• モタスポコラム その27-チャレンジャーとして挑む
    (写真:トヨタ自動車)

チャレンジャーとして挑む

モタスポコラム その27 2021.11.12

ただいま!国内ビッグレース4連チャン終了!いったん、インターバル。半月後の最終戦を控えるのみとなりました!

今回は、予選ポールポジション、決勝2位表彰台を19号車WedsSport ADVAN GR Supraが獲得しました。しかしNSX勢強し、GRスープラ勢、タイトル争いは黄信号、権利はミラクルが起きない限り…、こう書くとライバルの不運を望むみたいでいやなのですが、そういう状況となりました。

今季は、海外ラウンドの代替戦が7月にここツインリンクもてぎで開催された為、GT2回目。ちなみにスーパーフォーミュラも2回開催された異例のシーズン。しかし前回とはサクセスウェイトは変わっているものの、2位と好成績だった19号車はきっと活躍してくれると期待を込めました。そして、勢いに乗る8号車ARTA NSXは何が何でも来るでしょうというのが予選前の私の予想。

4週連続のレースウィークで、Honda陣営の野尻智紀選手、福住仁嶺選手のお名前を毎週毎週聞きました。タイトル獲得、連勝で大活躍なお二人。今回の予選日の朝、まさか今回も?と頭をよぎりました。朝時間がなくて途中でSNSの下書きに入れたのですよね、搬入日に撮った野尻選手の写真を…。とても良いお顔をしていたのです…。

昨年のもてぎラウンドでは、HondaさんのホームコースでHonda祭り、NSX表彰台独占というシーンもありました。まあ、楽しみは2日後にということで常磐道を降り、始まったばかりの紅葉を愛で運転も楽しく現地へ向かいました。

今回も事前に受けたPCR検査の陰性の結果をプリントアウトし、事前に検温の結果を送り続けてサーキット入りです。では、振り返ります!

〇搬入日

サーキットは、サポートレースもFIA-F4のみで静か。毎週ご一緒の業界関係者とは、お盆と正月以外にしか会わない自分の親戚以上に濃くお目にかかっておりますが、今週もお疲れさまですホントに。 相変わらずみなさん元気で手際が良くプロの仕事してます設営から。準備に忙しく働く姿を写真に撮るのが何か自分だけ楽をしているようにも思え、少し躊躇したり。でもやっぱり撮ります。彼らもレースウィークにユニフォームに身を包み、普段と違う時間を過ごすから。

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    (出勤して来たドライバー、関係者のみなさんも、この日だけはリラックスムード 設営コースウォーク、ミーティング、いつものレースウィークの始まりですが連戦お疲れ様です!)

そして、忙しい合間にいろいろ教えていただくという。取材の良い材料が拾えたりしますが、何より一番は信頼関係を築くことができるというところでしょうか。中(チーム)の空気感、温度を良い意味で探る。彼らの邪魔をしない外部の人間の自分との距離を定めながら取材をする、これがとても大切なんですよね。

以前ならここが最終戦で常に防寒に気を遣っていましたが、近年、みなさん日中は半袖姿で設営をされていたり、なんともあたたかい茂木がデフォルトになりました。ぽかぽか陽気の小春日和が決勝日まで過ごしやすかったです。

〇予選日

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    (ポールポジションを獲得した宮田選手がピットへ戻ったところ)

もうね、ヨコハマタイヤ速かった!19号車! 朝の練習走行では、まさかのビリ。あれ?うそ~?そっとしておこうと思ったのですが、予選で奮起。Q1を無事に国本雄資選手のアタックで通過。Q2は宮田莉朋選手の出番。アタックラップ、セクター1のラップタイムが出るとピットで見ていたヨコハマタイヤさんが、速っ!とおっしゃいました。モニターのセクタータイムが全て真っ赤で更新されトップタイム。もう1周アタックに行ってましたがこれも真っ赤っか。最後少しだけバランスを崩しましたが、見事ポールポジション獲得です。テレビでも映っていたかと思いますが、勢いのままピットに戻って来て絶叫した宮田選手。絶叫の部分だけは映ってなかったけどみなさん大喜びでした。

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    (ポールポジション記者会見場にて)

ヨコハマタイヤを履いたGT-R、24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが2番手につけ、フロントローをヨコハマが独占しました。記者会見では、19号車の2人は喜びを味わいつつも、夏の同じくもてぎのラウンドでポールから2位となったことで冷静。笑顔よりもすでに明日のこと…でした。

