2019年プレスリリース

TOYOTA GAZOO Racing ダカールラリー2020
TGRトヨタ・ハイラックスがラリー・モロッコを制す

2019年10月10日(木)

ダカールラリーの前哨戦とも言える、ラリー・モロッコが10月3日(木)から9日(水)にかけて行われ、TOYOTA GAZOO Racing South Africaのジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組のトヨタ・ハイラックスが優勝を飾りました。ド・ヴィリエールとハロは、5日間にわたり様々な路面で戦われた過酷なラリーレイドを戦い抜き、最終ステージ直前で首位に立つと、競技の最終セクションでもトップタイムをマークし、見事、総合優勝を勝ち取りました。

今回のラリーはチームにとって辛勝だったと言えるかもしれません。ダカールラリーのディフェンディングチャンピオンであるナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメルはラリー4日目に車両下部が岩に当たった影響でクランク角センサーを破損し、これによりエンジン・マネジメント・システムが作動しなくなったため、17分以上の大差でリードしていたラリーから、リタイアを余儀なくされました。

今回が国際ラリーレイド戦の初陣となったフェルナンド・アロンソとマルク・コマは、5日間の期間中、着実にラリーを走り抜き、ダカールラリー2020へ向け、多くの走行トレーニングの経験を積むことが出来ました。アロンソとコマの二人は、先月南アフリカ・クロスカントリーシリーズの1戦に出場しましたが、このラリー・モロッコは、世界最速レベルのラリーレイドドライバーと競う初の機会となりました。

アロンソとコマはラリー序盤から様々な課題やアクシデントを経験することになりました。初日は15番手スタートだったため、前走車の巻き上げた砂埃の中を走らねばなりませんでした。また、204kmのステージ1の間に、岩場で3度のパンクを喫しました。スペアタイヤを2本しか搭載していなかったため、スペアタイヤを積んだ他のトヨタ車両が到着するまで40分間待機するしかありませんでした。到着したオーバードライブ・レーシングのヴィクトール・コロシャツェフ/アントン・ニコラエフ組がラリーレイド新人コンビのアロンソ/コマ組へスペアタイヤを提供した結果、2人は21位でステージ完走を果たしました。

2日目はサハラ砂漠の縁に位置するメルズーガ砂丘へ向かい、岩場と砂丘が混在する386kmのステージで戦いました。アロンソとコマは砂埃の中で見事な走りを見せ総合10位へとポジションアップ。翌日、上位だけに許される前走車との間隔を拡げてスタートする権利を獲得しました。

3日目の363kmのステージは、スタートの僅か5分前に競技者へロードブックが渡されるという新規ルールで行われました。TOYOTA GAZOO Racingのベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組、アロンソ/コマ組の2台は、共にロードブックに記載されていなかった轍にはまり、揃ってサスペンションを破損。ラリーを継続するために、ビバークへ戻っての夜を徹した修復を強いられました。これにより2台はタイム加算を伴ったペナルティを科されることになりました。

311kmで争われた4日目もまた直前に渡されたロードブックで走行することになりました。走行中、更なるパンクに見舞われたアロンソとコマは、すぐにスペアタイヤに交換、その後、トラブルに見舞われたアル-アティヤ/ボーメル組に追いつき、修理・サポートしようとしましたが、この車両では走行継続が不可能だとわかり、彼らから未使用タイヤを受け取り、走行を続けることになりました。

9日(水)の最終日はエルフォードからフェズへの168kmで、アトラス山脈を越える岩場とワインディングロードが舞台となりました。ド・ヴィリエール/ハロ組が首位に立ち、アロンソ/コマ組もこの日8番手のステージタイムを記録。この日2番目に速いタイムをマークしたテン・ブリンク/コルソール組に続く総合26位でラリーを完走しました。

TOYOTA GAZOO Racingは10月24日(木)、2020年ダカールラリー参戦体制に関する記者会見をスペイン・タラゴナのポートアベンチュラ・コンベンション・センターで行う予定です。

