Interview Driver
UWE KLEEN
Germany

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新型GRスープラを一言で表現すると
誰でも親しめる最高のスポーツカー

Q.ニュルブルクリンク24時間レースにおけるスープラの目的はなんですか?
より良いクルマを作ること。最高のスープラを作るチャンスと捉えています。TOYOTAは他の会社よりクオリティが高いです。また、TOYOTAは最初に一般車を作って、そのあとにレースカーを作る。他の会社では逆で、最初にレースカーを作ってから一般車を作りますからね。
Q.新型GRスープラを運転する際のご自身の想いについて教えていただけますか?
一番情熱を持っているのはGAZOOでレースすることそのものです。加えて、TOYOTAとLEXUSが好きだということ。それに加えてノルトシュライフェで最高のクルマを運転できるということ。これらが全て私の夢ですし、大変嬉しく思っています。
Q.実際に運転してみて新型GRスープラの最も好きなところは何ですか?
まず外観ですね。スポーティでありつつ、新しいデザインがとても気に入りました。スーパースポーツカーではなく、色々な種類のクルマの要素を組み合わせて作られている部分が気に入っています。リアフェンダーとフロントスポイラーが付いている部分を見ると、ミドルクラスのスポーティなクルマといった感じです。触り心地も良いですね。完全に新しいモデルです。昨日今日と実際に運転してみて、素晴らしいと思いました。ブレーキングやタイヤの調整は少し必要かもしれませんが、非常に快適に走ることができました。カスタマーレーシング用に作られたと言っても良いと思います。しかも取り扱いが簡単なので、アマチュアのレースドライバー達にとっても親しみやすいと思います。エンジン出力と制御、ギアシフト、本当に運転するのがとても簡単です。
Q.新型GRスープラを一言で表現すると?
誰でも親しめる最高のスポーツカーといったところでしょうか。
Q.それは、どうして「誰でも」なのでしょうか?
ポルシェやフェラーリは、非常に高価で誰でも買えるわけではありません。新型GRスープラの価格帯であれば誰でも手が届く。スーパースポーツカーなのに、他のスーパースポーツカーよりも低価格で手に入ります。
Q.一般のドライバーでも運転できると思いますか?
はい、とても運転しやすいです。ノルトシュライフェで TMEの行ったセットアップは素晴らしいです。誰でも運転できます。
Q.旧モデルのスープラに思い出はありますか?
はい、少しあります。当時は買えるほどのお金がなかったのですが、スープラが市場に出てきたときは本当に世界一だと、スープラほどの速いクルマはないなと思っていたことを覚えています。
Q.欲しいと思っていましたか?
もちろんです。ただ、当時は値段が高すぎて手が出ませんでした。また、左車線を走るように作られた右ハンドルのクルマはドイツではあまり一般的ではありませんでしたからね。イギリス製や日本製の右ハンドルのクルマがありましたが、当時たくさんのクルマが過剰にチューンされていてスープラのようではなかったんですよ。

