GR86/BRZ Cup 2026 スペシャルコンテンツ Vol.1

プロフェッショナルシリーズ3台体制で勢力拡大
K-one Racing Team旋風が巻き起こるか

86/BRZ Raceのスタートから2026年シーズンで14年目を迎えるGR86/BRZ Cup。シリーズが発足した当初からグリッドに入らないほどのマシンが参戦し、その盛況さは今でも変わらない。ただ2013年の初年度から現在まで参戦しているチームは数えるほどだ。そのひとつに挙げられるのが愛知県に拠点を置いている「K-one Racing Team」になる。タイヤの販売などを行なっている共栄タイヤサービスが母体のチームで、2015年から2020年シーズンまでは、数多くのカテゴリーで活躍してきた織戸学とタッグを組み参戦。2018年はシリーズランキングで3位となり、開幕戦の鈴鹿サーキットでは優勝を飾っている。

K-one Racing Teamは2023年より愛知トヨタとのパートナーシップでチームを再編し、2024年と2025年は86/BRZ Raceで4度のシリーズチャンピオンを獲得してきた谷口信輝を招聘。若手ドライバーも積極的に起用し、2023年と24年は奥本隼士、2025年は清水英志郎が2号車のステアリングを握り、ともに表彰台に登る活躍を見せた。

K-one Racing Team 共栄タイヤサービス 代表 小菅 英久氏
「実力ある若手達の相乗効果でチャンピオンを狙っています。開幕戦から前半の3戦で勝負をかけていきたいですね」
K-one Racing Team 共栄タイヤサービス 代表 小菅 英久氏
愛知県に5店舗と北海道に1店舗を構える共栄タイヤサービスの代表で、K-one Racing Teamのオーナーを務める。GR86/BRZ Cupのほかに全日本ラリーやジムカーナ、ダートトライアルなど多くのカテゴリーでチームを結成して参戦。また、OHLINSをベースにしたオリジナルダンパーも製作していて、プロフェッショナルシリーズでは60%を超えるシェアを誇る。
https://www.k-one1966.com/

チーム代表の小菅英久氏は、「『K-one Racing Team』というのは私が学生の頃に作ったチームでして、当時も今もモータースポーツ活動やそこで活躍することが、仕事のモチベーションに直結しています。モータースポーツ活動を続けていくには、かなりの予算が必要です。そのためには、仕事を頑張っていこうとの意識が、会社全体に拡がっています」

チームを結成してからはダートトライアルやジムカーナなどの競技に参戦を続け、その経験やノウハウは年々増していき、競技車両やオリジナルダンパーの製作も行なうことができるようになったという。

「2013年に86/BRZ Raceが始まると聞いたときに、実は愛知トヨタさんとも参戦に向けたお話をしていました。愛知トヨタさんは弊社のお得意様で、タッグを組んで参加したいと思っていました。当時はタイミングが合わずに、86/BRZ Raceでは協業できませんでしたが、事あるごとにコミュニケーションは取っていました。そして、2023年に機が熟して、今の体制となりました」というように、シリーズの発足当初もK-one Racing Teamと愛知トヨタのタッグは検討されていたようだ。

2023年に現在の体制になると、翌年には谷口信輝を起用し、クラブマンシリーズでは黒岩唯一がステアリングを握り、屈指の人気と実力を誇るチームとなった。

「2015年からは織戸選手と、そして2024年からは谷口選手が自チームに入ってくれるという夢のような体制ができたのが、86/BRZ RaceでありGR86/BRZ Cupでした。これが、上位カテゴリーのレースだと障壁が多く実現できなかったでしょう」

チーム体制やドライバーの起用は様々な要因によって決まるが、グラスルーツのカテゴリーでもあるGR86/BRZ Cupでは夢のある体制づくりが可能ということだろう。

「マシンや使用するパーツが複数の場合だと、資金面や情報量でワークスチームに勝つことはできません。ただ、イコールコンディションのワンメイクレースであれば、プライベーターでも活躍できる可能性が大いにあります。ルールの中で戦うレースは大賛成で、GR86/BRZ Cupがまさにそれですね」

織戸学とのタッグでは優勝を果たしているが、現体制では2025年に記録した2位が最高位。今季は残念ながら谷口信輝が退き、そのマシンを2022年にシリーズチャンピオンを獲得している冨林勇佑が駆る。昨シーズンのデビューイヤーでシリーズ6位となった清水英志郎は継続し、21歳の佐藤凌音も新たに加入。プロフェッショナルシリーズは、若く実力のある3名が参戦するとともに、黒岩唯一も継続してクラブマンシリーズに出場。人気と実力を兼ね備えたチーム構成に変わりはない。

「谷口選手が昨シーズン限りで降りることになって、冨林選手と地元の佐藤選手が加わることになりました。今シーズンは、清水選手と佐藤選手がブリヂストン、冨林選手がダンロップと装着するタイヤが異なります。レースではそれぞれの良いところがあり、得意なコースが異なります。オフシーズンのテストでは、冨林選手と清水選手が1台のマシンをシェアしたのですが、タイムはほとんど変わりません。タイヤも乗り方も違うドライバーですが、似たセットアップで乗れて、それぞれ高いパフォーマンスを持つので期待は大きいです」

最後に今シーズンの展望を聞くと、「もちろん優勝してチャンピオンを獲りたいですね。そのためには取りこぼしはできません。開幕から2戦目までは様子を見ながら方向性を確認し、第3戦となる岡山国際サーキットが1番のターゲットになると思っています」というように、現体制での初優勝とシリーズチャンピオンを虎視眈々と狙っている様子が伺えた。

