2018年プレスリリース
TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム
新井大輝、ラリー・ポルトガルでWRC2クラス5位
勝田貴元はクラス13位で完走、足立はフィンランド選手権でクラス優勝を果たす
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元、新井大輝が、5月17-20日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリー・ポルトガルに参戦。新井・マクニール組がWRC2クラス5位、勝田・サルミネン組がクラス13位で完走しました。また、同プログラムでコ・ドライバートレーニング中の足立さやかは、5月18-19日に開催されたフィンランドラリー選手権第4戦SM O.K. Auto-ralliにドライバーのヤルッコ・ニカラと参戦し、SM2クラス優勝を果たしました。
-
新井・マクニール組
今年のラリー・ポルトガルは、ここ最近降った雨により通常より路面が柔らかくなっており、特に2ループ目は路面が想定以上に激しく荒れました。また天候も日差しの強い晴れから途中雨に変わるなど、ドライバーにとっては非常に厳しく難しい条件でのラリーとなりました。
新井・マクニール組はデイ2序盤から安定した走りを見せ、二つのSS(スペシャルステージ)でクラス3位のタイムを記録、SS6ではクラス2位のタイムを記録しました。ギヤボックスのセンサーと電気系統が断続的にカットされる不具合が重なりタイムを失ったことが惜しまれましたが、問題が解消した翌日のデイ3は再びクリーンな走行を続けました。デイ4はSS18で岩にヒットしブレーキにダメージを負うアクシデントもありましたが、最後まで走りきり最終的にクラス5位でラリーを終えました。なお、今回のポルトガルをもって新井・マクニール組は、双方の合意の下、コンビを解消しそれぞれ別の道を進むこととなりました。
勝田・サルミネン組は、他の多くのドライバー同様、荒れた路面でパンクに悩まされました。デイ2の午後、SS5で2度のパンクを喫し、スペアタイヤを1本しか積んでいなかったためデイリタイアを余儀なくされました。ラリー2規定により翌日再出走した後は、荒れた路面での経験を積むことに重点を置いて様々なことを試しながら走行し、最終的にクラス13位でラリーを終えました。
一方、ニカラ・足立組が参戦したフィンランド選手権第4戦は、高いスキルが要求される典型的なフィンランドの高速グラベルラリー。車両はこれまで同様スバル・インプレッサWRX STIを使用しましたが、今回はSM2規則に合わせてリストリクター径を縮小し、これまでのSM1からSM2クラスへ変更して参戦しました。ニカラ・足立組は8つのSSのうち4つのステージでクラストップタイムを記録。合計99.76キロのステージをそつなく走り切り、ライバルと激しい戦いの末、2.4秒差でクラス優勝を勝ち取りました。
■選手コメント
勝田貴元: とても難しいラリーでした。ラリー・ポルトガルは昨年に続き2度目でしたが、ここまで道が荒れている印象はなく、今回は本当に信じられないようなコンディションでした。SS5でパンクを2回してしまったのですが、スペアを1本しか持っていなかったのでその日は走行継続できませんでした。翌日からは、学ぶことに重点を置き、いくつかのセッティングやドライビングスタイルを試しながら走りました。とても厳しい週末となりましたが、この経験は必ず今後に役立つと思います。
新井大輝: 金曜日は色々な問題が起きて難しい出だしとなりましたが、ラリーが進むにつれて状況はよくなり、たくさんのことを学ぶことができました。土曜日はパンクが1度あり、日曜日はSS18で岩をヒットしたことによりブレーキにトラブルを負ってしまいましたが、それ以外はクリーンな走りを保つことができたと思います。今回でグレンとのペアは終わりになりますが、彼は私の成長に大きく貢献してくれました。これまでの彼のサポートにとても感謝しています。
足立さやか: トップ争いをしていたピエタリネン選手とのバトルはとてもエキサイティングでした。最終ステージの前、私たちのリードはたった2秒だったので、最終ステージはとにかくベストを尽くしました。午前のステージはたくさんルーズグラベル(砂状の砂利)がありとても滑りやすかったですが、2ループ目には道がきれいになっておりグリップが向上したので、より良いリズムでペースノートを読むことができました。素晴らしい経験ができたことをうれしく思います。
