レースカーとスポーツカーの違いと共通点

"GT4"というレース・カテゴリーをご存じですか?

それは量産車に最低限の改造を施したレース専用車両で行うレースです。そして、量産スポーツカーである"GR Supra"をベース車両に、GT4仕様にしたクルマが"GR Supra GT4"です。
この2つのGR Supraにはどんな違いがあり、どの部分が同じなのでしょうか?その"≒(ほぼ等しい)"という意味とは?
これが分かると、TOYOTA GAZOO Racingの「クルマづくり」の基本を知ることができるでしょう。

GR Supra
流用パーツと専用パーツ

レースカーの
ポテンシャルを公道でも
GR Supra GT4とGR Supra

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

GR Supraは公道を走る量産スポーツカーです。ですが、開発段階から本格的なモータースポーツへの参加、つまりサーキット走行も念頭に開発・設計されています。その基準は"GT4"というカテゴリー。GT4のレースカーでは、ベースとなる量産車に使用される主要パーツが同じであることが義務付けられています。
このため、GR Supra GT4はレース専用モデルでありながら、皆さんが公道で走らせるGR Supraと基本は同じです。逆に言えば、皆さんが乗るGR Supra自体もレースカーと同じポテンシャルを元から有しているのです。
※GR Supra GT4ベース車両は北米仕様

ボディ

開発段階から
本格的なレース参戦を考慮
だからボディも基本は同一です

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

"GT4" のレースカーは、量産モデルのボディから形状(形や大きさ)を変更することができないと規定で定められています。GR Supra では量産モデルの開発段階から、このレース規定を視野に入れています。
したがって、レース専用のリアウイングや冷却ダクトの追加こそありますが、基本的には形状もサイズも同じです。なお、全長は追加した空力パーツのフロントスプリッターによって若干長くなっています。
また軽量化と安全対策のため、ウィンドウをポリカーボネイト化し、燃料タンクもFIA の規定に適合する専用品に変更しています。

エンジン

公道からレースまでカバーする
信頼性の高いエンジン

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

実は、GR SupraとGR Supra GT4はまったく同じエンジンを搭載し、メカニカルコンポーネントを同一としています。元々GR Supraが搭載する3リッター直列6気筒DOHC ツインターボのB58型は、信頼性の高いエンジンであり、レースでの激しい加減速をクリアできる性能を有しているからです。
ただし、GT4では専用ECU(エンジン電子制御ユニット)によって、レースのための戦闘力向上やコントロール性アップを行い、規定に併せた制御を行っています。

排気系

レースという
特別な環境に特化した
排気系は専用パーツに変更

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

排気系

画像をクリックで拡大

排気系

排気系は高出力化を狙い、また排気温高温化の対策のため、レース専用に一式変更されています。しかし、外観から分かる違いは、エキゾーストパイプが量産モデルは2本出しであるのに対し、GR Supra GT4は1本出しというくらいです。
またGR Supra GT4のボディ下面を見るとエキゾーストパイプは1本になっていますが、エキゾーストパイプを通すスペースは量産モデルそのままですから、1本分の空きスペースがあることが分かります。

駆動型

意外にも駆動系は
量産モデルのまま
ソフト制御で8速を7速に変更

駆動系

モータースポーツでは大きな負荷が掛かる駆動系ですが、量産モデルの開発段階からその使用を考慮して設計されており、ハード的には、エンジン出力向上に対応するために変更された一部分を除き同一のコンポーネントになっています。
ただし、GT4カテゴリーの規定が最大7速と決められているので、ソフトウェアの制御で7速に変更しています。
なお、ドライブシャフトは強化されたレース専用で、ディファレンシャルはケースを流用していますが、中身は機械式LSDに変更されています。

サスペンション

十分な剛性を持つ
量産モデルを流用
GT4はレース特有の
車高調整機能を搭載

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

GR Supra GT4のサスペンションは、形式はもちろんのことジオメトリー(※)までもが量産モデルと同じです。
ただしレースで必要なセッティングの自由度を上げるため、ショックアブソバーやスプリングは車高調整機能を搭載する可変式に変更。ブッシュ類もコントロールの精度を追求し、ラバーからピロボールに変更しています。
また、ブレーキは制動力が強化されたレース専用となっています。
※ジオメトリー:自動車工学ではサスペンションやステアリングを構成するパーツの組み合わせと配置、それらのリンクした動きを指さします。広い意味では幾何学を意味します。

画像をクリックで拡大

  • サスペンション
  • サスペンション
内装

コクピットはまさにレースカー
レース環境に最適化

量産流用 専用

ボタンをクリックで画像を切り替えられます

多くの部分で量産モデルと同じパーツを使うGR Supra GT4ですが、車内装備だけは見た目から大きく異なり、レース環境に最適化されています。
基本は北米仕様(※)ですが、軽量化と難燃性のため防音・吸音材やカーペット類もすべて外し、安全対策でロールケージを組み込んでいます。ステアリングも専用となり、形状も独特でコントロールスイッチを多数配置しています。助手席はシートが外され、GT4レースのハンディウエイトが搭載されます。
このようにレースカーらしいコクピットになっていますが、コンソール上のスイッチノブは流用され、ステアリングシャフト(チルト・テレスコ機構を含む)やパワーステアリングのギアボックスは量産モデルを流用しています(制御ユニットは専用)。
意外かもしれませんが、ドライバーの快適性向上のためエアコンは標準装備しています。
※量産モデルの写真は国内仕様

"GR Supra GT4" が
あなたをレースに誘い
次代のスポーツカー
"GR Supra"がさらに進化する

このようにGR Supra GT4 は、GR Supra の量産モデルと基本パーツの多くを共有することで、レース専用車としては極めてリーズナブルな価格となりました。これにより世界の様々なレースで、GR Supra GT4が活躍することでしょう。
そしてGR Supra GT4がレースで得た多くのデータやヒントは、次の量産モデルにフィードバックされ、その性能をさらに進化させます。
GR Supra とGR Supra GT4 はまさに、
「モータースポーツを起点とした、もっといいクルマづくり」を実現していくクルマなのです。

GR Supra GT4