4月1日(金)〜3日(日)にかけて、佐賀県・唐津市を拠点に2022年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第2戦「ツール・ド・九州2022 in 唐津」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)の勝田範彦/木村裕介組が3位表彰台を獲得。眞貝知志/安藤裕一組は5位に入りました。
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦するTGR。GRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を2021年から投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスに挑戦しています。
開幕戦の新城ラリーから約1週間というインターバルを経て開催されたツール・ド・九州2022 in 唐津は、タイヤに厳しい区間やアップダウンのあるコースが特徴の舗装路ラリーです。チームは短い準備期間を使い、変化に富んだコーナーの多い今大会に合わせたセッティングを施しました。また、今回のラリーでは「GR Garage熊本中央」のディーラーメカニック1名がチームに加わり、メンバーとともに車両整備を行いました。ラリーの現場で得た気づきやモータースポーツの楽しさなどを、今後の業務やお客様対応に活用してもらうための取り組みを、TGRは今後も推進してまいります。
競技初日、勝田選手はタイヤマネージメントに苦しむ局面がありながらも、安定して上位タイムを記録。首位から33秒差の3番手で初日を終えました。勝田選手は最終日にリヤデファレンシャルを交換するなど様々なトライをしつつ6SSを走り切り、2戦連続で3位表彰台を獲得しています。また、初日6番手につけていた眞貝選手は、最終日に順位を上げることに成功し、5位でラリーをフィニッシュしました。
■勝田範彦(ドライバー)
今大会のコースは直線区間がほとんどないので、タイヤをオーバーヒートさせないようなマネージメントが勝負のカギになると考えていましたが、SS1で想定以上に負荷をかけてしまい、初日は少し我慢の走りとなってしまいました。最終日の午後、今後のセットアップも視野に入れて、リヤデファレンシャルを交換したのですが、新たなデフの仕様を実際のラリーで試せたことは、大きな収穫になりました。次戦の久万高原ラリーに向けて、良いデータが取れたと思います。30分という制限時間内に作業を完了してくれたメカニックの皆さんにも感謝しています。
■眞貝知志(ドライバー)
GR YARIS GR4 Rallyが想定どおりの動きをしてくれたので、無理せず気持ち良く走ることができました。シーズンオフの間にもチームのメンバーと共に続けてきたクルマの改善が、形になって現れてきていると感じています。次戦もトップ6圏内でしっかり競えるよう頑張りたいですね。今回はGR Garageのメカニックに加わっていただきましたが、チームのメンバーとしっかり声を掛け合いながらの確実な作業を頼もしく感じました。厳しい時間制限や競争相手がいる点など、普段の仕事とは違うと思いますが、ラリーで得た色々な発見が、ユーザーのクルマをメンテナンスする際などにも活かされるのではないかと思います。
■飯田直樹(勝田号メカニックリーダー)
昨年までは、GRヤリスの市販車開発に携わりながら、何度か全日本ラリーのサービスにも参加してきました。今シーズンからは勝田選手のラリー車のメカニックをまとめる立場として全戦に参加する予定です。今回、ラリー中にリヤデファレンシャルの交換作業がありましたが、時間の限られたなか、各メンバーがやるべきことをこなして、時間内に行うことができました。予定にない作業となりましたが、普段の整備でしっかりとコミュニケーションを取ってきたことで、不安なく行えたと思います。ラリー活動の目的のひとつは人材育成にあります。今回のように予定外の作業を行うことも、新たな成長につながると実感しました。
■坂本祐樹(エンジニア)
前戦に続き、ヘイキ・コバライネン選手が非常に速く、あらためてラリー中に多くの課題や学びが見つかりました。本来トップ争いができる存在の勝田選手に、まだ気持ち良く走ってもらうことができていないので、今後のラリーに向けてしっかりと課題を改善していきたいと考えています。一方、眞貝選手には自信を持って走ってもらうことができていたので、良い部分をさらに伸ばしたいと思います。次戦の久万高原は距離も長く路面も厳しいうえ、気温も上がる時期の開催です。特に冷却系など、各パーツが100%の性能を発揮できるよう、対策を施して挑みます。
■西川卓見(GR Garage熊本中央 GRコンサルタント)
今回、メカニックの一員として参加することになり、初めはとても不安で自分が入ることで迷惑をかけるのではないかと心配するばかりでした。しかし、チーフである丸田さん含めメカニックの方々にはコミュニケーションを積極的に取っていただき、不安な中でもしっかりと本番に向かうことができました。作業は点検やタイヤ交換など基本的な項目ですが、サービスの時間が決まっているので効率的に行う必要があり余計にチーム内の声掛けなどのコミュニケーションが大事であると痛感しました。2台体制なので担当車両以外のフォローが必要な場面もあり、お互いがフォローし合う姿がカッコよく、まさにワンチームなのだと感じました。今回学んだ事、体験した事をお客様や会社内にも展開し、トヨタの「もっといい車づくり」の現場をお伝えしていけるようにしていきたいです。
ツール・ド・九州2022 in 唐津 JN1クラス最終結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川 紗衣(シュコダ・ファビアR5)
52:53.2
2 奴田原 文雄/山本 磨美(トヨタGRヤリス)
+44.9
3 勝田 範彦/木村 裕介(GR YARIS GR4 Rally)
+1:03.7
4 鎌田 卓麻/松本 優一(スバルWRX STI)
+1:27.4
5 眞貝 知志/安藤 裕一(GR YARIS GR4 Rally)
+1:30.6
6 新井 敏弘/田中 直哉(スバルWRX STI)
+1:31.7
7 三枝 聖弥/石田 裕一(スバルWRX STI)
+2:57.1
8 小泉 敏志/清水 昭一(トヨタGRヤリス)
+3:34.2
9 徳尾 慶太郎/枝光 展義(トヨタGRヤリス)
+3:51.6
10 村田 康介/梅本 まどか(トヨタGRヤリス)
+4:11.1
11 牟田 周平/加勢 直毅(トヨタGRヤリス)
+4:46.6
12 今井 聡/竹原 静香(三菱ランサーエボリューション)
+5:34.4
13 石川 昌平/竹藪 英樹(トヨタGRヤリス)
+6:21.2
14 金岡 義樹/山田 政樹(スバルWRX STI)
+10:06.1
参戦15台、完走14台
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGR YARIS GR4 Rallyで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。
TOYOTA GAZOO Racingの全日本ラリー選手権(JRC)における活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。