オーストラリア、アジア、北米大陸、そしてヨーロッパと戦いの舞台を移してきたF1世界選手権は、来週末、南米へと飛び、第17戦ブラジルGPを迎える。ブラジルは、F1ファンの心に残る、数多くの伝説を生んだ地でもある。ブラジルGPの行われるインテルラゴス・サーキットは、巨大な都市サンパウロに隣接し、毎年、語り継がれる名勝負が展開される。パナソニック・トヨタ・レーシングは、コンストラクターズ選手権で80ポイントを獲得し、4位につけており、3位のフェラーリとの10ポイント差を縮め、トップ3入りを果たすために総力を挙げてブラジルGPへと挑む。
残る3戦で、コンストラクターズ選手権でのトップ3入りという目標を達成すべく、ヤルノ・トゥルーリはこれまで以上にハードに攻めることになるだろう。
ヤルノ・トゥルーリ : カー・ナンバー16
「ここ数戦、我々は好調であり、遠征戦となる残り3戦での我々の目標は、コンストラクターズ選手権3位の座をかけてフェラーリに挑戦することだ。その差は僅か10点であり、全力で挑み続ければ、必ず逆転することが出来るはずだ。我々が昨年スターティンググリッド後方にいたことを考えれば、現在のポジションは驚くべきものであり、それはチーム全体の素晴らしいパフォーマンスによって成し遂げられたものだ。ブラジルGPでレースを戦うことは、いつも楽しみにしている。インテルラゴス・サーキットは、低速および高速のセクションが混じり合い、複雑な要素に挑戦しなくてはならない、テクニカルで面白いサーキットだ。特に第1コーナーは気に入っているが、インテルラゴスは、F1のカレンダーで3戦だけの反時計回りのサーキットであり、首に大きな負担がかかる。ブラジルGPで一番の思い出は、2003年豪雨に見舞われたことだ。あのときは、本当に怖い思いをした」
ラルフ・シューマッハーは、様々な理由でサンパウロを訪れることを楽しみにしているが、それは、ダウンタウンのレストランでの、ステーキが美味しいということだけではないようだ。
ラルフ・シューマッハー : カー・ナンバー17
「インテルラゴスは、F1カレンダーの中でも、ドライバーとチームの技術陣にとってチャレンジングで過酷なサーキットの一つだ。昨年までは、数周走っただけで頭痛に見舞われるほどひどく、悩まされた路面の凹凸が減少したというのは良いニュースだ。しかし、路面の舗装が改修されたとはいえ、凹凸は依然として存在しており、最適なダンパーとスプリングのセットアップを見出さなければならない。そして、空力的なダウンフォースとメカニカルグリップ、そして最高速との妥協点を探し出す必要がある。ピンヘイリンホやビコ・デ・パトといった、インフィールドに入ってからのタイトなコーナーでは可能な限りのメカニカルグリップと、出来る限り大きなダウンフォースを得ることが重要だ。しかし、2つの長いストレートを持つため、そこでなるべく速度を高めるために小さなウィングが必要であり、バランスを取らなくてはならない。また、サーキットの外でも、私の大好物である、あの素晴らしいブラジルのステーキに挑戦できることを楽しみにしている」
インテルラゴス・サーキットはF1カレンダーの中で最も高い標高に位置し、その荒れた路面はドライバーとF1カーに、激しい振動の下でのレースを強いる。
ディーター・ガス : チーフ・レース・エンジニア
「インテルラゴス・サーキットは、いくつかの高速コーナーと、トラクションが非常に重要となる低速なタイトコーナーを併せ持つコースであり、ダウンフォースは中程度の設定となる。ブレーキの負担はそれほど厳しくないが、常にタイヤの摩耗が激しく、タイヤ選択はとても重要な要素となる。技術的な視点からは、反時計回りというレイアウト自体はそれほど大きな違いはないが、ドライバーによっては、首にいつもと異なる負担がかかるために、ヘルメットのサポートを必要とすることがある。路面に関しては、これまでよりは凹凸は減らされているようだが、依然として残っている凹凸が問題を引き起こすかも知れない。ストレート上の凹凸はそれほど危険ではないが、コーナーに存在すれば、F1カーのバランスは大きく失われることになる。このため、凹凸を乗り越えても突然バランスが変わらないようにセットアップする必要がある。もしそれが出来なければ、ドライバーはコントロールしにくく、特に凹凸を越える際にオーバーステアを避けるようになるだろう。サーキットは高地に位置しており、空気が薄く、エンジンのパワーダウンが起こるが、それはどのチームにとっても同じことである」
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