• モタスポコラム その118-大荒れのレースの中で古豪復活!ザック・オサリバン2戦連続で表彰台を獲得! 〜スーパーフォーミュラ第9戦、第10戦〜

大荒れのレースの中で古豪復活!ザック・オサリバン2戦連続で表彰台を獲得! 〜スーパーフォーミュラ第9戦、第10戦〜

モタスポコラム その118 2026.10.23

さあ、再び2レース開催!菅生の1レースの内容も濃かったけれど、今回は驚きの連続でした。シーズン終盤を迎え、関係者の皆さんも一層気持ちを引き締めている様子。SNSでもそれぞれの思いや決意を投稿したドライバーもいて、残りのレースに懸ける意気込みが感じられました。

そして、チーム側も大忙し。複数のカテゴリーに参戦していたりで人手が足りないチームもあり。SUPER GT 3連覇をした36号車の伊藤大晴エンジニアがVANTELIN TEAM TOM’Sではタイヤ担当のお手伝い。吉川マネージャーは、併催のフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)でお仕事。自チームで人手不足を調達できるのは大変だけど良いかもね。シーズン終わりまでほんとチームの皆さんも大忙し。お疲れさま!

今大会は、GR勢TEAM IMPUL、ザック・オサリバン選手が2戦連続の表彰台獲得と大活躍でした。先般、来季のFIA フォーミュラE世界選手権のシートが獲得できたことを発表していましたね。少し寂しく思っていた矢先、鈴鹿サーキットで開催される最終ラウンドもその関係で出走できないこともおっしゃっていましたが、その最後にふさわしい戦いを見せてくれました。

TEAM IMPUL星野一義総監督も大喜び。すっかり穏やかになったと思っていた星野さんも、レース中のピットではいつもの星野さん、やっぱり熱かったです。第9戦では熱い声援をしておりましたが、第10戦は見事すぎて拍手を送っていました。

古豪復活!TEAM IMPULは、こうじゃなくちゃね。優勝にこそ届かなかったものの、来季もまた、この走りを見たい!そんな思いを抱いた方も多かったのではないでしょうか。

ザックは、日本で2年間走ってくれました。思えば2年などあっという間でしたが、たくさんのことを学んだと。ウィリアムズF1チームのWilliams Racing Driver Academyに所属していた素晴らしいキャリアのことは、そんなの過去のことだからと言って来日当初から謙遜していました。そして、今年はチームが良い仕事をしてくれ、この結果を導いたとチームに感謝のコメントを述べていました。チームは、語学が堪能な星野一樹監督も含め、戦うには困らない環境があったと思います。今シーズンの初めにとても環境がいいと言ってたんですよね。

来季へと繋がる、そして繋げたい走りを披露したチーム。大ベテランのスタッフたちが多くチームを支えていますが、だからこそいつも冷静。しかし久しぶりの表彰台に笑顔が見られてとてもよかったです!おめでとうございました。

タイトル争いには、だいぶ水をあけられているGR勢。今般、ランキング首位に立つHonda太田格之進選手の戴冠が確実視されていて、早ければ日曜日の予選後に決まるでしょうの流れでした。しかし、予想だにしない展開で上手の手から水がこぼれ戴冠ならずでした。これはライバルとしてリスペクトしているので、こちらも若干困惑しましたね。ポイント的に今季はタイトルは厳しいのですが、栄冠の行方は最終戦の鈴鹿へと持ち越されました。

最後まで我々も出来うる限りのチカラを注いで、駆け抜けますのでぜひ応援に来て欲しいと思いますね。では、だいぶ書いてしまいましたが振り返ります!

○金曜日

朝から、38号車SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING阪口晴南選手が目を負傷し欠場とのニュース。急遽、卜部和久選手が代走を務めることとなりました。チームに帯同していますが、前日も一緒に過ごしていたという卜部選手。急遽、レーシングギアを整え、走行に備えることに。

フリープラクティス2、この日の午後のセッションに登場したのですが、心配をよそに堂々と走行してのけました。渡邊信太郎エンジニアに聞いたところ、晴南くんのセットのまま走行したとのことで、彼には伸び代しかないと頼もしいお言葉。スタッフも彼が所属しているチームのSUPER GT GT300の2号車とメンバーがだいたい一緒。トラックエンジニアが一緒なのも彼にとって安心だったかも。何かこう、この代役が思わぬチャンスを秘めたものとなりそうな期待も大きく込めました。こんなワクワクすること常に勝手に思ってますけどね。

