復活ののろしと4度目の一番時計 ~SUPER GT 第6戦SUGO~
モタスポコラム その47 2022.9.30
ただいま!東北・仙台より久しぶりに新幹線で戻ってまいりました。台風の影響で東京は暑い。サウナに入っているようです。大きな台風が来る前に、レースをして来ましたよ!
4回目のポールポジションは驚愕でしたが、優勝は引き寄せられなかったなあ。これもレースですが、なかなか苦労しています。ポールポジションは勝利に一番近いはずなのに、これがそう簡単ではなく茨の道…。待つ事しか出来ないのでそれはそれでいい。一番時計も目標だったと思うからね。がんばだよ!
さて、今回は時系列で振り返りましょうか。
菅生は、サーキットがコンパクト。パドックはトランスポーターを入れると、かなりきつきつです。
ピットが改修で広くなった分、後ろに少し長くなりましたので、パドックはパンパン。パドックの大きさは変わらないからトランスポーターもきっちり入れるんです。わかりにくいけど迷路みたいなんですよね。以前は、ここにもたくさんのファンの方が入ってましたね。いつかまたそんな光景が戻るんだろうなあ。
森の中のサーキットのレイアウトはステキなのですが、サーキットさんもコロナ禍でお客様とのバブル方式の動線を作るのにご苦労されている様子。狭いトンネルもあるので移動用のバスを一方通行にしてみたりね。普段大きなレースが開催されない地方のサーキットは、それ以外の運営も大変だから、レースウィークは大変なんだろうなと思います。いつもありがとうございます。
東北の夏はいつもなら涼しいとか夕方冷えて…というレポートをしておりましたが、真夏。夕方仙台市内に入ってもむしむし。台風の影響下だけど、こんなに汗だくな菅生って今まであったっけな…。
菅生のグランドスタンドに、ドライバーお二人の横断幕が飾られていました。それをまじまじと見るお二人。レースクイーンの横断幕がいっぱいある中で異彩を放っていました。ファンの方の38復活を祈る思いもマックスなんだと思いましたね。
今季デビューのGR86 GTを駆る20号車のシェードレーシング。以前よりスーパー耐久に参戦されていて、愉快な広報さんたちがいらっしゃるチームなのですが、SUPER GTに今季登場しました、うれしかったです。シェードレーシングのドライバーさんで、まだ10代の清水英志郎選手がこちら。チームメイトは、大先輩の平中克幸選手です。写真ないけど、平中選手はトヨタ自動車のメーカー育成(現TGR-DC)ドライバーの一期生で、同期は片岡龍也選手です。
清水選手、2003年生まれというね、若い!サーキットでよくお話をさせていただくのですが、初々しい。小さい頃からクルマが好きという彼ですが、ほんとこの前生まれたばかりのドライバーさん。伸びしろいっぱいです。ご自身で、国本雄資選手の一番弟子と言ってました。スーパー耐久でチームメイトですね。ぜひ彼の名前も覚えてくださいね。
GT300クラス、25号車HOPPY Schatz GR Supraと244号車 HA-ICHI GR Supra GTのメンテナンスを行うのは、つちやエンジニアリング。前回の244号車のクラッシュなど、この3か月はマシン修復をずっとやっていたと語る土屋武士さん。25号車では監督を務め長きに渡りトヨタ陣営でレースをして来ていて、この人ほど良い意味で「レースバカ(ごめん)」はいないですよね~。町工場の頑張るレーシングチームは、レース好きの学ぶ場でもあるかな。自然に会話が弾むと彼とも知り合ってから長く経ったなあと思いますね…。頑張ってくださいよ~!
