全長5.340キロメートルのイスタンブールパークは、マレーシアやバーレーン、中国と同じく、ドイツ人のサーキット設計者の大家、ヘルマン・ティルケ氏による設計で、建設に費やされた費用は上海サーキットと比較するとやや控えめの1億2000万ドルとなっている。
「そうはいっても、不足しているものは何もない」と話すティルケ氏――コースのレイアウトは各方面から賞賛されている。
「とてもいいサーキットだし、ドライブするのも楽しいね」と話すゾンタ。「今日の最初のセッションでは路面のグリップがほとんどなかったため、ちょっと問題があった。フロント・タイヤがうまく機能してくれなかったんだ。でも、こういった状況は新しいサーキットを初めて走る場合、事前に十分予測していることだからね。2回目のセッションでは状況はかなり改善されていたし、クルマのバランスも大幅によくなっていた。コースには面白い中速~高速コーナーがあって、かなり走り甲斐があるね」
ゾンタの後ろにはマクラーレンの3台が続いた。2番手にはテストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサ(1分26秒196)が入り、レースドライバーのファン・パブロ・モントーヤ(1分26秒525)とキミ・ライコネン(1分27秒274)が3~4番手となった。5位はラッキーストライクBARホンダのジェンソン・バトン(1分27秒346)、6位はレッドブルのヴィタントニオ・リウッツィ(1分27秒578)となり、トヨタのTF105をドライブするヤルノ・トゥルーリは1分27秒964で9位、ラルフ・シューマッハーは1分28秒641で16位となった。
「長いターン8はとても面白いコーナーだ」と話すヤルノ。「でも全体的にこのサーキットはタイヤにかなりキツイね。賢いタイヤ選択のためには、これまでの新しいコースと比較しても、一層注意深くデータを検討しなければならない」
いっぽうでラルフはこう話している。「(トルコの人たちは)コースの建設ではかなりいい仕事をしたと思う。今日はトラブルは何もなかったけど、新しいタイヤの時に常に渋滞につかまってしまった。だから今日のタイムはあまり参考にならないね。初めての国に来るのはいつも興味深いし、それにサーキットに関して言えば、全員がシミュレーション・データしか持っていない状況でレースの週末に臨むことになるわけだ。もちろん大切なのはクルマのパフォーマンスだけど、同時に大切なのは過去のデータの蓄積がない状況でいかにして的確に今日の情報を使ってチームが対応するかだね」
パナソニック・トヨタ・レーシングのチーフ・レースエンジニア、ディーター・ガスがこう説明する。「われわれの予想よりもラップタイムは速いことがわかった。予想よりもグリップが大きかったんだ。特に2回目のセッションではそうだった。F1には2週間の休みがあったが開発はずっと継続している。われわれはここでもさらに空力に変更を加えている。今回は、改良したフロアと、形状を変更したリア・ウィングを持ち込んでいる」
テレビ画面からはすぐにはわからないかもしれないが、新しいイスタンブールのコースは、1周のうちに勾配がかなり大きく変化する作りになっている。また、タイトコーナーのターン9のシケインは、下り坂のブレーキング・ポイントになり、ここが追い越しのひとつのポイントになるだろう。
コンストラクターズ選手権で現在4位のパナソニック・トヨタ・レーシングは、3位のディフェンディング・チャンピオン、スクーデリア・フェラーリ・マールボロには18ポイント差、5位のBMWウィリアムズF1チームには16ポイント差という状況で、日曜日のF1第14戦決勝へ挑む。
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