• モタスポコラム その39-速さ爆上げ中&切ない幕切れ ~スーパーGT第2戦富士~

速さ爆上げ中&切ない幕切れ ~スーパーGT第2戦富士~

モタスポコラム その39 2022.5.17

みなさん、こんにちは!早いものでゴールデンウィークのビッグイベント、毎年恒例、GT富士500㎞と言いたいけれど今年は450㎞!に行って参りました。

総観客数は、7万人を超え少しずつ以前の賑わいが戻って来た大会。ホームコースとなる富士での戦いやいかに?搬入日こそ雨が降ったものの、ワクワクするような晴天に恵まれたサーキット。とても切ない幕切れではありましたが、そこは頑張っている方々を応援するスタイル。ここはテンションをあげて振り返りますね。

〇搬入日あれこれ

今回は搬入の様子を追いかける事からスタート。富士ウェザー、霧は珍しくないですね。真っ白な幻想的なサーキット(などとは言っていられませんけどね、危険なので…)。併催のFIA F4の走行スケジュールが変更になったものの、夕方には雨が上がり、翌日からの熱闘の舞台は整いました。

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    (奥から、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT、25号車 HOPPY Schatz GR Supra、60号車 Syntium LMcorsa GR Supra GT、244号車 HACHI-ICHI GR Supra GT)

GT300クラス、これまでの仲間、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV、LEXUS RC F GT3、に加えさらに台数が増えたのが TOYOTA GR Supra、TOYOTA GR86。雨の中、集合写真の撮影が行われていました。

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    (1コーナー側の先頭の25号車、244号車のピット前。 これから最終コーナー側のホームストレートまで撮影の為に移動です。結構距離あります。車検場はもっと遠いけど…)
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    (撮影準備中 2号車muta Racing GR86 GTと30号車apr GR86 GT)
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    (30号車apr GR86 GT この時点で撮影はまだですが雨が強くなり… あ、良い場所あった!…と)
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    (イケメン雨宿り…おばさんの図々しさが恥ずかしくなりすぐに出ましたが。メカさん親切すぎたので、はい入って!と自撮り記念写真。たまにはこんな写真はいかがでしょうか)

搬入日は車検も行われます。その為にファクトリーでマシンの重量もしっかりあわせて来ます。正直、雨に濡れてしまうと重量が変わってしまうので濡れないようにしたいのがメカさんたち。ですので、搬入日、少しの雨でもシートをかぶせて雨の中を移動して車検場に向かうんです。富士は車検場まで結構距離がありますしね。ですので、雨ざらしで集合撮影をする姿を他チームのドライバーさんやメカニックさんたちが心配していました。結構雨脚が強くなってしまったので大変だ~とますます心配でしたが、写真撮影に参加されたチームのみなさま、本当にお疲れさまでした。

そうそう今季SUPER GTへ新規参戦のシェイドレーシング。20号車シェイドレーシング GR86 GTを駆るドライバーは、トヨタ自働車のメーカー育成ドライバー1期生の平中克幸選手(ちなみに1期生同期は、片岡龍也選手)。15年ぶりにトヨタ陣営へお帰りなさいです。そして、相棒は今季の最年少の19歳ドライバー清水英志郎選手です。

平中くん、“若いから(清水選手のこと)ガンガンに行ってもらわないと”“前に所属していたチーム(300クラストップチームGAINERさん)くらいの速さにクルマを仕上げないと”と。清水選手ご自身も若さを活かして“初優勝をしたい”と。ニューフェイスなチームにもご注目下さい。

〇2年連続ポールポジション!

やりましたね!19号車WedsSport ADVAN GR Supra、昨年に続きポールポジションおめでとうございます!ドライバーが代わっても一番時計という事は、タイヤメーカーさんとの開発がしっかり進んで行っているのでしょう。ピットに行っても、タイヤメーカー、チーム、自動車メーカーと全員で戦っていて、何事もみんなで決めるスタイルと以前から伺っております。

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    (写真 トヨタ自動車)

