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「参加型モータースポーツ」に触れたドライバー、エンジニアがその魅力を語る!第4回は、今シーズン台頭した3名の若手ドライバーが今シーズンを振り返り、今後について熱く語ります!

  • 菅波冬悟選手 OTG DL 86
    菅波冬悟選手 ♯80 OTG MOTOR SPORTS
    1995年11月2日生まれ
    2018年ポイントランキング6位
    2017年にスポットでプロフェッショナルシリーズに参戦。初年度は独特な乗り方などに苦労したが2年目の今シーズンは覚醒し、開幕戦の予選で2番手を獲得する。第8戦では初優勝を飾り、最終戦もポールトゥウィンとファステストラップを記録。来シーズンのチャンピオン候補として期待される。
  • 堤優威選手 ADVICS CABANA 86
    堤優威選手 ♯7 T by Two CABANA Racing
    1995年9月9日生まれ
    2018年ポイントランキング12位
    2017年の最終戦にクラブマンシリーズからエントリーし、86/BRZレースにデビュー。2018年はプロフェッショナルシリーズにステップアップしフル参戦。第2戦のスポーツランドSUGOラウンドでは、早くもポールトゥウィンで優勝を飾り、周囲からの注目度もアップ。
  • 平木湧也選手 茨城トヨペット86レーシング
    平木湧也選手 ♯18 茨城トヨペットレーシング
    1996年6月25日生まれ
    2018年ポイントランキング16位
    2017年より地元の茨城トヨペットレーシングチームから参戦。モータースポーツ経験の少ないディーラーチームを率いて、2018年もシーズンフル参戦を行なった。2年目の今シーズンは第3戦と第6戦で2回の入賞を果たし、徐々にチーム力も上がっている。

2018年シーズンに躍進を遂げた三人の若武者

 2018年のTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceは、最終戦で3年ぶりに谷口信輝選手がシリーズチャンピオンを獲得し、シリーズが締めくくられた。
 シリーズを振り返ると開幕戦は♯17織戸学選手が優勝し、その後も4戦までに優勝1回、2位2回とシリーズランキングをリードした。また、シーズン中盤から調子を上げてきたのは、一昨年のシリーズチャンピオン♯34佐々木雅弘選手で、織戸選手と合わせて最終戦までチャンピオンシップを谷口選手と争った。
 一方で2018年のトピックと言えるのが20代前半の若手ドライバーが躍進したことだ。
 第2戦のスポーツランドSUGOラウンドでは、今年からプロフェッショナルシリーズに参戦した♯7堤優威選手がポールトゥウィンで初優勝を飾る。
 また、シリーズ終盤で大活躍を見せたのが♯80菅波冬悟選手で、第8戦のツインリンクもてぎラウンド、最終戦の鈴鹿サーキットラウンドで2連勝し、最終的にポイントランキングも6位でシーズンを終えた。
 そして、昨シーズンから茨城トヨペットとのタッグで参戦を始めたのが♯18平木湧也選手になる。ディーラーから派遣されたメカニックが中心となったチームで、レースに携わることが初めてという人も少なくない。それでも、徐々に実力を付けていき、第3戦のオートポリスラウンドでは5位第6戦の十勝スピードウェイラウンドでは6位とポイントを積み重ねた。
 3人のドライバーは菅波選手と堤選手が23歳の同級生、平木選手は22歳で1学年下になる。10代の頃からカートでともに競ってきたライバルでもあり、レースが終われば気心しれた友達になる。ここでは、今シーズン台頭した3名のドライバーに登場してもらい、国内トップドライバーが競い合う86/BRZレースの魅力や難しさなどを率直に語ってもらった。

最終戦の鈴鹿サーキットラウンドでは、菅波選手がポールポジションからスタート。8周の決勝レースでは、一度もトップを譲ることなく2位に4.5秒の大差をつけて見事にポールトゥウィンを達成した。

--3人はカートから4輪レースにステップアップしてきましたが、何歳くらいから知り合いなのですか?
菅波:平木選手と最初に走ったのは、2010年くらいだったと思います。全日本カート選手権の最高峰クラスの下にFS125というシリーズがあって、私は西日本に出ていて、平木選手は東日本でした。一度、東日本に遠征したときがあって、おそらく茂原だと思うのですが、そこで初めて走ったはずです。年齢はひとつ下でしたが、速くて派手なヘルメットの選手だというのを覚えています。
平木:堤選手とは86/BRZレース、スーパー耐久でも同じチームなのですが、カート時代に被っていたのは2009年の新東京シリーズだけだと思います。
堤:私は菅波選手や平木選手と異なり、全日本カートはKF2というカテゴリーまで上がりましたが、それ以降は別のシリーズに参戦していました。なので、二人とは走ったことがありますが、年間を通してという記憶はないですね。

--そんな3人が86/BRZレースで再会するのですが、平木選手は2017年からフル参戦、菅波選手は2017年からスポット参戦、堤選手は今シーズンが初の参戦ですよね?
平木:茨城トヨペットさんが地元出身のドライバーを応援したいという考えを持っていました。まず、初めのカテゴリーとして86/BRZレースで起用したいと声をかけてもらい、参戦が決まりました。毎戦帯同しているメカニックは、普段は店舗でエンジニアとして働いていて、モータースポーツ未経験者がほとんどです。あくまでも研修ですが、社内のクルマ好きを増やす一環で、レースを通じてクルマの楽しさを伝えられればと思っています。
菅波:昨シーズンは富士の2回と菅生で乗らせてもらいました。チームは、服部尚貴選手が初年度から作り上げてくれているので、体制は素晴らしいです。
堤:私は昨年の最終戦にクラブマンシリーズに初参加して、今年はプロフェッショナルシリーズに上がってフル参戦となりました。