シーズン終盤ですのでタイトル争いにも触れると、GRスープラ勢の中でランキングトップの36号車の予選は14番手、ディフェンディングチャンピオン1号車 STANLEY NSX-GTは10番手。1台だけ燃料リストリクター搭載で苦しいですが、踏みとどまっていました。

そして、最後尾のグリッドは、38号車 ZENT CERUMO GR Supraです。朝の走行からいろいろ試している感じで、ピットはバタバタしていました。石浦宏明選手がアタックしたQ1で、最下位になった瞬間、立川祐路選手は、まさかの結果に「笑顔」でした。たまたまそこにいたのですが「ヘルメットかぶって待ってようかな」と冗談を言ってらっしゃいましたが、信じられないという面持ちでしたね。私も信じられませんでしたよ。なかなか見ない予選リザルトでしたから。苦労していたんですね。

前戦のオートポリスでは2位表彰台獲得でファンもほっと胸をなでおろしたばかり。田中耕太郎エンジニアも、「オートポリスの石浦、次は誰?」と決勝でのオーバーテイクショーがかっこ良かったと話してくれていたんですよね。だから、昔からここが得意のセルモの印象があるので、もう少しだけ上に行って欲しかったかな。

石浦選手がピットに戻ると、みんな言葉なくまずデータのチェック。私はピットからそっと去りました。ブリヂストンタイヤ勢のチームが選択したタイヤのコンパウンドが、路面にマッチしなかったようですね。まあ、レースあるあるです。驚くことでもないですが、ここまで予選が悪いとみんな慣れたもん、開き直って元気です(笑)。それにまだ予選、決勝は明日ですから。

38号車と同じサクセスウェイトの39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraは、中山雄一選手がQ1を突破してくれました。頑張った。そして、ヘイキ・コヴァライネン選手が6番グリッドを獲得しました。今季も39号車はトラック、データエンジニアの布陣が若干変わり新しくなりました。そんな中で、脇阪監督が話す時間もなく頑張っています。いつもは、何かしらお互い声をかけあう時間が激減のシーズン。今季はどうにも最前線で仕事していますね。このニュアンス、私にしかわからないかもで申し訳ないけれど。これだけ監督が動きまわってクルマを一緒に作っているチームは絶対ないと思います。もちろん頑張っていると評価するのだと思いますが、私は大変そうにしか見えないなと。

監督は、チームによって立ち位置がそれぞれだと思いますが、最後の判断を下す責任者。細かなことはチームスタッフがやると思っています。このようなカタチもあって良いのかもしれませんが、チームの地固めが上手くいくまでは、経験豊富な脇阪監督の力が必要なのかもしれません。GRスープラ勢が苦戦のシーズンで、さらにシーズンは待ってくれませんから、そんな中でめちゃくちゃ頑張っていると思いますね(上からじゃないですよ)。そして久しぶりに、加藤オーナーを見かけたので…。お元気そうで何よりです。

〇決勝日

いざ、決勝!プロチームは予選の戦績くらいじゃ動じません。当たり前のこと。朝、チームのピットを挨拶して周るのですが、みんな元気。こちらは挨拶をすることで勝手に清々しさを味わっています。天気も良く絶好のレース日和。緊急事態宣言が解除されましたが、まだレースウィークのイベントなどのコンテンツは復活ならず。さみしいけれど、決勝日は1万2千人の来場がありました。

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    (コンドーレシング村田 卓児エンジニアを撮影したようで、寄ってってくださいました)

レース前の国本選手と少しだけお話を。緊張してました。寝ても緊張から起きてしまうとのこと。前夜も早くベッドに入って寝たら、シンデレラの魔法がまだ解ける前の時間だった模様。そこから寝ては目覚めの繰り返しだったとのことでした。これは、カートをやっていた頃も寝不足気味だったそうで、レースウィークに慣れはなく、緊張と気合で臨んでいることがよくわかりました。

よく話すんです国本選手。私と一緒で写真好きでお互いプロ機で撮影を楽しんでいるんですよ。彼は緊張をまぎらわす為、いやいつもセッションの合間に時間のある時は、フツーにカメラを渡して少し撮ったりしていますね…ほんの少しの間ですが、少し違ったことをすることで落ち着くのかな?気分転換とまで大げさな事でもないんですけどね。

F2戦闘機が飛来。例年勇気づけられるコンテンツ。しかし、短いレンズだったので、これが精いっぱい。そして、ウォームアップ走行が終わるといよいよ決勝です。

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    (グリッド入場、ここはテレビに映らないかな。グリッドの様子)