搬入日は、いつも通りのんびり関係者と自分の実になる雑談。そしてここまでの寝不足もたたって、コンビニご飯を買い込み(正直食べ飽きた…)、ホテルで休みました。
ちょっと雲がかかってますが、蔵王までよく見える気持ち良い朝でした。
朝は、前戦の鈴鹿で気になったルーキーレーシングのホワイトボードを忘れずにチェック。そっと載せておきます。
土日ともに早めにサーキットに入り仕事をしているのが常。チームよりも早かったりします(笑)。8時前にサーキットに入らないとサーキット周辺が混雑するので、時間が読めず落ち着かないんですよね。
パドックをぷらぷらしていると、いつもなら2時間前には到着しているチームのみなさんの姿が見えない。あれ??シャッターが下りたままのチームがいくつか。いくらなんでもおかしいと思ったら、バブル運用のサーキット内のバスが渋滞して、サーキットの駐車場には到着しているけれど、パドックにたどり着けないという事態が発生していました。
GT300クラスのドライバーでTGR-DCのドライバー育成を担当している片岡龍也選手がトランポの所でぽつーん。どうしたのかと思ったら、育成プログラムの先生として朝早いFIA-F4のカテゴリーをしっかり見る為、早出をしていました。しかし、ご自身のチームのピットに入れないという。4号車のチームメイト・谷口信輝選手とは別に早めにサーキットに出勤されているんですよね。毎戦、早く来られてレースもして、やっぱり片岡龍也という人は、いろいろ器用でひっぱりだこな所以がここに…。お疲れ様です。
余談ですが、今回は相棒の谷口信輝選手が、予選後に虫垂炎になってしまい決勝を欠場という緊急事態が起こりました。これはかわいそうだけど、治すことを優先。翌週の十勝で行われるGR 86/BRZ Cupも残念ながら欠場。どちらも今シーズン優勝しているだけに残念だけどね、でもほんとお大事にです。
さて、練習走行を見ているとサクセスウェイトマックスのラウンドのせいか、沈むクルマがある中38号車は軽いからチャンスなのはわかってるけど…、もうね、今季はSCなどが入ると全く先が見えなくなるので、想像すらできない感じでね。
そんな中、昼くらいに19号車の坂東正敬監督が、なんかそわそわしていて?INSIDE GRの密着カメラのせいかなあとか冗談で言っていたら、監督、ポールが獲れるんじゃないか?と言い出しました。まさか4回目?ポジティブで良き!でしたが、これが本当に獲ってしまいましてね。びっくり仰天でした。
予選Q1を国本雄資選手突破。突破率100%とマサ監督。Q2に行った阪口晴南選手のアタックラップの終盤、アタック中の他車がスピンしバランスを崩しコースオフ。すぐにコース復帰したのですが、アタック中の晴南くんの真ん前に出て来てしまったんです。ピットで悲鳴があがりました。が、予選は見事に一番時計。みんな熱くなっていたようですが、ポールだから!とマサ監督は無線でしっかり晴南くんに伝えていました。
ポールポジション記者会見でその事について聞かれていました。前にクルマが現れたことで体感ではどれくらいロスしたと考えるか?と。ご本人コンマ3くらい失った感覚だったそうですが、もっとなんじゃないかなと感じました。それでも、とにかくお見事でした。
みんながその時に熱くなるのは、仕方ない。頑張ってるからね、前に出てきたライバルたちも。ポール獲れなかったら、もっと熱かったでしょう。それに相手側もQ2終わってすぐ謝罪に来られていました。真摯に状況を説明していました。あの場面で彼も頑張って立て直さないといけないし、悪意なんてないですからね。この件についてはペナルティも出たのですぐに決着。ただの記録として書いておきますね。
4回目の一番時計。速さの追及は今季本当に極めたのだなと。ヨコハマタイヤと菅生で事前テストをやられたそうですが、それは6月なのでコンディションが全く違うそう。毎戦の積み重ねからの開発の賜物でしょう。
菅生は、誰がポールかな?とピットを行ったり来たりも楽。撮り逃しはなかったです。運動量は多分10分の1くらい(笑)。予選も38号車が来るかとQ2はテントの外で見守っていて、途中で聞こえた19のピットの悲鳴があがったと同時に走りました。
