10月30日(土)〜31日(日)にかけて、愛媛県上浮穴郡久万高原町を拠点に2021年全日本ラリー選手権(JRC)第4戦「久万高原ラリー」が開催され、TOYOTA GAZOO Racingの勝田範彦/木村裕介組が優勝を飾り、JN1クラスのチャンピオンに輝きました。また、眞貝知志/安藤裕一組はすべてのSSを走り切ったものの、メカニカルトラブルのためリタイアとなりました。
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racing。2021年からはGRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスに挑戦しています。
今大会は当初5月に開催が予定されていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて10月に延期され、実質的な最終戦として開催されました。チームは、前戦から2週間という短期間ながら、両クルーのフィードバックを可能な限りGR YARIS GR4 Rallyに盛り込み最終戦を迎えました。また、今回は「GR Garage 松山」からもディーラーメカニック1名が参加し、ラリー中、チームの一員として共に車両の整備を行いました。
選手権ランキング首位の勝田選手は、初日の6SS中3SSでトップタイムを記録する好走で、首位のライバルから1.8秒差の2番手という好位置につけました。23.28kmのSSを2回走行する最終日は、夜半からの雨が残り、霧も発生する難しい路面状況に。小雨が降るSS7、勝田選手は首位のライバルに対し30.3秒差をつける走りで一気にトップに立つと、続く最終SSもトップタイムで締めくくり、シーズン4連勝を達成。勝田選手は2017年以来となる、9度目のチャンピオンに輝きました。また、眞貝選手は最終SSを走行後、最終タイムコントロール前にメカニカルトラブルによりリタイアとなりました。
■豊岡悟志(チーム監督)
先ずは最終戦まで激しい戦いを繰り広げ、一緒に全日本ラリーを盛り上げることができた、ライバルの福永選手に心から敬意と感謝を申し上げます。初戦のトラブル、どん底のスタートから、メカニック、エンジニアが本当に必死に改善を積み重ね、テストを繰り返してたくさんの事を学び、一戦毎に強くなれたと思います。必死にチャレンジしてきたので、最後は天候も味方してくれて、勝田選手がチームの想いを、素晴らしいゴールへと運んでくれました。支えてくださった関係者の皆様、一緒に戦ってきた仲間、全ての方にただただ感謝しかありません。
■勝田範彦(ドライバー)
厳しい戦いでしたが、最後に勝つことができました。チームのみんなが頑張って、素晴らしいクルマやタイヤを用意してくれましたし、「自分が頑張らないと」と思いアタックしました。私自身にとっては久々のチャンピオンですし、木村選手は初のチャンピオンです。GR YARIS GR4 Rallyの参戦初年度でここまで来られるとは思ってもいなかったですし、チームの頑張りにはあらためて感謝しています。シーズン中に経験したすべてのことの積み重ねが、タイトルに導いてくれました。応援ありがとうございました!
■眞貝知志(ドライバー)
今回は初日にリヤをヒットしてしまいましたが、落ち着いた様子で所定のサービス時間内で修復してくれたチームをとても心強く感じました。自分自身はここまで1年を通じて着実なペースアップを続けることができたのですが、最後にまとめ切れなかったことがとても残念です。1年間、このJN-1クラスで「勝ち抜く」ことを見せてくれた勝田選手・木村選手とチームや関係者の皆様に対して、改めて尊敬の念を抱くとともに、近くで学ばせて頂いたことを心から感謝しています。
■宮本昌司(チーフメカニック)
社内外の様々な方々の力を貸していただき、さらにたくさんの応援をいただいたからこそ、チームがここまで成長することができたと思います。今回は2週間という短い間でしたが、チームとして明確な目標を持ち、できることはすべてやってきました。ラリー中は車両の修復や、雨の中での作業など、貴重な学びもありました。今年1年を振り返り、この結果はチームとしても達成感を感じますし、これからのチャレンジ、たゆまぬ改善へのエネルギーになると思っています。
■齋藤尚彦(GRヤリス開発主査)
まず、このラリーを開催していただいた地元の皆さん、そしてオフィシャルの皆さんに感謝します。GRヤリスは、モリゾウさんの「モータースポーツから市販車をつくる」という、これまでと逆転の発想で生まれたクルマです。発売以来、S耐はじめ様々な競技で使っていただき、多くの課題や学びが見つかりました。勝田選手、木村選手、眞貝選手、安藤選手にも手加減なく徹底的に鍛えていただきました。モリゾウさんからは「失敗してもいい、壊してもいい」と言って頂いています。だからこそ、このチームはチャレンジし続けることができます。そして、チャレンジした結果が、まずGRヤリスを使っていただいているプライベーターの皆さんに提供され、そこで鍛えられた技術や知見が将来の市販車にもつながっていきます。今回、チャンピオンを獲得することができましたが、まだやるべきことは山ほどあります。開発に終わりはありませんし、すでに次の改善点をどうすべきかを考えています。
■西岡直哉(ネッツトヨタ愛媛株式会社 GR Garage松山 GRコンサルタント)
全日本ラリーのチームに参加させて頂いて、とても楽しく貴重な経験をさせて頂きました。本当にありがとうございました。チームのメカニックの方と共に作業をする中で、毎回サービスの時間のすぐ後に気づきや改善点など、全員で意見を出し合う時間がとても印象に残っています。情報共有やコミュニケーションにより全員でもっと良くしようという空気が作られ、素早く実行に移せるなと思いました。自分の職場にも持ち帰り今後の業務に活かしていきたいと思いました。またお客様へも自分が感じたラリー競技の楽しさや魅力を伝えていきたいと思います。
久万高原ラリー JN1クラス最終結果
1 勝田 範彦/木村 裕介(GR YARIS GR4 Rally)
1:26:05.8
2 福永 修/齊田 美早子(シュコダ・ファビアR5)
+31.6
3 鎌田 卓麻/松本 優一(スバルWRX STI)
+1:33.3
4 奴田原 文雄/東 駿吾(トヨタGRヤリス)
+1:48.5
5 新井 大輝/小坂 典嵩(スバルWRX STI)
+1:54.3
6 新井 敏弘/田中 直哉(スバルWRX STI)
+2:20.0
7 柳澤 宏至/保井 隆宏(シュコダ・ファビアR5)
+2:49.8
8 小濱 勇希/加勢 直毅(トヨタGRヤリス)
+6:42.1
9 山本 悠太/立久井 和子(トヨタGRヤリス)
+7:33.9
10 徳尾 慶太郎/石田 一輝(トヨタGRヤリス)
+7:42.5
11 小泉 敏志/清水 昭一(トヨタGRヤリス)
+13:31.3
R 眞貝 知志/安藤 裕一(GR YARIS GR4 Rally)
参戦13台、完走11台
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGR YARIS GR4 Rallyを投入し、将来的に投入する車両の開発に活かしていきます。
TOYOTA GAZOO Racingの全日本ラリー選手権(JRC)における活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。