開幕戦も速さを見せつつ、前回ちょっと勢い余ったりもありましたが、チームの雰囲気を見れば2戦連続で手応えを感じているのがよくわかります。ポールポジション記者会見で、国本雄資選手は、チームメイトの阪口晴南選手を絶賛。速いチームメイトのおかげでとコメント。先輩が後輩を素直にリスペクトしている姿がそこにありました。後輩阪口選手は、のびのび楽しくやってそうですし、笑顔を絶やさないドライバー。たまに笑っていないと心配になってしまうほど…。決勝は、ちょっと厳しいスタートにはなり、最終的に6位チェッカー。ハーフポイントとなったレースでしたが、初ポイントを獲得。伸びしろに期待して次も見守りたいと思います。

〇トップ争いにからむも残念な結末

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    (写真 トヨタ自動車)
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勢いが良かったですね、37号車KeePer TOM’S GR Supra。練習走行はトップタイム。サクセスウェイトもゼロですので、富士は狙っていたでしょう。

決勝前、ピットを訪れると、とてもリラックスして大立エンジニアと宮田莉朋選手が話をしていて、むしろエンジニアからくだらないこと話してたんですよ~と言って来るほどの余裕。ポールポジションの阪口晴南選手も来て、これまた楽しそうに話していたんですよね。若いコは緊張がないのかな…。37号車の大立エンジニアは、レースウィーク眠れなかったりするみたいで、開幕してずっと寝不足じゃないかなと思っております。

フロントロウも良いですが、長丁場ですのでどのクルマにもチャンスが広がると思っているので、戦略の幅がもろもろ広がるGT富士は例年おもしろい。そして、ここは2列目なんてシビレるグリッドを獲得。まさに決勝スタート直後にトップに躍り出て、元気良し!という展開。しかしレース中盤、チームメイトの36号車に接触したことでペナルティ。そのペナルティは、レース後に40秒加算ということになり14位フィニッシュとなりました。

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    (ごめんと思い迷いながらパチリ。二人の強固な関係がわかるものでもあると思ったので…。この写真がのちに立派な戦績が帳消しにしてくれる過去に早くなりますように…)

決勝中に発生した大クラッシュの際には、先頭のクルマから2台後ろ。クラッシュを回避できたものの、ほんの少し前を離れていただけ。こういう言い方も何ですが、あわやでしたよね。

レース中は、速さを誇っていただけに悔しかったと思います。レース後にチームメイトのサッシャ・フェネストラズ選手にもたれ、涙する姿がとても切なかったですが、またハンデがゼロで次戦にのぞみますので、優勝候補の一台になるでしょう。頑張ってください。

〇復活と思いきや

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    (いつでもかっこいいしかない大ベテラン、立川祐路選手)
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    (赤旗中断時ですが、石浦宏明選手)

富士と言えば、富士マイスターの38号車ZENT CERUMO GR Supra立川祐路選手。そしてチームメイトの石浦宏明選手も4度の優勝を飾っている富士ラウンド。予選は6位と3列目、決勝に合わせたタイヤのようでしたから、もちろん悪くなかったと思いますし期待を込めていました。決勝は、良いペースで走っていて今季はいい感じ~と見ていましたが、残念、ピットに入った際にピット作業違反を取られてしまいました。タイヤ交換と一緒に給油作業をしてはいけないのですが、給油リグをいれるタイミングがちょっと早かったようでペナルティ。レースで挽回したかったですが、赤旗後はセーフティーカーランでしたので、戦う時間がありませんでした。次の鈴鹿で頑張っていただきましょう。あと一回、富士もありますしね。それにセルモさん、得意なコース結構あったりしますしね。がんばですよ。ここ勝たせたいですホントに。

〇大クラッシュ発生

ご存じの方も多いと思いますが、決勝中に大クラッシュが発生しました。観衆の目の前のホームストレートで起きました。3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの高星明誠選手がドライブ中、トップスピード297キロでスピン、ガードレールを大きく破損するほどの衝撃のクラッシュでした。

トップ争いが熾烈で、良いバトルをしながら最終コーナーを4台のクルマが立ち上がって来ました。トップを行く39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛選手がイン側をドライブする中、ホームストレートの真ん中付近に、スローダウンしたクルマがいて、そのクルマを避ける為左側に車線を変更。関口選手は追突を回避。関口選手のスリップに入っていた高星選手は反応してステアリングを切ったものの車速を考えればクルマを避けきれる訳もなく、接触してしまいました。ショックでした…。

