2020年シーズン開幕!
モタスポコラム その1 2020.8.7
〇Supra is Back!
2020年誰がこのような困難なシーズンを予想したでしょうか?約3か月半遅れましたが、スーパーGTが無事に開幕しました(拍手)!みなさま、こんにちは!お久しぶりです。お元気でしたか?もうご存じのように先般の開幕戦は、Supra is Back! 15年ぶりにスーパーGTへTOYOTA GRスープラとして復活した開幕戦は、GT500クラスを席巻するトップ5独占、見事デビューウィンを遂げました。また、今季GT300クラスに参戦するJAF-GT車両のTOYOTA GRスープラも優勝と、両クラス制覇という大団円からのシーズンのスタートとなりました。おめでとうございます!
(レース結果は、こちら)
今季は、ご存じのようにGT500クラスは3メーカー新車デビューのそろい踏み!昨年の9月です、新車発表会でお披露目をしました。スマホの写真ですがどうぞ。あの時は、期待に胸を膨らませるGTファンでネットは騒然としました。大変盛り上がったのを記憶しています。
そして、お客様の前で走ったのが、昨年のスーパーGT最終戦。11月でしたが、デモランを披露しました。TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント、昨年までスーパーGTでは皆さんご存じTRDとしてクルマづくりをして来ました)の開発陣も一部ですがサーキットにやって来ました。せっかくだから記念にとパチリ。TAKE1、社風でしょうか?硬い…。技術者は笑わないイメージですが、先の未来は明るく行きたいので、笑って!と声をかけてみました。TAKE2!バッチリですね。スーパー裏方のみなさん!引き続き頑張ってくださいね。。
3メーカーのクラス1という規定の車両の誕生、DTM(ドイツツーリングカー選手権)とのコラボがいよいよスタートと新しい時代の到来に胸が高鳴りました。ホンダさんもミッドシップから、FRのクルマづくりとみんなが新しいシーズンに向け必死でした。
そして、今年に入りコロナ禍…。これまでの安寧の世の中は一瞬にして消え去り、2度再考されたレーススケジュールも、世情次第で流動的なものとなることを覚悟し3月の岡山公式テスト以降、罹患することに細心の注意を払い自粛期間を約3か月過ごしました。
そんな中、業界関係者のご尽力でようやく6月の公式テスト(富士スピードウェイ)にこぎつけシーズンの準備が再開。感無量でしたね。サーキットで再会する業界関係者とは、久しぶりに親戚にでも会うような近い距離感。まあ、シーズンが再開すると親戚以上に毎週お顔を拝見するのですがね(笑)。スタート地点にようやく…、ですよ、辿り着きました。前置き長いですが、記念すべきコラム初回ですので、レースウィークを時系列で振り返ります!
初日はチームスタッフのみなさんサーキット入りで設営日です。今季は富士スピードウェイではレースが4回開催されます。御殿場に拠点を置くチームが多いので、公共交通機関を使用しないという点で、移動のリスクが軽減します。オリンピックが延期となり、自転車競技が開催される予定だった富士が空いていて良かったと、諸々の状況を鑑みるとそんな思いです。公式テスト、開幕戦、第2戦と3回同じサーキットで開催されるという事は、実施されているコロナ対策を確立し新しいスタイルでレースを開催するモデルケースになる。そんな配慮もあるようです。
スーパーGTのオーガナイザー、GTアソシエーションにより、テスト・レース開催2週間前から、サーキットに集う予定の人全員の検温と体調の報告を義務付けられています。レースウィークの現地3日間でもそれを行います。サーキットへの入場の際にも検温を実施と管理を徹底。水際からの配慮も徹底し、そこからレースウィークがスタートするのです。言い忘れましたが、全体で現地入りする関係者の人数は、最小限に絞られています。大事なレースを守る為ですよね。そこまでかと当初は思いましたが、すでに検温など手慣れたもんです。自分の健康、周囲にも迷惑をかけないよう、仕事もそうだけど積極的に守らないとね。