決勝はスタートの1コーナーを1番で通過。坂東正敬監督は評価です。今季、第2戦でスタートでポジションを落とすというシーンもありましたからね。レース結果は、頑張って2位。ファイナルラップ走行中にトップの12号車カルソニック IMPUL GT-Rがガス欠に見舞われ悲劇、離れていた19号車はチェッカー直前で追いつき、抜き去って3番手から2位という結末でした。前回と結果は一緒ではありましたが、かなり内容が違いました(レースレポートご参照)。前回同様、FCY(フルコースイエロー)からレース復帰の時のタイヤのあたたまり方が課題なのかな。

○坂東正敬監督とお話を

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    (写真:トヨタ自動車)

―――レースが終わってどのようなお気持ちですか?
監督:「悔しいけどうれしいです。今回は、1周目の1コーナーをトップで通過、アウトラップをきっちり抑える。これが出来たことはドライバーのスキルが高いと評価します。ただFCYからのリスタートに課題があると思っています。FCYが入らなかったらどうだろうと毎回思いますが、前回1号車とのバトルもあって2位でした。今回は前回のもてぎラウンドよりも8号車と12号車に差をつけられたことが悔しいです。ただ、最後まで諦めないというチームやドライバーの願いが最後に表彰台獲得へとつながったと思っています。ピット作業もここまで7戦中で5戦(今回は含まず)はGRスープラ陣営でトップです。そういう部分でチームは頑張っています。この茂木とタイのラウンドが強いのは良いけれども、そこを今後打破して行かないとタイトル争いに絡んでいけないと思います。ポールポジションを獲得して大きなチャンスを得て、それを活かし勝利に繋げるのはとても難しいと感じています」

――――ヨコハマタイヤの進化について
監督:「気温も路音も高かったこともあり、前回のもてぎのデータを活かせたレースでした。先月行ったテストの結果も実ったと思います。ここ茂木やタイなどの得意なサーキット以外、鈴鹿のようなところだと、ダウンフォースレベルとタイヤのマッチングの正解がまだ見い出せていなく、我々が進化を遂げたところで、他のブリヂストンタイヤさんも進歩しているわけです。みんなが1.1進歩したら1.3我々は進歩しないと前へ進めません。しかし、今季ヨコハマタイヤと共に戦うチャレンジャーという意味では、“3レースポールポジション、表彰台を2回獲得”しています。取りこぼしたレースはあるけれども頑張って来ました。最後の富士で優勝して、GRスープラ陣営の力になれればと思います」

ヨコハマタイヤの進化を非常に感じます。同GRスープラ陣営に比較車両があればさらに進化は進むと思いますが、GT-Rと2台。他のタイヤメーカーも参戦台数を増やす中での競争です。SUPER GTは、チームだけではなく、メーカー、タイヤメーカー、スポンサーさんなど沢山の方を共に戦っています。総合力で戦績が出ますので、継続は力なり。更に高みを目指して突き進んで行って欲しいですね。

〇最後に
苦悩のGRスープラ陣営。昨年は、コロナ禍の影響で富士スピードウェイでのレースが4回もありました。ホームコースで4回です。優位にシーズンを進めたと思います。最後の最後でタイトルは上手の手から滑り落ちました。勝ちも負けも味わういろんなシーズンを過ごして来ました。敗北を味わうのは、現場にいる方だけではなく、クルマの開発に携わった方々もです。今季は心底負けを味わうしんどいシーズンでした。最終戦は、ランキング上位3台がタイトルを争うNSX仁義なき戦い。ホームのGRスープラ陣営は、プライドにかけててっぺんは譲れないでしょう。最後ぜひ、優勝を勝ち取って締めくくって欲しいですね。

大谷幸子の近況

1か月、約5週間レースに集中していたら、紅葉が始まって景色が若干様変わりしていました。もてぎに居ても、WEC最終戦をチェックし、やはり一貴(中嶋一貴選手)のWECからの勇退がさみしさしかなく。インターネットを開けば、あれだけ泣かない一貴が涙を堪えているように見える写真を見ては、まだ受け入れたくない気持ちがあるのかなと妄想したり…。とにかく今はSNSを見るとさみしさしかないです。

そしてコロナ過という言葉も、出来れば最後のシーズンにしたい。そう思いながら、エンプティマークの点灯に気づかず高速に乗ってしまい、1リットル192円もする高価なガソリンを積んで帰路。サービスエリアでチーム関係者にあって、レースの詳細を伺ったり、いつものレースウィーク。大変大変といいつつも、残り1戦となった今シーズン、これもまたさみしいですね。原稿を書き上げたら、クリスマスツリーを出すのが目標。頑張ります!