ブダペストで開催されている今回のGPでは初日から好調を維持していたトヨタだったが、レースでも全チーム中最多のポイントを獲得し、コンストラクターズ選手権で4位のポジションを確固たるものにした。
予選5位だったラルフと予選3位だったヤルノは、共に3ストップ作戦を選択。ヤルノは13周目に1回目のピットストップを行い、その1周後にラルフがピットインとなった。ラルフはこの1周の間に軽い燃料タンクの状態で走ることができため、ヤルノの前に出ることができた。
その後ヤルノは33周目と52周目に、いっぽうのラルフは35周目と54周目にピットストップを行った。30歳になったドイツ出身のラルフはレース全般を通して懸命なドライビングを披露し、最終的に兄のミハエル・シューマッハーが乗るスクーデリア・フェラーリ・マルボロの直後でフィニッシュとなった。フィニッシュ・ラインを通過したときの2台の差はわずか0.5秒だった。
「今週末はチームが素晴らしい仕事をしてくれた」と話すラルフ。「実は私自身は3回ストップという戦略に100パーセント確信が持てていなかったんだ。でもチームは正しかった。このコースで、タイヤをいたわりながら競争力のある速いペースで走るのは難しい仕事だった。また、気温がこれほど高くなるとは予想していなかったが、それでもすべてがうまくいってくれた。これまで周囲からは、予選では速くともレースでは十分速いペースで走ることができない、と言われてきた。でも今日のわれわれは他のチームと同じくらい速く走れることを証明できた。ただしマクラーレンを除いてだけどね。彼らは別の次元を走っている」
「レースの終盤、かなり早い段階でミハエルを捕まえることができたが、彼はコーナー出口のスピードがかなり速かった。そのためストレートの終わりで彼を追い越すのは無理だった。彼がミスしてくれることを願っていたけど、そうはならなかった」
いっぽうのヤルノは、スタート直後の1コーナーで他車と接触したためレースでは我慢の走りを余儀なくされていた。彼のTF105はフェラーリのルーベンス・バリチェロから追突されたのだ。
「かなり厳しい午後になってしまった」と話すヤルノ。「1コーナーで背後から激しく追突されてしまった。その後はドライブがかなり難しくなったし、クルマのバランスにもまったく満足できなかった。ハンドリングの特性がアンダーステアからオーバーステアに変わったりして、クルマに何が起きているのかを理解することが難しかった。レース中、ずっとピットと交信をしてバランスを変えるよう頼んでいたんだ。それでもレースを終えて5ポイントを手にできたのだからいい結果だね。全体的に見て、チームみんなが力を発揮できた週末だったし、われわれはかなり競争力が高かったと思う」
レースではウェスト・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンが優勝。フェルナンド・アロンソが1周目のアクシデントの影響でノーポイントに終わったため、ライコネンとアロンソのポイント差は26ポイントに縮まった。シューマッハー兄弟に続いて4位になったヤルノは、これで今シーズン7回目のポイント獲得となった。5位はラッキーストライクBARホンダのジェンソン・バトン、6位はBMWウィリアムズF1のニック・ハイドフェルド、7位も同じくウィリアムズのマーク・ウェバー、8位はBARの佐藤琢磨となった。佐藤にとってはこれが今シーズン初めてのポイント獲得だった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのチーフ・レースエンジニアのディーター・ガスは次のように話している。「ラルフは素晴らしいレースをしてくれたし、終盤にかけてかなり競争力のあるペースで走ってくれた。唯一の問題は、ハンガロリンクは追い越しが最も難しいサーキットのひとつだということだったが、これは誰もが評価していることだと思うし、そんななかでわれわれはできる限り最高の成果をあげることができたと思う。ヤルノにとっては、1コーナーで追突されてからバランスの問題を抱えてしまい難しいレースになったが、なんとかうまく走ってくれた。他のライバル勢より多くのポイントを手にできたことを考えれば、全体的に見て今回はチームにとって素晴らしい週末になったと思う」
F1はこれから8月21日にイスタンブールで初開催されるトルコGPまで3週間の夏休みに入る。どのチームにとってもトルコGPは未体験の場所になるが、ハンガリーと同様に、気温は全レース中最高の部類に入る。そしてこの気象条件はトヨタにとっておそらく有利に働くはずだ。
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