そんなスタートから、関係者とマシンやチームの備品を載せたトランスポーターがサーキットへ入場。いよいよ搬入の開始です。パドックに留め置きしてあるトランポをご覧になった事がある方は沢山いらっしゃると思いますが、トランスポーターが連なって来るシーン、走行シーンは大好物。圧巻!大きな乗り物はやはり夢が詰まっていて良いです。子どもです、そういうとこ未だに…。そしてトランスポーターから見えるクルマたち、多幸感しかありません(笑)。中々見られないシーンと思いますので、チームのみなさんお疲れさまですと思いながら、写真に撮っています。
通常なら初日は備品の搬入の他に、公式車検があるのですが、今回は、全車を並べての撮影がありました。これはクルマを並べるのに2時間半、撮影、撤収に30分と計3時間もかかっていますので、金曜日はこれにておしまい。雨に濡れながらの初日、風邪を引いて熱でも出したらここまでの努力が水の泡、という事でサーキットを出て、自分が戦う訳でもないのに勝つ?トンカツでした(笑)。チーム関係者いっぱい、この日は19号車のドライバー、監督さんがいらしたとんかつ屋さんにて、挨拶しながらルーティンの晩ごはんでした。
〇Day2
2日目は、公式車検といよいよ公式練習です。朝食時、おはようございます!と相変わらず、本当は日本人なんじゃないかと思う日本語がうますぎる23号車のロニー・クインタレッリ選手でした。隣でもぐもぐ。レース関係者いっぱいのホテルで、女ひとりの朝食は若かりし頃は、何か寂しかったですが、リゾートしてる訳でもないで完全に慣れました。出張時ってなぜしっかり食べてしまうのだろう?食べないと動けないという理由付けを引っ張りだして20年。過積載のまま出発です…。
サーキットに到着すると、ピットロードに出て端から端まで…。相変わらずの天候ですが行ったり来たり。天候が回復した時点で、ピット作業の練習をしたり、この日も天候が不安定でした。
珍しい車検があるというのを教えていただき車検場に向かいました。車検場の中は、撮影禁止エリアですが、外で行われるので大丈夫とのこと。新車に対して行われる「つり上げ車検」と呼ばれるものを見学しました。今回は、GT300クラスの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT がJAF-GT車両として初参戦という事で対象となりました。
この車検は何をするかというと、不測の事態の際に、車両を搬出出来るか実際にやってみます。フックをつけて、ちゃんと持ち上がるのかどうかと…。ここでは2点のフックで持ち上げていますが、サーキットによっては、4点だったりするそうです。しっかりぶら下がっていますね。OK!ということで、クリアし通常の車検に旅立って行きました。
雨、霧を経て16時からの走行は、霧でスタートディレイでした。スタートを待つ間、カメラ好きの19号車の国本雄資選手が、私のカメラを持っていって撮影を始めました。
ドライバーさんが撮影すると、被写体になる方は私たちメディアには見せない表情を見せたりね。チームメイトの宮田莉朋選手、今回GT300クラス優勝の52号車SAITAMATOYOPET GB GR Supra GT吉田広樹選手に、同クラス2位11号車GAINER TANAX GT-R安田裕信選手をパチリ、チームの林エンジニアやメカさんたちいい感じ。カメラ好きなのは有名ですが、ほんとクルマの走りの写真も上手なんですよ~。やがて霧がおさまって来ると、お!走れる!と国本選手カメラを私に戻し集中です。
公式練習で90分走りこんで、最終的に今季から脇阪寿一監督が率いる39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra山下健太選手(ヘイキ・コバライネン選手が来日出来ずスイッチ)が3番手でトヨタ勢最上位のタイム。助っ人ながらさすがチャンピオンの貫禄。感性で走ってしまう天才なんだなと常々思います。今季、スーパーGTへの参戦はないものの、やはり今をときめく、“乗れてる”ドライバーに間違いないですね。明日の天気は?という事で2日目終了。帰り道、コンビニ弁当買いこんで、ホテルで仕事。これが一番捗りますハイ。