この菅生ラウンドは、例年サクセスウェイト軽い選手権。シリーズの流れでそうなるのは至って自然な流れ。それが今回決勝を混戦にさせたのは「雨」…。翌日の決勝は、まさかの雨が降ります。番狂わせがありました。
この日の夜は、土曜日のせいか牛タンはあちこち満席でしたが、どうにか穴場を見つけありつき(拍手)、さっさとホテルへ戻りました。私のホテルは仙台駅のすぐ近くの大都会だったのですが、サーキット同様にインターネット回線がこれもまた不安定(涙)。なんで?未だに原因はわかりませんが、久しぶりに3G時代くらいの思いをしました。ひょっとして、5Gに慣れ過ぎてる?←未来の自分はこのフレーズを見て笑うのかな…。そして、スマホが繋がりにくいとこんなにもイライラするものなのかと自分で呆れました(笑)。送れなかった動画沢山…、ちーん。
朝からサーキット周辺は、やっぱり混雑。どうもコロナ禍前とチケットの販売数が追いついて来たと伝え聞きました。東北のみなさん、楽しまれましたか?ここからは朝の雰囲気を少々。
早くからFIA-F4を見る為、38号車田中監督がいらしてましたが、ピットが開いておらず、2号車のピットにおりました。
メカさんが椅子を出してくれていました。38号車のスーパーフォーミュラでは、INGINGMOTORSPORTがメンテナンスをしておりますが、SUPER GTの2号車も同じメンテナンスガレージなんです。今回、GT300クラスで優勝しGR86 GTに初勝利をもたらしましたが兄弟チームとなるのですよ。覚えておいてくださいね~。
ピット回りをしていたら、39号車のピット裏でせっせとガムテをカットするメカが気になりのぞき込み(失礼)ました。何気ない作業で今まで気に留めなかったのですが、ん?と思ってよくよくみてみたら、ますます?何してんの?と声をかけたら、はしごを組み立てる時間がかかるので、もう組み立てておくとのことでした。
はしご…マシントラブルに見舞われた際、ルーフの部分も見ないといけないので、はしごを準備しているんです。これを「お守り」作ってと言われて、作るそうなんです。なるほど。何気ないことだけど、知らないことがまだまだあると感じた決勝日朝。決勝では出番がなくて良かったよね。ほっ。
39号車は、今季はスタートドライバーを関口雄飛選手が務め、めちゃくちゃ攻めるスタイルですよね。そしてしっかり中山雄一選手がゴールまでクルマを運ぶと。雄飛、頭がパイナポーになってて頭も攻めてました。こちらはドライバーアピアランスの時、J SPORTSさんと出番の確認をしている写真。雄一、変な写りの写真でごめん…。
そうそう、ドライバーランキングがね、39号車の2人は6位でGR勢では2番手になったんです。開幕戦で優勝した14号車を抜きました。コツコツの積み上げがいつのまにかパワーになっていました。雨が降って、さっさとレインタイヤに換えるタイミングはどんぴしゃでした。脇阪監督に迷いはなかった。あれ今回も良かったです。
予選2番手からスタートの38号車がいきなりトップに立つことで、決勝は震えるスタートとなりました。スタートドライバーは立川祐路選手。もうね、どうにか立て直して欲しい。それしかなかったので、決勝は最終的に4位でしたが、結果には満足。
ブリヂストン勢のトップで終えたことで彼らが自信を取り戻したようで良かったです。そして、パドックでは、「立川ってあの年(失礼)でも速いよなあ」と何人かに言われたことで、私が自慢しちゃいましたね。どうよって(笑)。元祖、トヨタの王子ですからね!かっこいいのよ、あのテクニックを見せつけて抜き去っていく姿がね。
ポールスタートの19号車もなかなかタイヤが温まらない中、頑張ったんですよ。国本雄資選手の顔が勝手に浮かびました。もちろん諦める訳には行きませんから、最後までみんなで頑張っていました。車体を振ってウェービングしている姿を見ると早く早くといつも祈ってしまいます。私がタイヤを抱けば少しは速く温まるんじゃないかと!そこまで心配してしまうけど、日々の進歩を信じてこのまま頑張って行って欲しいですね。以前の勝利から6年経過しましたが、努力は裏切らないと言える日が絶対来るからね。
日産勢を追いかける筆頭が、この37号車!少しポイント的に水を開けられてしまいましたが、諦めませんよ。何が起こるかわからないのがレース。二人の若さから何か巻き起こるかもしれないしね。それを万全で支えるチーム力もある。期待してます!