K-one Racing Teamのリザルト
86/BRZ Race
2013年見並秀文(最高位14位)
2014年若杉将司(シリーズ11位、最高位3位)
2015年織戸 学(シリーズ8位、最高位2位)
2016年織戸 学(最高位3位)
2017年織戸 学(シリーズ14位、最高位5位)
2018年織戸 学(シリーズ3位、最高位1位)
2019年織戸 学(シリーズ15位、最高位6位)
2020年織戸 学(シリーズ16位、最高位8位)
GR86/BRZ Cup
2022年岡田 整(最高位27位)
2023年奥本隼士(最高位15位)
2024年谷口信輝(シリーズ20位、最高位10位)
奥本隼士(シリーズ15位、最高位3位)
2025年谷口信輝(シリーズ23位、最高位9位)
清水英志郎(シリーズ6位、最高位2位)

新体制のチームに初優勝を届けるのは誰か!?
仲間でありライバルの3選手から目が離せない

左から 清水選手 冨林選手 佐藤選手
左から 清水選手 冨林選手 佐藤選手

2025年から2026年シーズンへ移行するオフシーズンの中で、トピックスとなったのがK-one Racing Teamのドライバーラインナップ。プロフェッショナルシリーズへの参戦初年度で2位を獲得しシリーズランキング6位となった清水英志郎に、シリーズチャンピオン経験者の冨林勇佑と、若手で勢いのある佐藤凌音の2名が加わった。実力者の2人と威勢のいいドライバーの組み合わせは、どのような相乗効果を発揮するのか、それとも個性がぶつかり合ってしまうのか、いろいろな面で注目のチームとなっている。

ここでは今季の台風の目になる3選手に、意気込みとチームメイトの印象などを聞いてみた。

「シリーズチャンピオンを獲ったときからK-oneダンパーを使わせてもらっていて、小菅代表とは密にコミュニケーションを取っていました。縁あって移籍したので、愛知トヨタさんに優勝が届けられればと思っています」と、新たに加わった冨林勇佑は優勝を早くプレゼントしたいと意気込みを語った。

「去年は最終戦で2位となり、凄く惜しいところでシーズンを終えました。なので、まずは優勝することが1番の目標です。また、装着タイヤがブリヂストンに変わることで、1年を通して安定したリザルトを残せるとも思っているので期待しています」と、まずは自身の初優勝を目指すというのがK-one Racing Teamで2年目を迎える清水英志郎の目標になる。

2025年のプロフェッショナルシリーズを戦ったドライバーでは最年少で、初参戦ながらスポーツランドSUGOで4位に入る活躍を見せた佐藤は、「4輪レースのデビューが2024年のクラブマンシリーズで、昨年のプロフェッショナルシリーズもともに1台の孤独な体制でエントリーしていました。今年は2人の先輩がいるので、何倍もの学びがあると思っていますし、この環境を作ってもらい感謝しています」

実力のある2人のドライバーに経験では劣るが、間近で学んでノウハウを掴むことができれば、上位勢と肩を並べることがシーズン中にあるかもしれない。

では最後に、今回のオートポリス大会がどのような結果になるかを予想してもらった。

「予想は当たったことがないのですが、チャンピオンを狙っていくならどんなに悪くても5位以内には入りたいですよね。希望はポールポジションからの優勝ですが、トップを取れれば良いです(冨林)。僕も予選3位からの1位でもなんでも、優勝することを望んでいます(清水)。ここで15位って言って当たっても嬉しくないですよね。やはりポイントは獲りたいです(佐藤)」というように、どのようなパワーバランスになるか分からない開幕戦だが、3選手ともにトップチェッカーを目指して走るはずだ。

  • 冨林 勇佑

    冨林 勇佑

    K-one 愛知トヨタ DL GR86 #17

    1996年5月4日生まれ
    2016年にグランツーリスモ世界大会で優勝を果たし、2018年から実車でのレース活動を開始。2020年には86/BRZ Raceのクラブマンシリーズに参戦し、翌年にはプロフェッショナルにステップアップ。2022年にシリーズチャンピオンを獲得している。併せてSUPER GTにも2022年から継続参戦中。

    【主な実績】

    • 2020年
      シリーズ3位(クラブマンEXPERT)
    • 2021年
      シリーズ15位(プロフェッショナル)
    • 2022年
      シリーズチャンピオン(プロフェッショナル)
    • 2023年
      シリーズ13位(プロフェッショナル)
    • 2024年
      シリーズ3位(プロフェッショナル)
    • 2025年
      シリーズ7位(プロフェッショナル)
  • 清水 英志郎

    清水 英志郎

    K-one 愛知トヨタ BS GR86 #2

    2003年3月15日生まれ
    幼少期からカートレースに参戦し、2018年にはヤマハのスカラシップを得て全日本カート選手権に出場。2020年にはTGR-DCの一員としてFIA F4に参戦を開始。2022年にはSUPER GTへステップアップし、SHADE RACINGに所属。GR86/BRZ Cupには2025年から参戦を始め、最終戦では2位を獲得している。

    【主な実績】

    • 2025年
      シリーズ6位(プロフェッショナル)
  • 佐藤 凌音

    佐藤 凌音

    K-one 愛知トヨタ BS GR86 #24

    2004年8月28日生まれ
    愛知県出身で、5歳からカートに乗り多くの大会で優勝を果たす。全日本カート選手権を経て、2021年にはHRS-Fを受講。2024年にGR86/BRZ Cupのクラブマンシリーズで4輪レースデビュー。第7戦で2位に入り、翌年はプロフェッショナルシリーズにステップアップ。第2戦のスポーツSUGOで初ポイントを獲得した。

    【主な実績】

    • 2024年
      シリーズ8位(クラブマン)
    • 2025年
      シリーズ15位(プロフェッショナル)