2020年プレスリリース

TOYOTA GAZOO Racing ダカールラリー2020レポート No.1
ダカールラリー2020 スタート
2連覇へ向けトヨタ・ハイラックスがサウジアラビアの砂漠に挑む

2020年1月7日(火)

TOYOTA GAZOO Racingは昨年初の総合優勝を果たした「ダカールラリー」の2020年大会に、2連覇を目指してトヨタ・ハイラックスで挑みます。ダカールラリー2020は1月5日(日)、新たな舞台となるサウジアラビアで、約2週間にわたる長い戦いへ向けたスタートを切りました。

ダカールラリー2020

サウジアラビアで初開催のダカールラリーは、スタートから未知の難コースで激戦が繰り広げられています。現地時間1月6日(月)のステージ2を終えた時点で、TOYOTA GAZOO Racingのトヨタ・ハイラックス300号車を駆るナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が首位と6分7秒差の総合3位、ステージ2をトップで終えたジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組 304号車が6位、ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組 307号車が10位。フェルナンド・アロンソ/マルク・コマ組の310号車はトラブルで大きくタイムを失いながらも総合47位につけています。

TOYOTA GAZOO Racingは、2019年にダカールラリーを制した最新型のトヨタ・ハイラックスで2連覇を目指すにあたり「もっといいクルマづくり」の精神に基づいて更なる改良を進めてきました。42回目の開催にして、初めてサウジアラビアを舞台とするこの伝統のラリーレイドに向け、チームは2019年中から多くのテストを実施し、サスペンションやあらゆる領域のパーツを見直し、改善を重ねました。

TOYOTA GAZOO Racingはワークスチームとして、昨年の覇者であるアル-アティヤ/ボーメル組をはじめとする4台のトヨタ・ハイラックスを投入し、ダカールラリー2連覇を目指します。トヨタ・ハイラックスを駆るのはアル-アティヤ/ボーメル組に加え、2009年ダカールラリーウィナーで、今回のダカールラリー前哨戦とも言える2019年のラリー・モロッコを制したド・ヴィリエール/ハロ組と、テン・ブリンク/コルソール組というラリーレイドの有力ドライバー。そして元2回のF1ワールドチャンピオンであり、デイトナ24時間レース勝者、TOYOTA GAZOO Racingではル・マン24時間を2度制し、FIA世界耐久選手権(WEC)のチャンピオンにも輝いたアロンソが、6度のFIMクロスカントリー(2輪)世界チャンピオンであり2輪車部門で5度のダカール優勝という輝かしい経歴を持つコマとのコンビでラリーレイドという新たなカテゴリーに挑戦します。

1月5日のスタートに先立ち、チームは元旦からイベントのスタート地となるサウジアラビア・ジェッダ南部の砂漠地帯でシェイクダウン(レース前の車両セットアップ確認走行) を行い、南アフリカのチーム本拠地で組み上げられた4台のトヨタ・ハイラックスが、全て順調に仕上がっていることを確認するとともに、サスペンションの調整なども行いました。

今年のダカールラリーは、サウジアラビア1国のみを舞台として行われ、中間に休息日を挟んだ12ステージ13日間、総走行距離約7,900kmにわたって争われます。

【ステージ1】
1月5日、初日のステージ1はサウジアラビア西部の都市ジェッダをスタートしたラリーは、この日のゴールとなるアル・ワジまで紅海沿岸を北上する、総走行距離752kmのコースでうちスペシャルステージは319km。砂丘や高速かつ曲がりくねったコースなど、「ミニ・ダカール」とも呼べるバラエティに富んだ路面で戦われました。

ダカールラリー2020

TOYOTA GAZOO Racingのトヨタ・ハイラックスはこの日、4台合計で11回に及ぶパンクに見舞われました。序盤をリードしたアル-アティヤ/ボーメル組300号車は序盤をリードしましたが、終盤、僅かな区間で3連続のパンクを喫し4位。テン・ブリンク/コルソール組307号車は2度のパンクに見舞われながらも順調な走りを見せ5位。この日4度のパンクに見舞われたド・ヴィリエール/ハロ組304号車が14位。ダカールラリーで初のスペシャルステージに臨んだアロンソとコマのコンビは2度のパンクと、ナビゲーションの難しいコースでややタイムをロスし、首位から15分27秒遅れの総合11位で初日を終えました。

【ステージ2】
1月6日、パンクに苦しんだ初日を終え、TOYOTA GAZOO Racingは巻き返しを目指してステージ2に臨みました。アル・ワジから近代都市ネオムへと向かう、総走行距離393kmのうち367kmがスペシャルステージで、初日以上にパンクのリスクが高い、固い路面の多いコースでしたが、ド・ヴィリエール/ハロ組304号車が素晴らしい走りでチームにとって今大会初となるステージ勝利を飾りました。304号車はこの結果、総合でも6位へと浮上。また、ド・ヴィリエールはダカール史上初めて、3大陸(アフリカ、ユーラシア、南米)でのステージ勝利を飾ったドライバーとなりました。