ニュルブルクリンク
24時間レースの魅力は「一体感」

Q.ニュルブルクリンクには度々出場されていると思うのですが、慣れたものですか?
ここではもう20年以上にわたってレースをしていますし、ここが私のホームだと思っています。他のサーキットでは、2周もしたら「もういい、次へ行こう」と思いますが、ノルトシュライフェは長年走ってきましたが完璧なレースをできたことはありませんね。
Q.TOYOTA GAZOO Racingにとって新型GRスープラはどういう意味を持つと思われますか?
素晴らしいクルマであるGT86(86の欧州での車名)が、更に進化させたクルマが新型GRスープラだと思います。
新型GRスープラは一般道でもレースでも走れるクルマだと感じています。それこそが、「よりスポーティなクルマ」の実現だと思います。情熱を込めて良いものを作ることが大切だと考えています。
Q.ニュルブルクリンク24時間レースは世界で最も過酷なレースと呼ばれていますが、どのくらい厳しいものなのでしょうか?
まずは、クルマの種類です。150馬力のクルマと500馬力のGT3が同レースを走るのは世界で唯一ですからね。また、プロとアマチュアのドライバーが一同に介するということもです。そして場所。一番低いところで300メートル、一番高いところは700メートルと非常に高低差のあるコースです。気候も変わりやすく、24時間という長丁場のレース中に状況が変化する、他でも類を見ないコースです。
Q.見ている人たちにとって、ニュルブルクリンク24時間レースの最も魅力的な点は何ですか?
「一体感」です。ここでは、プロのドライバーとアマチュアのドライバーが混ざり合い、観客もピットに入ってクルマに触れることができます。さらにはドライバーと話すことも可能です。こうしたことからお客さん自身も、チームの一員であるかのように感じることができます。通常ヨーロッパのレースでは、それはできません。それに、ニュルブルクリンク周辺では、非常に大きなバーベキューパーティーも楽しめ、たまにソーセージの匂いがすることもあります。家族と一緒にいるような、この一体になった暖かい雰囲気が、みんなから愛される理由だと思います。

ニュルブルクリンクでの
新型GRスープラの乗り心地は完璧でした

Q.ニュルブルクリンクでのスープラの乗り心地はどうでしたか?
完璧でした。通常、開発してまもない段階のクルマは、運転するのが少し難しいものです。しかし、少し走ってみると安定していて、操作がとても簡単なことに気がつきました。限界までクルマを楽に走らせることができるので、本当に良いクルマができたんだなと思いました。こういう類のクルマでは信じられないことです。
Q.新型GRスープラでも24時間レースに出られると思いますか?
思います。TOYOTAのクルマですから。
Q.これまで他に運転したクルマと何が違いましたか?
基本設定が簡単でした。通常新しいクルマをサーキットで使用すると、セットアップや微調整といった作業がたくさんありますが、今回はその作業が少なかったですね。座って運転するだけでよかったんです。この優秀さに驚きました。いくつかの周回タイムを見ていても、とても速かったです。
Q.先ほどTOYOTAは一般車を作ってからレーシングカーにカスタマイズして行くというお話を伺いましたが、この開発手法は一般的になると思いますか?
はい、少し時間はかかりますがそう思います。ユーザーはクルマを買う前にこのクルマが信頼できるのかをチェックしています。スープラは見た目も乗り心地もレーシングカーです。サーキットを走りたい顧客だけでなく、レーシングカー感覚を普通のスピードでも楽しみたいという、一般のユーザーにとっても素晴らしい製品だと言えると思います。
Q.スープラがニュルブルクリンク24時間レースに復活するということで、今回スープラのどのようなところを見てもらいたいですか?
まず、実際にクルマに触れて感じてもらうことが重要です。「次のクルマはこれだ」と思ってもらう。また日本車のクオリティの高さを理解してもらうことも重要だと思っています。他メーカーの製品には品質が高いとは言えないものもありますが、TOYOTAやLEXUSは他メーカーとは一線を画しています。トヨタの顧客に対する想いを理解してもらうこと、それが一つ目に重要なポイントです。もう一つのポイントは、このクルマが次世代のスポーツカーなのだと認識してもらうことです。現在、GT3を見れば公道を走るクルマではないと一目でわかると思います。サーキットでのレースには適したクルマですが、一般の顧客が欲しいと思うクルマではありません。 新型GRスープラやGT4は違います。レースカーであると同時に一般的な高速道路など、通常の道を走るイメージができるクルマなんです。
Q.スープラのニュルブルクリンクでの走りを見て、見ている人たちがその品質を感じることができますか?
はい。24時間レースは世界で最も過酷なレースであり、完走するには本当に良い製品でなければならないのだということを、世界中の誰もが理解していますからね。
Q.日本からのファンも24時間レースを見に来ているかと思います。日本のファンへのメッセージはありますか?
日本の皆さんを歓迎します。ドイツという国と24時間レースを楽しんでもらえることを願っています。そして、私たちがこのレースをどのように楽しんでいるのかをぜひ、体感してください。