GT4とは
最近注目されているカテゴリー「GT4」とは?
GT4はGT3同様、SRO*1がカスタマーレーシング向けに発案したレースカテゴリーで、2006年に誕生しました。まだGT1、GT2規定の車両によってFIA GT選手権が行われていた時期と重なります。その後、GT1、GT2規定の選手権は消滅し、GT3規定が世界のGTレースの中心となりました。一方でGT4は当初ドイツ国内のGTレースで採用され、2009年にはオランダGT4選手権がスタート。欧州のアマチュアドライバー向けのシリーズで徐々に広がりを見せてきました。
GT3も、もともとアマチュアやキャリアの少ないドライバーを想定したカテゴリーでしたが、GT1、GT2が辿った歴史と同様、進化、発展する過程で年を追うごとに高性能化&高コスト化が進んできました。その状況の中で、近年GT4が大いに注目されるようになりました。
現在、GT3車両によるカスタマーレーシングが隆盛を迎える中、そこに収まりきらないチームやアマチュアドライバーがGT4車両によるレースを歓迎し、GT4車両の開発、供給もさらに望まれてきています。
なお、GT3車両がFIA公認の「Group GT3」であるのに対し、GT4は現在、主にベルギーの統括団体RACB*2が公認しており、GT3同様、SROによるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス:性能調整)が行われ、性能の均衡化が図られています。
*1 SRO:ステファン・ラテル・オーガニゼイションの略称。元ドライバーのステファン・ラテル氏が創設した組織で、GT3やGT4の規定などの基礎を作り、GTワールドチャレンジシリーズの主催者を担っている。
*2 RACB:ベルギー王立自動車クラブ(ROYAL AUTOMOBILE CLUB BELGIUM)の略称。一国の自動車クラブではフランスに次ぐ歴史を誇り、現在はFIA(国際自動車連盟)に加盟して日本におけるJAF(日本自動車連盟)に相当する組織となっている。
アマチュアドライバーが
楽しめるGT4カテゴリー
GT3、GT4車両が中心のGTレースは世界各国で隆盛で、欧州、アメリカ、そしてアジアの3大陸では国際的なシリーズ戦も開催されています。その源流は1990年代半ばに欧州で始まったGT耐久レースシリーズまでさかのぼり、参加するチームもプライベーターでドライバーも多くがアマチュアでした。
F1やWEC、WRCに代表されるプロによるハイレベルなレースとは異なり、GTレースはもともとプライベートチーム、アマチュアドライバーのためのカスタマーモータースポーツとして発展してきた歴史があります。そしてレースが発展、進化するにつれてコストが高騰するのはどのレースシリーズでも同じで、GT3も車両価格だけでなくレース参戦に必要となる諸々の費用が上昇しています。
そんなGT3よりも低コストでアマチュアドライバーが楽しめるレースフォーマットとして現在、GT4の注目度が高まっています。
・ベースとなるロードゴーイングカーからの改造範囲が限定的なため、車両価格がGT3車両より廉価で、メンテナンスにかかる費用やランニングコストも低い。
・自動車メーカーやその関連会社等が製造、販売するため安全性も高く、ベース車両の性能に差があってもBoPによる性能均衡化が図られるため、レースでは拮抗した争いが期待できる。
といった特徴があり、まさにアマチュアドライバーや耐久レースでのステップアップを目指す若手にとって最適なフォーマットと言えます。
参戦できるシリーズ&レース
GT4車両が参加できるレースは世界各地で開催されています。国際的なビッグイベントとしては日本でも注目度の高い、ドイツのニュルブルクリンク24時間が挙げられます。他にも、オーストラリアで人気のバザースト12時間。このレースはGT3では世界最高峰ともいうべきインターコンチネンタルGTチャレンジの1戦に含まれています。
GT4車両によるシリーズ戦としては、欧州ではGT4ヨーロピアンシリーズ、FFSA GT4フランス、ブリティッシュGTがあり、これらのシリーズ終了後、選抜された車両が他の地域からの車両も加えてGT4ヨーロピアン・ファイナルに参加することができます。
一方、アメリカでもSRO系列のシリーズが2020年は11戦予定されているほか、アジアでは日本での2戦(富士と鈴鹿)を含めて6戦が開催される予定で、こちらはGTワールドチャレンジ・アジアとしてGT3との混走で各レースが構成されています。そして、日本のスーパー耐久シリーズでは、GT4車両のための「ST-Zクラス」が設けられています。実際、2019年の富士24時間には3台のGT4車両が参加しました。
参戦できる主な国際的なレース
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ドイツ
ニュルブルクリンク24時間
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オーストラリア
バザースト12時間
参戦できる主なシリーズ戦
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GT4ヨーロピアンシリーズ
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FFSA GT4フランス
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ブリティッシュGT
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GTワールドチャレンジ アジア
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ピレリスーパー耐久シリーズ