オーストラリアGPテクニカルインサイト
パスカル・バセロン Q+A
●冬期テストの結果からチームの競争力を判断できるでしょうか?
「これまでの経験から言えば、テストのタイムだけを見て正確な予測をするのは不可能だ。昨年までを振り返ってみても、メルボルンではいつもその順位を見てみんなが驚く結果になっているしね。とはいえ、各チームごとのパフォーマンスの幅の違いに関してはいい線まで予測できるため、どのチームの戦力が均衡しているのか、おおよその見当はつく。だがそれ以上の予測は困難だ。自チームのパフォーマンスに目を向けているときは、とにかく自分たちが望んでいるパフォーマンスの幅を手にできるように努力している」
●オーストラリアGPに関しては楽観視していますか?
「そう、我々は楽観的に考えている。特に冬期テストの後半がうまく進んだだけにね。また、バーレーンでの2度のテスト以降、競争力の幅が明らかに向上しているからね。それゆえ、我々としてはトップに近い位置で戦えるのではと期待感を抱いているし、また、そうしたいと思っている。バルセロナテストでは非常に高い競争力を示すことができ、自分たちの競争力のレベルに関して揺るぎない素晴らしい結果を手にすることができたが、あれは単なるテストであって、すべてはメルボルンから始まるレースで実証しなければならないと十分に心得ている」
●テストは予定通りに進んだのですか?
「初めて走らせた時から新車は順調に進化してきたが、これは想定していた通りだ。一番最初のパッケージを手にしたときの我々の目標は、このTF108がいったいどんなクルマなのか、それを正確に見極めることだったが、この作業はバーレーンテストまで続いた。バーレーンではこの新車に関してどんな方向にセットアップを進めて行けばいいのか、最終判断ができた。その後の最後の2回のテストでは第1戦に向けた空力パッケージを用意した。このパッケージで更に進化できると考えていたのだが、実際、大きくタイムを向上させることができた。ヤルノが走り出しの1周目からいいパフォーマンスを発揮でき、その後のロングランでも安定して速いタイムが刻めたのはそれが理由だった。今の我々はそこで手にしたタイムアップを揺るぎないものにしなければならない。バルセロナだけでしか確認できない速さだったとしたら、役に立たないからね。もちろん(バルセロナで開催される)スペインGPを除いての話だが!我々はその速さをメルボルンでもしっかり発揮しなければならない」
●本番のレースが始まるわけですが、開幕戦に向けて気持ちは高まっていますか?
「当然、モータースポーツへの情熱が理由でこのビジネスに関わっている人間なら、最初のレースが近づくとどうしたってワクワクしてくるものだ。だから我々は誰もがオーストラリアを楽しみにしている。冬期テストではデータの精度がそれほどでもないという現実を、頭脳を明晰にして十分に理解しているつもりでも、やはりなんらかの予想はしてしまうものだ。だからその予想を確かめたくて、尚更ワクワクしてしまうんだよ。これは科学への好奇心だね!」
●アルバートパークのコースの特徴を教えてください。
「一般論として、メルボルンは非常に個性的なコースで、平均的なF1サーキットの代表というわけではない。最大の特徴は…、つまりこのコースが通常のF1サーキットの仲間から外れると見なされている理由は、コースのレイアウトと路面の組み合わせにある。路面が非常に滑らかなため、タイヤの熱入れに時間がかかり、タイヤの路面への食いつきも良くない。我々はこうした要素に対応しながらクルマのバランスを調整しなければならない。いずれにせよメルボルンのコースは現実としてそういった特徴を有しており、我々はそれに対処しなければならないわけだ」
●ドライバーはTF107よりTF108のセットアップは容易だとコメントしています。これはなぜなのでしょう?
「ここまでのテストで目にした様々な結果を生み出している最大の違いは、TF108が以前よりも安定したクルマだということに尽きる。そのため、もはや幅の狭いギリギリのバランスでクルマを走らせる状態ではなくなり、ドライバーはわずかなセットアップの変更による違いを、かなり容易に分析できるようになったと感じている。その理由は単純に彼らが以前よりもパフォーマンスの幅が広くなったクルマを相手に仕事をしているからだ。クルマと格闘することがなくなり、クルマの挙動を分析するのがとにかく容易になったということだ。新車発表会からこれまでの間、4つのコースでテストしたが、どこでテストしたときも同じ結果を手にできている。つまり、クルマの挙動の安定感に関して得られている結果は本物だということだ。そういった状態から始めれば、クルマの開発とセットアップはかなり容易になる。また、ドライバーがセットアップの正しい方向を探るのも容易になる」
●オーストラリアGPに向けて、チームの準備は順調ですか?
「一番最初の走り出しからクルマの信頼性がとても良かったお陰で、我々はテストで非常に多くの周回をこなすことができた。とても調子が良く、そのせいでテストのやり過ぎにならないよう、走行距離をしっかり管理しなければならなかったほどだ。最後のテストで生じたギアボックスの課題はあるが、これも完全に状況を把握できているため第1戦では問題にはならないだろうし、我々のクルマは非常に信頼性が高い状態でここまできている。全体的に我々はメルボルンに向けてとてもいい準備ができており、また、数多くの異なる状況やコース条件の下、完全なレースシミュレーションも含め、非常に多くの周回を重ねてきたからね」
オーストラリアGPでの目標を教えてください。
「我々の目標はポイント圏内でのフィニッシュであり、また、トップ6を目指して戦うことだ。我々の目の前にある諸々の事実を基にした場合、これが現実的な目標だ」