プレイドライブ x TOYOTA GAZOO Racing From Finland 輝く明日へ WRCチャレンジプログラム 2期生リレーコラム 第4~6回

第4回 大竹直生 編
コ・ドラのマルコを紹介します!

 お久しぶりです! TGR ラリーチャレンジプログラムの大竹直生です!
 今回のリレーコラムでは、前回の僕のコラムで紹介できなかった、普段一緒にトレーニングをしているコ・ドライバー、マルコ・サルミネンさんについてお話しさせていただきます!
 マルコは46歳のフィンランド人で、2021年のJWRC、フィンランド選手権でのチャンピオン経験があり、テーム・スニネン選手やチャレンジプログラム一期生の勝田貴元選手ともコンビを組んでいた経験豊富な方です!!
 趣味はスキーや自転車で、家でゆっくり過ごすより体を動かすことや自然と触れ合うのが大好き。普段はめちゃくちゃ優しくて、いつも冗談を言って場をなごませてくれる明るい人ですが、勝負ごとになると目つきが変わる、そんな人です。
 勝負ごとといってもラリーだけじゃありません。クルマ数台で移動している時は誰よりも速く目的地に着きたがるし、2車線の信号待ちで止まった時にどっちのレーンが速く進むかなど、相手が意識していなくても気がついたらマルコの中でバトルが始まっています(笑)。もちろんラリーの時はとにかく真剣で、「ラリーが人生のすべてなんだ!」とラリーへの情熱がものすごい人です。

 そんな情熱溢れる経験豊富な人と一緒にトレーニングをさせてもらっていて、日々勉強することばかりです。ペースノートを作る時はまず僕がノートを作って、2回目にマルコが「このコーナーはこうじゃないか?」など意見を言ってくれます。その意見もとても正確で、繊細なことまで教えてくれるんです。もちろん僕の考えとどちらがいいのかを話し合って決めていますが、彼の言ってることの方が99%くらい正しいですね。本当に彼のおかげできちんとしたペースノートを作ることができています。そしてラリーで速く走りたいなら、レッキでひとつのコーナーも集中力を切らさず、常にどうやって走るかを考え、このノートでOKと思わず「もっと速く走れるノートにならないか?」を貪欲に考えろと、いつも厳しく言われています。本当にそのとおりだと思いますし、時には厳しく言ってくれるのもとてもありがたいです。
 そして僕がマルコと過ごしていて一番すごいなと思ったことは、“記憶力”です。初めての道でも、一度通ればほとんどのコーナーを覚えてしまいます。なので1回目のレッキの後に「あの長いストレートの後の右コーナー、その次の左、右、そしてその次の右コーナーが……」みたいな話になることがありますが、僕の頭の中ではすでに迷子になっています……。でもこの記憶力はラリーをするうえでプラスでしかないと思うので、これから努力して手に入れたいですね。
 ラリー以外の記憶力もすごくて、一度教えた日本語は完璧に覚えていますし、教えていない日本語も気がついたら習得しているんです! 1~10の数字や、暑い、寒い、暖かいも使い分けていますし、移動中にも「ミギ」や「ヒダリ」も日本語で話してくれます! 最近では「オツカレサマデス」が流行っています(笑)。しかし、暑いの否定形が「アツクナイ」なのに、右の否定形は「ミギクナイ」ではなく「ミギジャナイ」になるのが理解できないようで、否定形に苦戦しています。日に日に日本語のレパートリーが増えてきているので、僕らの共通言語が日本語になる日がくるかもしれません!
 そんなマルコとたくさんテストも実戦もこなして、どんどんコンビネーションも良くなってきていますし、これからのラリーも楽しみです!! フィンランド選手権、ヨーロッパでのターマックイベント、WRCでのレッキトレーニングなど、これからもたくさんの経験を積ませていただける予定ですので、まずはしっかりご飯を食べて、健康第一で頑張ります!
 もっとマルコやラリーのことで話したいことはたくさんありますが、今回のコラムはここまでです! 最後まで読んでいただいた皆さんありがとうございました!