2019年ラリー・モロッコ 最終結果:

1位
307号車
ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ
25位
304号車
ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール
26位
314号車
フェルナンド・アロンソ/マルク・コマ
リタイヤ
300号車
ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル

チーム代表 グリン・ホール
ジニエルがラリー・モロッコで4勝目を挙げることができ、本当にうれしいです。彼にとっても、TOYOTA GAZOO Racingにとっても素晴らしい勝利です。また、ジニエルはアレックスとのコンビで初めての勝利となりましたが、トヨタ・ハイラックスと彼らが最高のチームであることを示してくれました。チームは前日のナッサーのリタイアを受け、少し残念な最終日を迎えましたが、最終的には最高の結果でラリー・モロッコを締めくくることが出来ました。ナッサーが止まってしまった原因は、小さな部品の破損によるものでしたので、再発生防止に努めます。ベルンハルトとトムは最終日に2番手タイムをマークし、その速さを証明しました。フェルナンドには、ダカールに向けて短期間での成長を強いる計画であることは間違いないです。もし、もう少し時間があれば、ラリー・モロッコのような厳しいラリーの前に、もう数戦南アフリカのローカルレースで経験を積むことも出来たでしょう。今回のコースは極めて難易度が高く、ロードブックから走行ルートを前もって検討することも出来ませんでした。そのような困難に直面しながらも、フェルナンドはここでとても貴重な経験をしたと思います。彼はまだ実感できていないかも知れませんが、ダカール参戦発表が迫る中で、ここモロッコで得た数多くの経験によって、彼の対応力が格段に高くなることでしょう。

ジニエル・ド・ヴィリエール(307号車)
今回のレース結果に、私自身が驚いています。これまでラリー・モロッコでは3度勝利していますが、だいぶ以前のことです。こんな難しいイベントで勝利できて最高です。たったの5日間ですが、どのステージも本当に過酷でした。ラリー後半戦は目まぐるしく展開が変わりました。事前のテストからラリー本番でも、素晴らしい仕事をしてくれたチームに本当に感謝します。アレックスもハイラックスで最高の働きをしてくれましたし、我々にとって初勝利を達成できて満足しています。

ベルンハルト・テン・ブリンク(304号車)
本当にタフなラリーでしたが、トヨタが勝利を挙げることができ、本当に嬉しく思いますし、ジニエルとチームに祝福を送ります。我々のラリーに関して言うと、3日目にダメージを負ったことにより、修復のためにビバークに戻らざるを得なかった時点でラリーが終わったように思います。しかし、最終日に我々が見せられたパフォーマンスには満足しています。ジニエルのすぐ後、2位でステージを終えることができました。我々をサポートしてくれた全てのメカニックとエンジニアに感謝しています。

フェルナンド・アロンソ(314号車)
間違いなくこのラリー・モロッコで多くの、また貴重な経験を得ました。私自身にとって初の国際ラリーレイド参戦に向けて、走行テストなどで忙しい2週間を過ごし、そのままシリーズで最も手強いラリーに臨みました。完走を果たせて本当に嬉しいですし、チーム、クルマ、スタッフ、全てにおいてどれだけ厳しいラリーであったかを目の当たりにしました。我々のパフォーマンスには浮き沈みがありましたが、ハイラックスと共にそのポテンシャルは示せたと思っています。更に重要なのは、ラリーの間に直面した全ての困難が私にとっての良い学習機会だったということです。優勝したジニエルとアレックス、そしてTOYOTA GAZOO Racingを祝福します。ジニエルはナミビアや南アフリカでの数ヶ月にわたるトレーニングの間、私を指導してくれるなど、ダカールへの挑戦の大きな助けとなっています。

TOYOTA GAZOO Racing - ダカールラリー2020 チーム参戦記者会見
日付:2019年10月24日(木)
場所:スペイン・タラゴナ