予選決勝をこの一日で完結するワンデー開催の始まり始まり。朝から見る見る天気は回復。走行前にピット周りしつつ、暖機の音にサーキットの日常を感じつつ予選開始です。コースインの瞬間は、モニターで見てもワクワクするもの。これまでのテストや前日の流れで好調なNSX-GT勢がポールポジション最有力の自分の読みは見事に外れまして、37号車がKeePer TOM'S GR Supraがポールポジションを獲得しました。ワンデーなので、気持ち的にもう決勝の事しか頭にない会見。時間ないから仕方ないですね。
Q1でGT500クラスルーキー、8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺選手がマークしたタイムが最速だったことを考えると、彼に今後も大注目ですが、NSX-GTポテンシャルは怖いものがあります。100号車 RAYBRIG NSX-GTのGT500クラス2年目の牧野任祐選手も怖いぞ~。お二人とも海外経験もありますし、ほんと末恐ろしいドライバーさんです。速いよね~。レースウィーク会えないドライバーさん沢山いらっしゃいますが、今季も魅力的がドライバーさんでいっぱいなのは間違いないです。
ドライバーアピアランスのシーンより。今季36号車 au TOM'S GR SupraからGT500クラスデビューのサッシャ・フェネストラズ選手、微笑ましいファンサービスをやってくれました。「ファンの方達に早く会いたいです♥」とメッセージをスマートフォンに表示しています。こちらも経験豊富な大型ルーキー。チームはプロフェッショナルでやりやすいし、何より速い関口雄飛選手が何でも教えてくれるからやりやすいと、のびのびやっている様子。伸びしろ大の21歳です。若っ。
日本語も積極的覚えて使ってととにかく日本に馴染んでくれているのがうれしいですね。チームは、舘信秀総監督を含め外国人ドライバーの扱い(失礼…)に慣れておりますので、在籍する外国人ドライバーも安心してレースに集中できます。今季は36号車担当から、トムスの2台を束ねることとなった東條力チーフエンジニアは、彼のレース運びに注目のようです。速さは文句なしとの事ですので、これはますます楽しみですね。
パルクフェルメ、記者会見など、大会運営側の配慮にも注目です。ソーシャルディスタンスが保たれ、密を回避。表彰式も、トロフィ、盾などが事前に壇上に置かれ贈呈シーンやシャンパンファイトなどをなくす配慮で、セレモニーがコンパクトに。若干さみしくはありますが、これも仕方ないのかなと思うシーン。とにかく異例なシーズンです。
14号車 WAKO'S 4CR GR Supra、38号車 ZENT GR Supraが同居。昨年までは、まったく異なるチームではありましたが、今季は同居です。もちろん近い存在ほどライバルでもあるのは、トムスを見ているとそう感じます。今季は参戦スタイルが若干変わり、14号車は昨年立ち上がったルーキーレーシングの1台でもありますので、今後はまた展開が変わりそうですね。そうそう決勝の坪井翔選手の追い上げすごかったですね。これまで何度か見ていますが、かわいいお顔して(コラ)超アグレッシブ。抜き方といつもの笑顔のギャップがもうね…。何はともあれ、ピットの中の2台の切磋琢磨は注目、ベテラン38号車もますます楽しみです。
今季導入されたFCY(フルコースイエロー)は採用されず、コース上で不測の事態が発生した際、必要によりセーフティーカーを導入という従来のカタチで対応していました。満足な準備期間がなかなか取れなかったので、実施は当分持ち越しでしょうかね。
こちらは、ファンの方がサーキットに届けてくださったという応援旗。
こちらは2011年の写真、現在の脇阪寿一監督がサインをしておりますが、東日本大震災に見舞われたシーズン直前、ファンの方が準備してくださりドライバーや関係者でサインした旗ですね。第2戦の富士大会が実質の開幕戦となったあの時です。わたしも僭越ながら書かせていただいたんじゃなかったかな。今回は、誰も居ないさみしいスタンドで、ずっと見守ってくれました。ありがとね!