チームの金ちゃんマネに伺ったところ、眼の方は診療にあたった病院によれば全治1週間ほど。ちょうど翌週のSUPER GTオートポリス大会の頃にはもう大丈夫かも?とひとまず安心しました(私個人の感想ね)。目に何か入って違和感があったところをこすってしまったそうです。私も目をこする癖があるので気をつけないと。目はレーサー、大事ですよね、300キロとかの速度を出しちゃいますからね。思わぬハプニングでしたが、軽症で良かったです。今季、調子が良いので出走してランキングを上げたいと思っていた矢先だったと思うのですがね。

この日は、午後から半袖にはちょっと冷える陽気でしたね。チームインパルのピットを訪問し星野さんとしばらくお話をしました。マネージャーさんがコーヒーを出してくれてとても嬉しかったです。ちょっと座らせていただき話しました。

すっかり穏やかになられたと思って、心配になりました(笑)。冷えちゃってたのかな。考えてみたら、まだ予選でもないですしね、熱血監督も穏やかで当然です。この時に、いろんなお話をしましたが、現在、ご子息の星野一樹さんが監督をされ事業も頑張っていらっしゃいます。星野さん、「もっと早く渡しておいたら良かったなあ…」なんておっしゃってね。これはあとでカズキング(星野一樹さん)に知らせなくちゃと思いました。バリバリの日産チームですが、このカテゴリーだと同志です。こんなお話は聞けないなあと思いながら、トヨタエンジンを使って参戦してくださった当初、もう20年も前のことをふと思い出しましたね。

近寄りがたい鉄壁の強さを誇ったチームで、ピットにマシンが入る度に、リアウィングに布をかけて目隠ししたりトップチームってこうなんだと思って遠目で見ていました。優勝も珍しくないし、タイトルも獲得してほんとチーム丸ごと強すぎてね。それでも、トムスがスーパーフォーミュラ参戦初年度の2006年、星野さんがきっとすぐライバルになるんだろうなあとおっしゃってたんですよ。確かに初年度から勝利を挙げるなど、その実力は十分に示していましたが、インパルのピットは常に熱気に包まれているように見えていました、私にはね、懐かしい。

フリープラクティスは、トップが随時入れ替わるいつもの激戦。全くこの富士大会の2戦は想像がつかない感じで初日の走行を終えました。さっぱりわからん!

ピット周りは今年もハロウィンムード。チームさん多忙なのにお疲れ様です。この日の夜に飾るチームもありましたね。併催のレースの女性のレース「KYOJO CUP」もありますからレースウィークはますます華やかなんだろうなって思いました。

○土曜日/第9戦
バタバタと予選・決勝、プラス自分はKYOJO CUPの予選、スプリントレースも見たりの濃い1日がスタートしました。

第9戦の予選は、Honda勢1-2-3 6位のザックがGR勢トップ。それにNTT docomo Business ROOKIE福住仁嶺選手、VANTELIN TEAM TOM’S坪井翔選手が続きました。厳しいな…。

ここで急遽代役の卜部和久選手は、なんとQ1 Bグループを5位で通過!このQ1を超えられないチームもあるのにね!サクッと進出しちゃいました。この時にQ1落ちした先輩ドライバーの顔…、ショックを受けていましたね。衝撃的な実戦デビューを目の当たりにしたので。決勝の方は、やっぱり難しかったと卜部選手。ピットストップの無いフォーミュラのレースは初めてということで、怒涛のチャレンジが続きます。

予選だけでも立派でしたが、第9戦決勝は見事21位で完走を果たしました。本人は納得していませんでしたが、ポジションの数字だけ見るとですが上出来だと私は思います。経験値はもちろん必要ですが、何より大事なこと、クルマを壊していないこと。Q2へ進出したこと。ここはかなり評価されて良いんじゃないかと思います。

そして、テストで走ったことがあるとは言え、時間も経過していますし、ぶっつけ本番に近い状況。だからここは欲張ってもしょうがない。先へと繋がることに期待です。

初めてのレースだったとはいえ、ジャーナリストの方々からは、これまでのスーパーフォーミュラ・ライツ(以下、SFL)での経験が生きたのではないか、という声も聞かれました。SFLのマシンは非常にレベルが高く、競技レベルも高いです。そうしたミドルフォーミュラで経験を重ねて来たことが、今回の走りに大きく生きたのではと思いますね。

実際に、メーカーのドライバー育成プログラムを含む、SFLからステップアップして活躍するドライバーも多く、海外勢もそれぞれの国や地域のミドルフォーミュラで経験を積み、トップカテゴリーへとステップアップして来ます。むしろそのキャリアがないと、このカテゴリーはレベルが高いので大変だと思うのですよね。