ヤルッコ・ニカラ: 今回SM2クラスに転向したことで、ライバルに対する我々のパフォーマンスが比較しやすくなりました。今回してしまった唯一のミスはSS3のあるコーナーでワイドに行き過ぎ溝にはまり、数秒ロスしたことです。午前中のコンディションでは我々が選んだタイヤは少し硬すぎましたが午後に気温が上がってからはフィーリングが向上しました。ペースノートはとても良くなっていて、自信を持ってプッシュすることができました。
■講師コメント
ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター): 今回は信じられないほど荒れた条件でのラリーとなり、勝田、新井にとっては非常に良い勉強になりました。今回のようなラリーでトラブルを避けるにはペース配分とタイヤの管理がキーになります。次戦のラリー・イタリアは今回と似たコンディションになるので今回の経験が必ず役立つでしょう。新井とグレン・マクニールが共に戦うのは今回のラリーで最後となりました。グレンの協力なしには我々は今のレベルに到達できていなかったはずです。このプログラムへの彼の多大な貢献に心から感謝しています。また、フィンランドでは足立が非常によいパフォーマンスをしました。今回、彼らの車両により相応しいSM2クラスに入ったことで、競争はより激しくなり、ペースノートを正確に読むことへのプレッシャーもより高まったことでしょう。それにも関わらず、足立はニカラをしっかりガイドし、優勝に導いてくれたことをうれしく思います。
■WRC2クラス結果(h:時間、m:分、s:秒)
1 Pontus Tidemand/Jonas Andersson (Skoda Fabia R5)
4h03m57.4s
2 Lukasz Pieniazek /Przemyslaw Mazur (Skoda Fabia R5)
+2m06.5s
3 Stephane Lefebvre/Gabin Moreau (Citroen C3 R5)
+2m23.5s
4 Pierre-Louis Loubet/Vincent Landais (Hyundai i20 R5)
+3m10.55
5 Hiroki Arai/Glenn Macneall (Ford Fiesta R5)
+5m31.6s
- - - - - - - - - -
13 Takamoto Katsuta/Marko Salminen(Ford Fiesta R5)
+35m25.2s
■FRC結果(SM2クラス)(h:時間、m:分、s:秒)
1 Jarkko Nikara/Sayaka Adachi (Subaru Impreza WRX STI)
50m03.6s
2 Henrik Pietarinen/Juha Lummaa (Mitsubishi Lancer)
+2.4s
3 Joonas Tokee /Jani Salo (Subaru Impreza WRX STI)
+50.8s
4 Esa Ruotsalainen/Hannu Lamminen (Mitsubishi Lancer)
+54.9s
5 Ville Hautamäki/Enni Malkonen (Subaru Impreza WRX STI)
+1m23.0s
-
-
勝田・サルミネン組
-
-
ニカラ・足立組
■次戦
勝田と新井は6月7-10日に開催されるFIA世界ラリー選手権第7戦ラリー・イタリアのWRC2クラスに参戦します。なお、次戦より、新井のコ・ドライバーはヤルモ・レーティネンとなります。また足立はその翌週、6月15-16日に開催されるフィンランドラリー選手権第5戦に参戦します。
関連リンク
-
新井大輝、ポルトガルラリー選手権で総合優勝
勝田貴元は総合3位で2台ともに表彰台を果たす
勝田貴元、新井大輝が、4月27-28日に開催されたポルトガルラリー選手権ラリー・デ・モルタグアにR5車両で参戦。新井・マクニール組が総合優勝、勝田・サルミネン組が総合3位を獲得しました。世界レベルのラリーとは? -
2018シーズン序盤で3人が語る〝挑戦のリアル〟
世界に通用する日本人選手を育成するTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの一員として、フィンランドのトミ・マキネンレーシングでトレーニングを積む3人の日本人選手がいる。勝田貴元、新井大輝、足立さやかが語る〝挑戦のリアル〟 -
勝田貴元、ラリー・スウェーデンでWRC2クラス初優勝
新井大輝、足立さやかも完走を果たす
勝田貴元、新井大輝およびコ・ドライバーの足立さやかが、2月15-18 日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンに参戦し、勝田・サルミネン組がWRC2クラス初優勝を達成しました。また、 新井・マクニール組はWRC2クラス7位、WRCイベントに初挑戦したニカラ・足立組も完走を果たしました。