牛タン何本食べましたか?と聞いてきた大嶋和也選手。吹いた~。単位おかしいからね。それはさておき、シリーズの戦い方で若干苦労している14号車。未勝利の39号車にランキングは越されてしまいました。ちょっと驚きです。
ピットビューイングの時に、レースのモチベーションをあげる為、頑張ったらご褒美をあげるという発言が大嶋選手からありました。山下健太選手の希望を叶えるもの…。叶ったら書こうと思ってたんだけどね。冗談でもそんな楽しい話をしないと、開幕戦で勝つとあとあとほんと苦しいし。残り2戦!復活でガンバだよ!
決勝は、最後まで雨に翻弄される戦いでした。内容はレースレポートで。タイヤをさっさとレインタイヤに交換したチーム、ステイしたチーム。モニター見ながら、周回遅れとそうではないものと認識するのが大変。降ったと思えば、コースが乾いて来る。もう何がなんだかなのが、菅生のSUPER GT。
フランス製のレインタイヤが速すぎて、唖然としました。トレッドパターンをあまり撮られたくないと思うので写真は載せませんが、素人ながらにいつもタイヤを見ておりました。何もわからないけど(笑)。ミシュランのレインはヤバい…、再認識。タイヤ戦争でもあるSUPER GT。この戦いはエンドレス、どこまでも続きます。
今季デビューのGT86 GTの2号車muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威 組)が初優勝を遂げました。おめでとうございます!大ベテランの加藤選手と若手の堤選手のコンビがね、やってくれました。ストラテジー的にもGT500クラスの3号車同様、コースが乾くのを辛抱強く待ったことで大量リード、圧勝をもたらしました。
そして「おれがこうなって欲しいクルマになったんだ」と、記者会見もちゃんと見届けましたが、帰りにばったりお会いし、こう一言おっしゃった加藤選手。以前は、GT500クラスにも参戦された大ベテラン。ずっと戦い続けていることは素晴らしいと思っていたドライバーさんですが、貪欲に勝利を追い続ける姿はかっこいいと思いました。おめでとうございました!
短いインターバルを経て九州をめざします!九州のみなさん!お待たせしました!よろしくお願いします!では、また!
大谷幸子の近況
SUPER GT、ほんと人気ありますね。全チームと話すことが目標だった私。実は何戦か経てその目標を今季そっと達成していたんですよね…。ちょっとうれしい。
このカテゴリーでメカニックをやってた若い男子が以前いたんです。そのメカ、英語が全くわからないところから、海外でメカニックをしたいという志を持っていました。最初に知り合ったときは、LEXUS陣営で仲間だったんです。だからよく顔も見ていて、そのうち集まって飲み会したりで世代を超えて(笑)仲間になって行きました。とても懐っこい青年でね。
先日、WEC富士に行っておりました。レースより楽しみだったのが(ごめんなさい)、そのメカニックとの再会です。あ、平川亮選手の晴れ姿も。これもジーンと来ましたよ。
3年前、コロナ禍直前、2020年1月にベルギーで再会しました。その後ご縁があってTGR-Eに現地採用されました。ベルギーの前に会ったのは地中海の島でしたね。語学留学を頑張っていました。その時にはもう英語がペラペラになってた。
まさか今年ハイパーカーと共に来日をするなんてね!平(ひら社員という意味)からやり直しです!と先日言っていましたが、夢にたどり着いた姿に、御殿場レース村の方々も喜んでいました。とても頑張り屋さんだから彼を応援する人ばかりなんです。たまにその晴れ姿は、インターネットで見ていましたが、やっぱり会って話せたのがうれしかったですね。
日本を離れる前に見送ろうと思ってまた会いました。もはやただのお母さんです(笑)。何か日本食をと思い、きっとドイツでわざわざ鰻は食べにはいかないだろうと思って、鰻を。そしてたくさん話をしました。仲間たちは仕事だったので残念ながら一緒に過ごせなかったけど、連絡を取り合いました。またいろんな方とも再会できたようで、その報告の写真も送ってもらったりと楽しかったです。愛されキャラで彼らしいです。
しばらく忙しいようですが、どこかでまた仲間たちと会えたらいいなと思います。長い目で見るしかないけど。海外組との再会でコロナ禍以前の世の中が少し戻ってきたのを感じました。
動けるうち、仕事をしているうちに、ドイツ行かないとね(笑)。社交辞令がないという彼の言葉を信じて、そしてこの相変わらずの好奇心が持続しているうちに、また再会できればと思います!またね!