レース後のミックスゾーンでは、憧れていた舞台で夢見心地とおっしゃっていましたが、ちょっと首が痛いのでこれが現実かなと思ったとのこと。肩や腰への負担に加え、ブレーキペダルが遠く、操作のたびに腰が動いてしまうのが辛かったという説明で、さらに限られた時間のなかでシート合わせも十分にはできなかった様子がわかり、急遽代役としてマシンに乗り込んだという状況が把握できました。

SFLと比べるとどうかという質問があったのですが、時間も長いし体力が削られると。乗ることがいちばんのトレーニングと感じたそう。首が痛いことをチームメイトの大湯くんに話したところ、「大丈夫!慣れだよ、慣れ」と先輩の大湯くんのモノマネしながら彼の言葉を信じると回答していました。SFLになかったものは、オーバーテイクシステム、タイヤ交換、長距離のレースを挙げ、初めてづくしだったと吐露。第9戦が終わり、緊張が若干ほぐれたのか、リラックスしたムードでメディアへ応対していました。

第9戦、ザック・オサリバン選手が3位表彰台を獲得!もうチームは大騒ぎでしたね。チェッカー後、優勝したHonda 65号車の伊沢拓也監督もカズキング(星野一樹監督)におめでとうを言いながら、パルクフェルメに向かっていきました。監督同士も緊張していたようでいいムードでハグしていました。おめでとうございました。

夕方、珍しく少しピット周り。2レース制の日中は、バタバタで話も出来ないことも多いので。近況やチームの様子を伺い日中のバタバタからのリセット、帰路に着きました。

○日曜日/第10戦

最終日を迎えました。公式予選は、ザックが3位!大湯都史樹選手が予選5位。坪井くんが6位。トップ10に3人のみ!うわーって感じで凹みました。3人に続いたのが、KCMG山下健太選手。13位と上位ではないけれど、あと一歩でQ1を突破と7位まで来たので、前日よりは少しいい感触なのかなと思いました。

予選後に戴冠が決まるかも?のHonda太田選手のチームで、タイヤのつけ間違いがあったとのこと。とても珍しいハプニングでした。もちろんハプニングで済まされないのが、マーキングしていないタイヤが置いてあったこと。つけ間違いの影響でニュータイヤでのアタック出来ずユーズドで走り4位。これフツーに作業していたら太田選手ポールポジションだったかも?とあれこれ思います。

決してミスを取り上げ指摘したい気持ちなど微塵もなく。目前に大きな目標が迫るなかでは、どれほど経験を積んだプロであっても、思いがけない判断や行動をしてしまうことがあると思ったのです。詳細はわかりませんがリザルトのペナルティの文言から読むとね。そんな人間らしさもまた、レースという極限の世界にはあるのだと思いました。このような事態はこれまでも状況は若干違うにせよ見て来ました。さまざまな作業が入り交じる慌ただしいピットでは、どれほど注意を払っていても、起こり得ることだと思います。こういう時、もちろん再発を防ぐことも大事ですが、重要な場面だっただけにココロのケアも大事かなと。あとからSFgoを見たりしてそんな予選だったのかとライバルながら心が痛みました。みんなガンバですよ。

大混雑のピットウォークを終え、決勝を待つばかり。その前にKYO JO CUPの決勝。もうね、ほんとすごいレース展開なんですよね。バトルもあるし、OTS(オーバーテイクシステム)がないのに!バチバチにやり合う。かっこいい戦いぶり。意地とプライド。悔しさの涙も流す。そこはね、さすがに声はかけられないけどね。今回も涙を見つつ次頑張れと心の中でしか言えませんでした。

そして、スーパーフォーミュラ第10戦のスタート進行へと進んでいきます。

そうそう、そのスタート進行、レコノサンスラップ直前、20分前くらいに大湯都史樹選手が展開していたDJブースにお邪魔して来ました。入ったらラウンジになっていて食事も出来たみたいですね。全日本ロードレース選手権に参戦している長島哲太選手がいらっしゃいましたが、大湯くんをゲストDJとして招いたことからお二人の交流が始まったそうで、今回は富士スピードウェイのパドックにDJブースが登場していました。

短い時間でしたが、no music no lifeなおばさんなのでもうちょっと居たかったなあ。いやいやスタート進行だったし。でもそこにいたのは大湯くん。走ったしピットまで、撮りながら追いかけたし、私は。距離感間違えて写真のピントあってないし(笑)。クルマが動くのは撮れるのに、あれ?レンズデカかったね…。ようやく落ち着いてパチリ。後ろで織田チーフメカがしっかり見守ります。

グリッドは歩く場所がないくらいでした。国歌が始まってもグリッドにはまだたくさんいらして、ちょっと心配になりましたが、無事にレースはスタートしました!