しっかりしたペースノートはすべての土台となる重要なもの。
経験豊富なマルコにみっちり鍛えられながら様々なラリーに参戦し、経験を蓄積中だ。

第5回 山本雄紀 編
充実したイタリア遠征

 皆さん、お久しぶりです! WRCチャレンジプログラムの山本雄紀です。前回のコラムは、ちょうど僕たちの欧州ラリーデビューに関して書かせていただきました。それから約3カ月が経ち、さらに4つのラリーに参戦させていただきました。
 直近のグラベル(未舗装路)2戦は残念ながらマシントラブルでリタイアになってしまいましたが、8月のグラベルラリーではクラス優勝、9月にはイタリアでのターマック(舗装路)ラリーに参戦し5位完走するなど、デビュー戦から考えると日々励んでいるトレーニングの成果が出始めていてうれしく思っています。それと同時に、クラストップの選手とのタイム差をいかにして詰めていくか、とにかくラリーのことばかりを考える、本当に充実した毎日を送っています。
 実は、ターマックラリー参戦で訪れたイタリアで、個人的に感動したことがあります。それは、山があること! 意味が分からないですよね(笑)。というのも、実はフィンランドには、山と呼べるような山がほとんどないのです。ラリーのフィールドとなる森林には恵まれていますが、ずっと平坦な森林が続いているような感じで、日本のような高い山はまわりを見渡してもありません。僕たちが行ったのはイタリアのサン・マルティーノという、スイスやオーストリアのアルプス山脈に近いところで、まわりは山ばかりでした。久しぶりに景色のなかに高い山を見て、どこか日本の景色に通ずるものを感じて、ひとりで感慨深くなっていました(笑)。

 日本は舗装路のラリーが多いので、僕も国内ではグラベルラリーよりターマックラリーの経験の方が多かったですが、初めて海外の舗装路のステージを目の当たりにし、正直なところ国が変わると別物だなと感じました。イタリアのターマックラリーを走って最も難しいと感じたところ、それは「路面のグリップが次々と変化する」ことです。目の細かい路面、粗い路面、古い路面から部分的に補修された黒くて新しい路面など、とにかく変化が頻繁で激しく、それぞれで路面のグリップが大きく違っています。そのため、路面の「色」を見て瞬時にグリップを判断し、適応させて行かなければなりません。もちろんレッキで路面の変化はペースノートに記しているのですが、耳から入る情報だけでは十分じゃなくて、目から入る情報もうまく組み合わせて反射的に対応する、そういう能力が求められることを痛感しました。まだまだ、情報を耳で聞いても瞬時に正しく反応できず、ヒヤッとする場面や攻め切れない場面がたくさんありました。そういったことも含め、完走して最大限の経験を積み、課題を見つけることができたので、本当に充実したイタリア遠征になりました。もちろん本場のイタリアンも十分に堪能しました(笑)。最高に美味しかったです!
 さて、ターマックラリーといえば、やっとやっと開催されるラリージャパン! もうすぐそこまで迫っていますね! 2年連続でコロナによって開催が叶わなかったので、僕と同じで心待ちにされていた方も沢山いると思います。Rally1やRally2が、日本の見慣れた道を全開で走行する姿を早く見たくてたまりません! 実際、8月にWRCラリーフィンランドをレッキ・観戦させていただいた際、普段生活している街や通りがステージやリエゾン、サービスパークに様変わりする様子は、本当に圧巻で、不思議な気持ちになりました。
 日本のラリーを走ったことのあるドライバーはあまりいないと思うので、ぜひトップドライバーたちが2回レッキを行っただけの道をラリーカーでどれくらい全開でカッ飛んでいくのか、体感していただきたいです! そして、ドライバーによって走り方やライン取りが違うことなども観戦しているとよく分かるので、ぜひそのあたりも含めてラリージャパンを皆さんで楽しめたらいいなと思います! 僕たちも楽しみにしつつ、今後のためにしっかりとこの目で見て勉強、研究したいと思います!
 それでは、最後まで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました! 次回は小暮くんの2回目のコラムです。お楽しみに!