--86/BRZレースの前は、それぞれ異なるカテゴリーで戦っていましたが、86のレースカーはどんな印象ですか?
菅波:ナンバー付きのレースカーに乗ったことがなかったのと、それまでに乗っていたのがFIA-F4やカートだったので、まったく別モノでした。タイヤのグリップは高いですがマシンのロールが激しく、最初は乗りづらかったです。
平木:私も86に乗る前はフォーミュラしか乗っていなかったので難しかったです。攻めすぎるとタイムが出ないので、いかに抑えながらもパワーを路面に伝えるかなど、繊細なコントロールが要求されます。
堤:私は二人よりもツーリングカーの経験が多かったので違和感なく乗れました。ただ、86/BRZレースで使っているタイヤの予選アタックは1周だけです。それ以上走ってもタイムアップは図れません。また決勝レースもタイヤのマネージメントを考える必要があるなど、タイヤをいかに使いこなすかがポイントで、他のレースとは少し異なるところです。
--堤選手は、プロフェッショナルシリーズの初参戦から2レースで早くも優勝を果たしましたね
堤:菅生ラウンドはポールトゥウィンとファステストラップも記録して最高の瞬間でした。しかし、勝つのが早すぎました(笑)。というのも、マークは厳しくなりますし、まわりの期待も高くなります。プレッシャーも大会毎に増していきました……。チャンスを逃さなかったのは良かったですが、シーズンを通してみると平均的に結果を残したかったです。なので、菅波選手の活躍は凄いと思っています。

プロフェッショナルシリーズ参戦からわずか2戦で初優勝を飾った堤選手。この勝利によって参加しているドライバーやチームに名前を知ってもらうことができたと、堤選手は語っている。

菅波:86/BRZレースは速ければ勝てるレースではないです。参戦しているドライバーは、日本のレースを引っ張ってきたベテランから現役のトップドライバーも多く、当たり前ですが簡単にトップにはなれません。勝つための要素がすべて整ったときに、チャンスを掴み取れたのが第8戦のツインリンクもてぎラウンドだと思います。
平木:3人の中で勝っていないのは僕だけですね……。確かにトップ10に入るだけでも難しいので、使っているツールを含めて要件を整えるのが重要になると思っています。

プロフェッショナルシリーズ参戦からわずか2戦で初優勝を飾った堤選手。この勝利によって参加しているドライバーやチームに名前を知ってもらうことができたと、堤選手は語っている。

--それぞれ、同世代の活躍は気になりますか?
菅波、堤、平木:もちろんです。同級生や同年代には負けたくないです。
菅波:86/BRZレースはワンメイクですがタイヤメーカーによって得意不得意があります。なので、まずは同じパッケージに乗っているドライバーには負けたくないです。
堤:やはり、どのカテゴリーでも優勝もしくは同世代でトップしか脚光を浴びないので、上位にはいたいです。

--3人は86/BRZレース以外のカテゴリーにも参戦していますが、この経験が活かされることはありますか?
平木:昨年までFIA-F4と86/BRZレースに出ていて、今年からSUPER GTに乗れるチャンスをいただけました。SUPER GTではマザーシャシーで参戦していて、フォーミュラとツーリングカーの両方の特徴を持っています。運転の丁寧さ、タイヤの使い方やクルマのロールのさせ方などは、86/BRZレースで学んだことが活かされています。
堤:タイヤの使い方も活かされますが、レースのバトル中でも客観的に展開を読むようになりました。86/BRZレースは私達にしたらベテランドライバーしかいませんし、常に緊張感があります。一瞬の隙を見逃さずにパスすることなど、勉強になることが多いです。

茨城トヨペットとともに2年目のシーズンを送ることになった平木選手。今シーズンは、チーム体制を強化したこともあり、着実にチーム力がアップ。2回の入賞を果たし、来シーズンはさらなる飛躍が期待される。

菅波:堤選手の言っている事と同じですが、FIA F4のような若手ドライバーだけが出場しているカテゴリーだとがむしゃらにパスすることがあります。しかし、86/BRZレースは駆け引きを始めとして上手い人ばかりで、インが空いていればパスするという簡単なレースではないです。最終的にベストな結果でチェッカーを受けるためにペースをコントロールして、約10周というスプリントレースの組み立てをします。86/BRZレースを経験して、本当に良かったと思っています。

茨城トヨペットとともに2年目のシーズンを送ることになった平木選手。今シーズンは、チーム体制を強化したこともあり、着実にチーム力がアップ。2回の入賞を果たし、来シーズンはさらなる飛躍が期待される。

--今後のステップアップや来シーズンの86/BRZレースへの参戦などはいかがですか?
菅波:チームが継続していただけるなら、もちろん参戦したいです。昨シーズンからフル参戦しているFIA-F4からは、SUPER GTやF3へステップアップできればと思っています。ほかにも経験させてもらえるレースがあれば積極的に参戦したいです。どこで戦うにしてもプロドライバーとして雇ってもらえる選手になっていきたいです。
堤:どんなカテゴリーに出たとしても、イコールコンディションで競うワンメイクレースに出場する価値はあると思うので、継続して参戦したいです。ドライバー同士の技量を計れるのが、86/BRZレースの魅力のひとつだと思っています。
平木:茨城トヨペットのチームでドライブさせてもらえることになったとき、ドライバーとして有名になってもらわないと困ると言われました。結果を残すことで、チームも有名になって恩返しがしたいです。