第10戦決勝、かつてここまで大荒れのレースはあったでしょうかね。驚きでした。まだの方、ぜひSFgoで視聴してくださいませ! やっぱり後から繰り返し見られるのは助かります。ドライバーもすぐ見たい気持ちも理解できます。

Honda岩佐歩夢選手、今季初優勝!大逆転を目指すチームがポイント差を詰めました。ザック・オサリバン2位!ファイナルラップで、抜きました!かっこよかったね!これも劇的な展開で立つ鳥跡を濁さず。2戦連続でみんなを魅了する走り。こんなの見せられたら、ますます来季、彼がいないのが悔やまれる。いや言葉違うね、悔やんでもしょうがない。有望な彼が世界に行ってしまうのがわかるレースウィークでもありましたね。あちらのカテゴリーの資金面のお話も伺いました。潤沢な資金が我々にもあればね。いや世界に送り出すとそんなお話も星野さんとしました。

荒れに荒れた大荒れのレースの中で、リタイア8台!チャンピオン戴冠確実視された太田格之進選手もリタイアというほんと誰も読めない、そもそも読めるわけがないのですが、そんな展開で終えました。

14号車がピットアウトしたときのアンセーフリリースもありました。4台が絡んで他のチーム3台リタイア。14号車は30秒加算…。

坪井翔選手が1コーナーでまっすぐ突っ込んだのも驚愕。それに巻き込まれたのが、SUPER GTでの3連覇のチームメイト山下健太選手。不調だった今季を払拭する走りで、ピットアウト後4位だったところでリタイア。これはかなり凹んでいました。チームもようやくチャンスが巡って来たところでしたが、また頑張ろ!

卜部選手も小林可夢偉選手に追突と、そんな経験もしちゃいましたね。ブレーキトラブルだったようですが、とにかくハプニングが多く起こった第10戦でした。レースはつねに悲喜交々。

終わってみればしっかりコースに留まったクルマたちは入賞!
5位にサッシャ・フェネストラズ、8位チャーリー・ブルツ選手、9位ジュリアーノ・アレジ選手、10位ロマン・スタネック選手が入りましたよ!

優勝こそ出来なかったGR勢ですが、やれることを精一杯やったレースウイークと感じました。次戦は、タイトル争いこそ絡んでおりませんが、来季に繋がる走りとしたいですね!ガンば!

レース後は、「BOAT RACE AFTER RACE PARTY」。今回はホームストレートではなく、イベント広場で開催されていました。メディアのミックスゾーンもイベント広場のステージ前という。あれ?って感じでしたが、来てくださったドライバーに感謝ですね。クラッシュで身体のことを考え帰られた方や可夢偉くんは、WECバルセロナ6時間レースの為に帰還など来られないドライバーさんもいました。パーティ取材はしておりません。自分がガッツリレースモードだったのもあって、楽しいコンテンツの取材はほぼナシでごめんなさい!

○KYOJO CUP
第4戦決勝は、佐藤こころ選手が優勝しました!2位にジョアンヌ・チコンテ選手、3位翁長実希選手。KCMGは表彰台の常連ということで、お兄ちゃんチームの分を頑張っていますね。今月の終わりに最終戦が開催されます。単独開催ですので、とても着やすいと思いますので、女性のフォーミュラカーのレース、一度ご覧になって見てください!

大谷幸子の近況

やっぱり今年も、もうこんな時期。あとは、最終ラウンドを残すのみ、SUPER GTも。早過ぎましたね。どうもレース以外の写真を間違えて削除してしまったかもです。文字ばかりでごめんなさい。やってしまった…。

来年のことを言えば鬼が笑うとはいいますが、来季はサマーブレイクが導入され、3週間の休暇が設けられます。昨今の日本の夏はあまりにも暑すぎるので、これは賢明な判断だと思います。しかし、その分、発表されたスケジュールは過密になった感あり…。暑さを避けられるのはありがたいものの、今度は仕事の時間のやりくりに頭を悩ませることになりそうです。今年もスーパーフォーミュラ、 SUPER GTの連続のレースウィークが恐怖でした。コラムの締め切りが間に合わない! 最後の2戦も引き続きよろしくお願い致します!

(写真:日本レースプロモーション、大谷幸子 テキスト:大谷幸子)