決勝の内容はもうご存じだと思うので、自分目線の感想を。37号車は、とにかくノーミスで完勝。20秒以上のマージンを稼いでいた時に赤旗セーフティーカーの導入となり、ギャップがゼロになった時も平川選手は落ち着いていて、このまま勝てる訳はないと思っていたそうで、むしろ集中して走ることが出来るとポジティブに考え無事にチェッカーを受けました。開幕戦から堂々のポールトゥウィンでした。頼もしい安定感のあるドライバーに成長しましたよね。ニック・キャシディ選手もですが、そもそも昔っから速くてミスのないドライバーたちです。
平川亮選手がGT500クラスデビューの2015年。開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットは、彼が普通自動車免許を取得する以前から走りこんでいた誰よりも良く知るサーキットでした。ポールポジションを獲得した時、ピットに戻る為ピットロード歩いて来たのですが、おめでとうと言う私の横を“レロレロレロレロ”と言いながら消えて行きました(笑)。何語を話していたのかは不明ですが、あの時は間違いなく地球外生命体が通り過ぎて行きました…。
昨年の最終戦、自分たちでやれることを全てやり遂げ優勝したにも関わらず、タイトルに手が届かなかった37号車。涙を堪えつつ、落ち込んでいた平川選手を山田淳監督が頭を撫でながら無言で慰めていました。全力で走り切ったドライバーの無念さを目の当たりにした瞬間でしたね。その時のニック・キャシディ選手は、逆にサバサバしていたように見えました。もちろん悔しさありきで既に来年の事を考えてるのかなと。“その悔しさが自分たちを強くしている”と、今回の優勝記者会見で平川選手は述べていました。悔しさを原動力した二人の勢いは、まだまだ止められないかもね。メカたちもノーミスでしたよ!お疲れちゃん!全員じゃなくてごめん!
終わってみれば今回はGRスープラ圧勝となりましたが、他メーカーのクルマたちももちろん侮れません。GTってそんな簡単じゃないとおばあちゃんが言ってましたから(笑)。ひとまず、念願のシーズン開幕を祝し、みなが健康でいてくれることを祈り、また業界応援団としてそっと盛り上げて行くことが出来る幸せに浸りたいと思います。相変わらず指がおしゃべり、かなり長くなりましたので、またね!
大谷幸子の近況
シーズンスタートで、すっかり鈍った五感を刺激する為、カメラ持参でお写ん歩。梅雨が明け、横浜みなとみらい散歩も美しい青空を獲得するも、日焼けの代償でシミだらけ。ガラガラの中華街や元町界隈にコロナ禍を生き抜く大変さを目の当たりにしつつ、みなとみらいに、若干、人が戻ることには危惧を抱く日々。
No Music No Life、Maroon5など子どもの頃から洋楽が大好きで、海外のアーティストが続々と新曲をリリース。プレイリスト更新というもはや仕事かと思う作業も楽しい。80年代洋楽と近年ヘビロテし過ぎたクイーン、解散さみしいARASHIなどのJ-POP、オーディション番組にハマったNiziUなど、すぐそこまでのカーライフも、音楽でかなり充実。
やられてもやり返せない自分を、ドラマ「半沢直樹」に託すも、毎週あのイジメに自分も翻弄され本気で腹を立てるのかと思うとやるせない…がやめられない。妄想の中だけど、近年世界を救えるのは、半沢直樹とイーサン・ハント(ミッションインポッシブル)だと強く思っている。
藤井聡太棋聖のおやつを気にしつつ、コロナ禍のライフスタイルでカラダの衰えに向き合いながら、日々ほんのわずかな楽しみを活力とし、引き続き現場、頑張ります!みなさんもまず健康第一で、夏を乗り切りましょう!