の場合もある。でもシーズン全体を通してみれば、その両方のバランスがとれているはずだ」
●マニクールでは全体的にクルマの調子はどうでしたか?
「実は、最初の段階ではかなりよかったんだ。土曜日午前中のフリー走行では2番手だったしね。実際、ヤルノは予選で2位になった。だから再び表彰台を獲得する潜在的な力は十分にあったわけだ」
●土曜日にかなりパフォーマンスが向上したようでしたが?
「あれは別に特別な事じゃない。金曜日は基本的にレース用のセットアップとタイヤの選択に集中しているからね。もちろんパフォーマンスは改善できていたし、確かにわれわれは調子が良さそうに見えていたと思う」
●予選の結果、中団グリッドからのスタートとなった場合、レースへはどういった考えで臨むのでしょう?
「いいスタートを切って、いくつか順位を上げて、それから後は自分に何ができるのかを考えることになる。でもマニクールでは追い越しが難しいんだ」
●それはなぜなのでしょう? 長いストレートがあって、その直後にヘアピンもありますよね?
「問題はストレートの前にあるターン3だ。このコーナーは4速で走る長い高速コーナーだ。F1カーの空力特性からすると、前のクルマに近づきすぎるとフロント・ウィングの空力が効果的に機能しなくなる。その結果、コーナーを抜ける際にダウンフォースを失ってしまう。そのためコーナーから出てくるときには速度が落ち、その後の直線スピードで大幅に相手を上回らない限り、前車に大きく遅れをとってしまう。そうなると、ヘアピン前のブレーキでかわすチャンスはほとんどゼロになってしまうわけだ。一般的に言えば、長いストレートの前に低速コーナーがあって、ストレートの直後にタイトなコーナーがあれば追い越しのチャンスは大きくなる」
●となると、クルマの性能で大きく上回っていない限り、追い越しは事実上不可能だと?
「その通り。それは今回のキミ・ライコネンの走りを見てもわかると思う。エンジン交換によるペナルティで10グリッド降格になった彼は、クルマが速いのに13番グリッドからのスタートになった。レースのファステスト・ラップを記録するほど速いクルマだったにもかかわらず、順位を上げることができたのは前車がピットインを始めてからだったよね」
●フランスではTF105に何か大きな変更はあったのでしょうか?
「いや。空力面では毎レースで常に何かしら改良があるけど、今回は特別なものじゃなかった」
●最後に、犬が盗まれたという話を聞きましたが、いったい何が起こったのですか?
「いや、まったく悲しいことにね、盗まれたのか……、あるいは誘拐されてしまったのか……。先週末に南フランスで起こったんだけど、どちらなのかはまだわからない。インディの後、マニクールに行く前に、休養のため何日か南フランスのサントロペで過ごしていたんだ。普段と同じように犬と一緒に外にでかけたんだけど――いつもは足の周りをくるくる回っているんだ――でも突然、犬がいなくなっていた。振り向いてみたらいなかった、っていう感じでね。ありとあらゆる場所を探したけど、でもどうやらあそこでは、犬を盗んで売買する行為がかなり頻繁に起こっているらしい」 |