6月10日(金)〜12日(日)にかけて、群馬県富岡市を拠点に2022年全日本ラリー選手権(JRC)第5戦「MONTRE 2022」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)の眞貝知志/安藤裕一組が2位表彰台を獲得しました。勝田範彦/木村裕介組は初日にクラッシュを喫し、リタイアに終わっています。
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦するTGR。GRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を2021年から投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスに挑戦しています。
多くのラリードライバーを輩出してきた群馬県を舞台に開催されるモントレーは、新たにサービスパークを富岡市の群馬サファリパークに設定。企業の出展ブースが並ぶ「ラリーパーク」を設けるなど、2019年大会以来となる有観客での開催を実現しました。今年はFIA格式の国際ラリーシリーズであるアジア・パシフィック・ラリー選手権(APRC)とも併催される一戦です。20km前後と距離の長いスペシャルステージ(SS、競技区間)も設定され、1000mを超える標高や荒れた路面もある非常に厳しいラリーと言えます。また、梅雨の時期に入ったことで、急な降雨や霧への対応力も求められます。
ラリー初日、SS2を終えた段階で首位に立った勝田選手は、続くSS3のゴール手前約1km地点でコースを外れ、立木に接触。GR YARIS GR4 Rallyのダメージは大きく、その時点で走行を諦めなければなりませんでした。一方の眞貝選手は徐々にペースをアップし、2番手に順位を上げて初日を終えています。
最終日、眞貝選手はSS7で自身初のSSトップタイムをマーク。一時はライバルに0.4秒差まで迫られる局面があったものの、残りのSSをしっかりとまとめ、JN-1クラスで自身初の2位表彰台を獲得しました。また、勝田選手の車両は長時間の修復作業を受けて、最終日に再出走。勝田選手は残るSSをすべて走り切り、今後に向けたデータを収集しました。
今大会は「GR Garage高崎IC」より、メカニック1名がチームに加わり、メンバーとともにGR YARIS GR4 Rallyの整備を行いました。
■勝田範彦(ドライバー)
ラリー初日のSS3で、クルマを立木にヒットさせてしまいました。走行できなくなりレグ離脱を余儀なくされましたが、チームの皆さんが長時間にわたる修復作業を頑張ってくれたおかげで、再出走が可能になりました。修理してくれたチームの皆さんには心から感謝していますし、その想いに応えたいと強く感じました。最終日は全開でアタックすることで、貴重なデータを持ち帰ることができました。また今回チームメイトの眞貝選手が自己最高位の2位を獲得したことも嬉しいニュースでした。眞貝選手、安藤選手おめでとう!
■眞貝知志(ドライバー)
難しい展開のラリーでしたが、終わってみれば、自己最上位の2位を獲得することができました。初日の荒れた路面に対し、慎重にアプローチしたことがこの結果につながったのだと思います。パートナー企業の皆さんと緊密な情報共有を続け、チームとともに仮説検証を繰り返すことで車両開発を行ってきました。その成果を、結果として持ち帰れたことをとてもうれしく思います。ラリーを走るたび、GR YARIS GR4 Rallyが着実に進化していることを実感します。
■濱田賢三(眞貝号メカニック)
昨年から眞貝選手の車両を主に担当していますので、今回の結果はとてもうれしいですね。もともとはエンジン関係の部署にいたため、エンジンまわりについては両車とも担当しています。今回のラリーでは熱の問題について改善提案し、そのデータを実戦で得ることができました。今回はサービススケジュールの変更や、勝田選手の車両修復作業など、普段のラリーとは異なる部分も多かったのですが、チームの先輩から学んだ予測と準備の大切さを活かして取り組み、大きな問題なく業務を達成することができました。
■石川達(エンジニア)
普段はシャシー設計部でブレーキの設計を担当し、GRMNヤリスの開発にも携わっています。今回、ラリーチームに初めて参加しましたが、楽しくかつ真剣に競技と向き合っているメンバーの姿が非常に印象的でした。また、我々が開発したクルマが走る姿を見るのはとてもうれしいですし、多くのお客様に受け入れられていることに感謝しています。ラリーではサーキットよりブレーキに厳しい局面があることも分かってきました。GRヤリスはもちろん、将来の量産車にも、こうした経験をフィードバックしたいと思います。
■川津英人(GR Garage高崎IC)
今までラリーを直接見たことはありませんでしたが、自分の糧になればと思い参加しました。勝田選手、眞貝選手の車両のリヤまわりを担当しましたが、限られた時間で何をするか、ペース配分や作業工程の組み立て方は、店舗の作業にも参考になる部分が多かったです。勝田選手の車両の修復作業では、チームの皆さんはすべてにおいて行動が早く、責任を持って各パートの作業を行なっていて、車両が走れるようになった時には、ホッとしました。また、周囲の音が大きい場合でも、声かけなどを徹底して確実・安全な作業に重点を置いていたことが印象的でした。クルマをきちんと整備して、お客様を安全に送り出す点においては、店舗でもラリーでも同じことなのだと感じました。
MONTRE 2022 JN1クラス最終結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川 紗衣(シュコダ・ファビアR5)
1:39:38.6
2 眞貝 知志/安藤 裕一(GR YARIS GR4 Rally)
+2:36.8
3 柳澤 宏至/加勢 直毅(トヨタGRヤリス)
+2:57.5
4 福永 修/齊田 美早子(シュコダ・ファビアR5)
+4:35.0
5 徳尾 慶太郎/石田 一輝(トヨタGRヤリス)
+6:14.8
6 鎌田 卓麻/松本 優一(スバルWRX STI)
+6:36.9
7 小泉 敏志/清水 昭一(トヨタGRヤリス)
+7:02.0
8 青山 康/竹下 紀子(スバルWRX STI)
+8:02.8
9 村田 康介/梅本 まどか(トヨタGRヤリス)
+8:43.4
10 金岡 義樹/朴木 博則(スバルWRX STI)
+13:04.4
11 伊藤 俊哉/立久井 大輝(トヨタGRヤリス)
+22:15.4
R 勝田 範彦/木村 裕介(GR YARIS GR4 Rally)
参戦19台、完走11台
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGR YARIS GR4 Rallyで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。
TOYOTA GAZOO Racingの全日本ラリー選手権(JRC)における活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。