2018年プレスリリース
全日本ラリー選手権第2戦 ツール・ド・九州2018 in 唐津
天候の変化を乗り越え2位完走
~次戦 第3戦丹後にTGR Vitz GRMN Rallyを投入~
2018.04.10(火)-10:00配信
4月6日(金)〜8日(日)、2018年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第2戦「ツール・ド・九州2018 in 唐津」が、佐賀県唐津市を拠点として行われ、TOYOTA GAZOO Racingの眞貝知志/安藤裕一組(TGR Vitz CVT)は悪天候に苦戦しながらも完走を果たし、2位を獲得しました。
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雪まじりの雨に見舞われた初日、ウェット路面を果敢に走行するTGR Vitz CVT
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的として、2018年全日本ラリー選手権第2戦にTGR Vitz CVTで臨んだTOYOTA GAZOO Racing。ドライバーの眞貝知志選手、コ・ドライバーの安藤裕一選手ともに、TGR Vitz CVTでのターマック(舗装路)ラリーは初めての経験となります。
眞貝選手は従来このラリーを得意としてきましたが、「この車両でターマックラリーに参戦するのは初めてですし、タイヤも新しいものを使います。1500㏄のクラスで走るのも初めてですから、序盤は無理せずクルマの言うとおりに走らせてみるつもりです。しっかりと完走して、シーズン後半に向け調子を上げられればと思います」と、冷静に状況を分析。毎年恒例となった唐津神社のセレモニアルスタートで大勢の観客に見送られ、SS(スペシャルステージ:競技区間)へと向かっていきました。
ラリー初日は一部のSSで雪が舞うなど、季節外れの寒さに見舞われ、多くの選手が路面温度の低さにタイヤのグリップを活かせず苦戦する展開となりました。眞貝選手もクラス首位のライバルに大きく水をあけられてしまいますが、TGR Vitz CVTの走らせ方をマスターすべく試行錯誤を続け、好天に恵まれた2日目のラリー最終日には、クラス首位の選手に迫るSSタイムを出すまでにペースアップ。最終的には前戦と同じくクラス2位でフィニッシュし、TGR Vitz CVTのポテンシャルを示しました。
■豊岡悟志(チーム監督)
「初日は天候が良くなることを予想して、最初のセクションをドライ路面用のタイヤで行ってしまったため、ライバルに差をつけられてしまいました。いま思えば天気予報のみで少し安易にタイヤを決めてしまったかなとも思います。眞貝選手と安藤選手は、TGR Vitz CVTの車両特性に合わせてどうドライビングすべきか二人で意見交換し試行錯誤しながら走ってくれました。そのとき得た走行感覚を私たちに伝えてくれ、チームとして共有できた事は大きな収穫です。」
■宮本昌司(チーフメカニック)
「前戦から少し期間が空いてしまったので、集中して取り組むことを心がけました。ラリーを終えて、チームとしての経験やクルマの理解度、引き出しの多さがもっと必要だと感じています。今回は、経験を積ませるために新しいメカニックのメンバーを2名加えていますが、いままでチームとして得た経験や知見を、新しいメンバーにどうやって継承していくかという点も重要になると思いました。第4戦からのグラベル(未舗装路)ラリーでは整備のノウハウも変わってきますし、まだまだ力をつけるべき部分があります」
■眞貝知志(ドライバー)
「TGR Vitz CVTはとてもしっかりしていて、楽しく運転することができました。ただ、これまでの経験上、このラリーでのタイムの出し方は知っているつもりだったので、この結果に悔しさを感じています。この2日間、自分なりに色々と試してみて勉強になりましたし、これが(ドライビングの)次のステージに上がるきっかけとなるかもしれないと感じています。開幕戦から2戦連続で完走を果たせましたし、今後につながる状態でラリーを終えることはできたと思います」
■安藤裕一(コ・ドライバー)
「予想と大きく異なる展開のラリーでしたが、その状況を逆手にとって、ドライビングやそれに合わせたノートリーディングについても試行錯誤できたのは良かったと思います。車内でも常に前向きな状態でいることができました。今回のラリーから得られるものはたくさんありましたし、ここからチームにフィードバックできるものもあると思っています。今後に向けても、結果だけではなく、もっとチームにとって内容の濃いラリーをできるようにしたいですね」
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コースの状況について話し合う安藤(左)と豊岡(右)
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CVTのドライビングに試行錯誤しながらもクラス2位で完走を果たした眞貝(左)と安藤(右)
■ツール・ド・九州2018 in 唐津 JN3クラス最終結果
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1 天野 智之/井上 裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR SPORT)
1:07:32.4
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2 眞貝 知志/安藤 裕一(トヨタ・ヴィッツCVT)
+2:16.0
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3 岡田 孝一/多比羅 二三男(マツダ・デミオ)
+5:01.3
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4 山北 研二/石井 誠(日産マーチ)
+20:30.4
■次戦の情報
次戦となる全日本ラリー選手権(JRC)第3戦NISSIN Rally丹後2018は4月27日(金)~29日(日)、京都府京丹後市を拠点として開催され、TOYOTA GAZOO RacingはTGR Vitz GRMN Rallyを投入する予定です。
TGR Vitz GRMN RallyのベースとなるVitz GRMNは、4月9日に商談申込みの受付を開始した150台の限定モデル。過去に全日本ラリーに参戦した Vitz GRMN Turboからの知見を盛り込んで開発され、スーパーチャージャーの搭載によりエンジン出力を高め、オイルクーラー、インタークーラー、ラジエータを大容量化することで冷却性能を高めるとともに、欧州製3ドアの採用、タワーバー(フロント)やブレースの追加、足回り部品の強化によりシャシー剛性を高めています。
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてTGR Vitz GRMN Rallyを投入し、将来のさまざまなGRスポーツ車両の開発に活かしていきます。
TGR Vitz GRMN Rallyの諸元
ベース車両 | Vitz GRMN |
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エンジン | スーパーチャージャー付1.8リッター直列4気筒エンジン |
最高出力 | 156kW(212PS) / 6,800r.p.m. |
最大トルク | 250N・m(25.5kgf・m) / 4,800 r.p.m |
トランスミッション | 6速マニュアル・トランスミッション |
■ドライバー(眞貝知志)のコメント
「ベース車両となるVitz GRMNに試乗させていただきましたが、正直、これが本当にVitz?!と思える程、強烈なパワーと、上質な乗り味がとても気持ちよく印象的でした。高回転まで気持ちよく吹け上がるエンジン特性で、パワーバンドが広い。そういうメリットを活かした運転をしていかなければならないと感じました。まずはトラクションを重視し、順番にセットアップを詰めていきますが、速さをどう引き出すか、チームメンバーと共にチャレンンジできる事が本当に楽しみです。高回転域のパワーを活かし切れば、きっと皆さんが驚くほどのタイムを出せるはず。ラリーという競技において、優れたベース車両のポテンシャルを証明することができればと思っています。」
なお、第2戦まで投入してきたスポーツCVTは、今後モータースポーツの裾野を広げていくことを目的に全日本ラリー選手権に参加するチームに供給する形で継続していきます。