しばらく恐怖で動けないと共に、高星選手が心配で涙があふれて来ました。場内実況をされていたピエール北川さんの実況も言葉につまり涙声となりつつも、高星選手の事を考え、現場の写真や動画をぜひともSNSに投稿しないで欲しいと訴えていました。スタンド前方にお客様がたくさんいらっしゃるのは、メディアセンターから見えました。

ほどなくして、高星選手が自力でクルマから降りたとのアナウンスがあり、これに安堵するとまた涙が止まりませんでしたね。本来なら動いてはいけないほどのGがかかっているはず。しかし、火が出てしまったら…。クルマから降りたのは。無事であったと共に生きる為の人間の本能だったと思います。

チームの方に伺ったのですが、サインガード越しに現場周辺のチームの方々が消火器を持って駆けつけてくれていたそうです。これこそ、まさに「信頼」と思いました。25号車(駆けつけたクルー)の土屋武士監督のSNSでも当時の状況を拝見できました。この仕事、走っていない時も常に危険と隣り合わせ。そんな中、信頼関係が成り立った上でレースをしています。誰に何があってもルールの中でしっかり団結しています。

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    (18時10分セーフティーカースタートで再開。その後、最大延長時間を迎え終了。 写真 トヨタ自動車)

赤旗でレースが中断している時間、この時、高星選手が無事という事以外は正直状況が全く掴めておりませんでした。レースが終わってから、さまざまな方のお話を伺い、起こったことが見えて来ました。いろんな立場でものの見方は違うとは言いません。だって人命がかかっている話ですからね。責任うんぬんはジャッジにお任せです、そこは素人ですから、意見は述べません。

そんな中で、私が現場で一番腑に落ちた言葉は、「信頼の出来る仲間だからこそ、300キロで競り合うことが出来るんだよ。それがプロ。だから一緒にレースができる」と話をしてくれた方がいて、この言葉が一番自分の心に訴えるものがありました。このプロ意識を起点に考えようと思いました。これあくまでも個人的見解です。

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    (優勝記者会見に臨んだドライバーたち GT500クラス8号車、GT300クラス10号車)

この件については、レース後の優勝記者会見でも質疑応答で質問が出ました。優勝したドライバーたちは、ドライバー目線でどのような意見をお持ちなのか求められていました。レースが終わったばかりでしたので、彼らは状況を鑑み、軽はずみな発言をしたらいけないという姿勢をみせつつ、安全面などご自身の目線でお話をされていました。とにかく誰もがショックでしたし、あらためて、高星選手が無事で良かったものの今後のことを考えないといけないという課題を残したレースになったことは間違いないです。

〇最後に

 

お客様にお怪我をされた方がいたと知りました。お見舞い申し上げます…。レースがとても後味の悪いものになってしまいました。しかし、感激したことがあります。お客様が大きな拍手で戻ってきたクルマたちを出迎えていて、全てのクルマが停車しエンジン音が消え去ったあと。サーキットに響く拍手はとてもココロにも刺さりました。なんて素敵なんだろうと。思わず我に返りましたね。カメラでもスマホでもない瞬間、ちょっと手を止めてスタンドを見ました。

   

粛々と表彰式も行われましたが、やっぱり惜しみない拍手を下さるファンの方がありがたいなと。それと、GT300クラスの22号車アールキューズ AMG GT3のクラッシュも心配でした。そちらも気がかりでしたクラッシュが続いていたので…。

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    (撤収時。今回2位となった36号車au TOM’S GR Supra)
 

危険と隣り合わせのモータースポーツ。だからやらないではないですね…。実はまだ怖さがちょっと残っているのですが、これからも応援し続けます。そして、笑顔で表彰式を祝いたいですね。次もレースはバチバチで!みなさま頑張ってください!

大谷幸子の近況

まだ腕の腱が外れちゃった痛みが時折出まして…。ハードワークと経年劣化(笑)が原因ですが、ここに来て腱鞘炎もマックス。現場でずっと取材はしているものの重いカメラよりスマホを手にする時間が増えてしまいました。でもやっぱり残して置きたいシーンは、カメラなんですよね~私の場合。デスクワークもパソコンを触る時間を少し減らす傾向。取材は頑張っているのですが、上手くアウトプット出来ていないかもしれません…(言い訳か)。まだ今月2つ現場がありますので、取材頑張りますね!では、また!