久々に見た山の景色に感動! 思わず日本の山の景色を思い出してしまい、感慨深いイタリア遠征となりました。

第6回 小暮ひかる 編
引き続き応援よろしくお願いします!

 皆さんお久しぶりです! TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかるです。今回のコラムがひとまず最終回ということで重責ですが、頑張って書いていこうと思います。
 さて、9月末のフィンランド選手権最終戦に参戦したあとは、ひと息つく間もない忙しい日々でした。というのも約1カ月もの間、フィンランド国外にてラリー漬けの日々だったんです。今回はこのひと月に国外でどういった日々をすごし、何を学んだのかを皆さんに共有できたらと思います。
 まず僕たちは数日フランスにてターマックのテストをし、その後スペインにてWRCレッキに参加しました。サービスパークはサロウという地中海沿いにある町で、夜景が本当に綺麗でした。すぐ横にはフェラーリランド、約100㎞東にはバルセロナがあったので、空き時間にはサグラダ・ファミリアを訪問したり、ジェットコースターに乗ったり楽しませていただきました(笑)。
 スペインではどのSSも路面が綺麗で道幅が広い一方、カットできる場所もカットの量も自身の想像の範疇を超えており、イベントの後には路面は完全にグラベル状態でした。カットポイントがなければ確かに「サーキットに近いラリー」というふたつ名には納得できるんですけどね……。他にもスピード域は高いながら常に道が曲折しているので、ペースノートをシンプルにしながらも必要な情報を詰めることができるのか、情報の取捨選択を必要とするステージだと感じ、今後に向けてとても良いレッキトレーニングになりました。

 翌週にはフランス選手権に参戦しましたが、ひと言でいうと過去一番難しいラリーでした。ステージは些細なミスで即クラッシュするほど道幅が狭いにもかかわらず、落ちたらとんでもないことになりそうな崖沿い。ステージによっては距離が40㎞を超え、ブレーキにも過酷な状況です。そして何よりも苦戦したのが舗装路面。継ぎ接ぎ補修されてクルマが常時不安定なほどバンピーなうえに、ローダーで押し固めていないグラベルのような路面や溶かしたゴムのようなものを舗装の割れ目に流されたツルツルの路面など、特殊な路面があちらこちらに。レッキ時は本当にここを全開で走るのかと頭を抱えました。僕は残念ながらSS3にて路面のバンプでリヤを振られてクラッシュをしてしまいました。マイルを稼いで経験値を得ることができず本当に悔しいですが、こういった道もあるということを知ることができましたし、今後機会があればリベンジしたいなと思っています!
 そして11月、ラリージャパンに合わせレッキ参加のために帰国しました。コ・ドライバーにとっては初めての訪日で僕たちにとっても約半年ぶりの帰国。日本に降り立った時はフィンランドでの生活が定着してきたとはいえ、何かこみあげてくるものがありました。初日の夜は焼肉を食べに行ったのですが、本当においしくて……。クルーもかなり気に入ったらしく、その後毎晩焼肉に(笑)。一方で寿司やうどんなど他の日本食にも連れて行ったのですが、完食する人とまったく手をつけられない人に大きく好みが分かれました。僕のコ・ドラのトピは全部気に入ったようなので、来年また日本に来ても大丈夫そうですよ(笑)。
 話を戻して、久々に走った日本のステージは、やっぱりナローでツイスティに感じました。路面も常に滑りそうな要素が含まれていて難易度が高い。WRCドライバーが特徴の異なる未経験の道をどのような速度で走るのか想像ができませんでしたが、あらためてWRCドライバーのすごさを実感しましたし、加えて日本に多くのファンがいらっしゃることを認識できたことはドライバーとして誇らしく、うれしかったです。来年も開催され、次こそは僕も出場したいですね。
 さて、これまで6カ月間僕たちのコラムを最後まで読んでいただきありがとうございました。来年度も引き続きフィンランドを拠点に、Rally1ドライバーになれるように日々トレーニングを頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いします!

写真左/スペインの路面はインカットでグラベルかと見間違えるほどに。写真右/ラリーの合間には観光をしてリフレッシュ。サグラダ・ファミリアはまだまだ工事中。