ダカールラリー2020

アル-アティヤ/ボーメル組300号車はこの日も3度のパンクに見舞われましたが、ステージ5位でフィニッシュし、総合ではチーム最上位、首位から6分7秒遅れの3位につけました。テン・ブリンク/コルソール組307号車もパンクから逃れることはできず、4回のパンクのためにゴール前20kmにわたってスペアタイヤを使い切った状況で走ることを余儀なくされました。チームメイトの304号車からタイヤを分けて貰ってフィニッシュを果たしましたが、総合10位へと後退しました。

アロンソ/コマ組310号車は最初のチェックポイントを3番手の速さで通過し、中盤まではトップ10圏内の速さを見せていましたが、前走車の巻き上げる埃により視界が悪化し、コース上の穴でサスペンションを破損。この修復に2時間34分もの時間を要したことで、総合47位へと大きく後退を余儀なくされましたが、アロンソとコマは諦めることなくダカールラリーへの挑戦を続けます。

ダカールラリー2020 ステージ2終了時点の総合結果:

総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(車両/チーム) 首位との差
3位 #300 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
6分7秒差
6位 #304 ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
12分4秒差
10位 #307 ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
21分23秒差
47位 #310 フェルナンド・アロンソ/マルク・コマ
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
2時間38分53秒差

チーム代表 グリン・ホール
我々の4台のトヨタ・ハイラックスはシェイクダウンから順調で、スタートから速さを見せていますが、昨日の初日は多くのパンクに見舞われてしまいました。今日はジニエルがステージ勝利を果たし、上位争いに復帰してくれたのが良いニュースです。今日はタイヤの種類を変えてみたのですが、ナッサーは3度パンクに見舞われ、少し運がありませんでした。我々に速さがあることは分かっていますし、もう少し運が向いてくれることを祈ります。

ナッサー・アル-アティヤ(300号車)
昨年トヨタ初の勝利を挙げられたことは格別でした。今年は、昨年までの南米とは全く異なる路面でのラリーになりますが、私自身はサウジアラビアのレースで勝ったこともありますし、ここからそれほど離れていないカタールの砂漠で父と運転して育ってきたこともあり、上手く走れると思っています。この2日間は多くのパンクに見舞われ苦戦を強いられましたが、まだ総合3位につけられているのは悪くない結果です。今年のダカールラリーは参加者全員にとって新たなチャレンジですし、まだまだ何が起こるか全く分かりません。

ジニエル・ド・ヴィリエール(304号車)
昨年のダカールラリーでは3日目に岩にヒットし残念な結果に終わってしまいましたが、昨年末のラリー・モロッコで勝利したことで自信を取り戻しました。ハイラックスはとても好感触ですし、多くのテストをこなし更に改良を進めてきました。初日の昨日は4度のパンクに見舞われる厳しいスタートでしたが、今日は順調でした。これこそがダカールラリーです。不調な日にどれだけタイムロスを抑えられるかが重要です。今日はスペアタイヤを使い切ったベルンハルトにタイヤを渡すために一度停まっただけで、本当に好調な一日でした。今年のダカールは本当に油断のできないコースですが、新しくナビゲーターとして組んだアレックスは、とても良いナビゲーションで助けてくれています。

ベルンハルト・テン・ブリンク(307号車)
今年はTOYOTA GAZOO Racingという最高のチームのトヨタ・ハイラックスで、素晴らしいナビゲーターのトムと組み、これ以上にない体制でダカールラリーに臨むことができ、トップ5,もしくは表彰台が狙えると思っています。もちろん何が起こるか分からないのがダカールですが、私自身も今は最高のコンディションです。昨日も今日も多くのパンクに見舞われ、本当に難しいレース展開を強いられていますが、まだ10分ほどしか遅れていません。タイヤをまわしてくれたチームメイトのジニエルに感謝します。彼がいなかったら今日フィニッシュできなかったでしょう。

フェルナンド・アロンソ(310号車)
ついにダカールラリーのスタートを迎えることができて最高の気分です。今日は結果的には良い一日とは言えませんが、感触は悪くなかったです。我々はトヨタ・ハイラックスと共に良いペースで走ることができ、マルクのナビゲーションも的確でした。アクシデントでフロントサスペンションを破損し、2時間以上のタイムロスになってしまいましたが、それまでは全てが順調でした。幸運にもまだ我々のダカールラリーは終わっていませんし、明日以降も一日一日挑戦を続けていきます。