4月26日(金)〜28日(日)にかけて、愛媛県上浮穴郡久万高原町を拠点に2024年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「久万高原ラリー」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR-WRJ)の眞貝知志/安藤裕一組(GR YARIS GR4 RALLY DAT)は5位で完走を果たしました。
「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦するTGR。2024年シーズンは、2023年の知見をフィードバックし、進化を果たしたGR YARIS GR4 RALLY DATで、トップカテゴリーのJN-1クラスにエントリーしています。
選手権のなかで唯一の四国開催となる久万高原ラリーは、開けたハイスピードセクションを持つ「大川嶺」と、テクニカルな「大谷」という、性格の異なるスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)を走行。なかでも尾根に沿って走る「大川嶺」は、場所によって標高1400mを超える高さを誇り、エンジンのパワーダウンなどクルマにも厳しい環境で争われます。
2週間という短い間隔で第2戦唐津、第3戦久万高原、第4戦丹後というターマック(舗装)ラリー3戦が開催されることから、チームは唐津からGR YARIS GR4 RALLY DATの仕様を大きく変えることなく、入念なメンテナンスを行い、今回のラリーに持ち込みました。
ウェットコンディションとなったラリー初日、滑りやすい路面や視界を奪う霧に、多くのクルーが苦しめられるなか、眞貝選手は慎重なペースで走行。午前中のセクションは6番手につけると、路面が乾き始めた午後のSS4でひとつ順位を上げ、5番手としました。前日から一転、晴れとなったラリー最終日、眞貝選手はドライとウェットが混在する難しい路面を安定したスピードで走行し、5位でフィニッシュ。前戦に続く上位入賞を果たし、3連戦の締めくくりとなるラリー丹後に向け、良い流れをつかみました。
■豊岡悟志(TGR-WRJチーム監督)
今回5位で完走を果たしました。クルマも着実に進化していますし、眞貝選手と安藤選手も乗れているなと感じています。ターマック3連戦をリズム良く戦っていこうという計画でしたので、次のラリー丹後でも良いフィードバックをもらい、結果を残せればと期待しています。チームについては、もっとコミュニケーションをとり、思っていることを共有しようという意識でやってもらいました。まだ課題はあると思いますが、会社としての本来の仕事をやりながら、忙しいなか各自が一生懸命取り組んでくれています。今回は久しぶりに久万高原町役場でセレモニアルスタートを行い、サービスや観戦エリアにも多くの方が観に来ていました。お子さんもたくさんいて、私たちとしてもやり甲斐のあったラリーだったと思います。
■眞貝知志(ドライバー)
今回のラリーは初日が雨となりました。初めて今シーズン仕様のウェットタイヤを装着したので、序盤は少し様子を見ながら走行しつつ、午後には気持ち良く走ることができました。最終日は路面に湿った箇所が残る区間も多かったのですが、初日最後のサービスで足まわりのセットアップを変更したことで、GR YARIS GR4 RALLY DATは非常に乗りやすく、安心してSSを攻めることができました。乾いた路面での手応えも良く、次戦のラリー丹後に向けてとても良い感触を得られたと考えています。ただ、上位の選手たちに対しては、まだ足りていない部分もあるので、さらにドライビングの精度を高めていきたいです。
■井上純一(眞貝号エンジニア)
普段はレクサス性能開発部でパワートレインの制御、主にGR-DATの開発を行なっています。これまでTGRラリーチャレンジやスーパー耐久、全日本ラリーの現場に帯同していますが、初期の頃に比べると、高い次元での性能追求ができるようになりました。今回のように標高が高くて上り下りが多いラリーでは、エンジンに対する負荷も大きく、冷却性能的にも大きなチャレンジです。眞貝選手と安藤選手が長くタフなSSを走り切ってくれたことで、貴重なデータを収集できました。GR-DATは多くの方に乗りやすいというメリットがあるので、今後も競技を通じてレベルアップを続け、しっかり速さを示していきたいと考えています。
■今泉弘行(眞貝号メカニック)
昨年の第8戦からチームに加わり、現在は眞貝選手のクルマの右フロントを担当しています。今回は大きなトラブルもなく、選手が安心して運転できるメンテナンスを心がけました。以前はエンジン関連の部署にいたのですが、せっかく自動車会社にいるので、クルマ全体を理解したくて希望を出しました。モータースポーツにかかわること自体が初めてだったので、選手たちがデータを持ち帰り、エンジニアが状況を把握して、クルマに反映させていくスピード感に驚きました。加えて、時間の重要性を強く意識するようになりました。毎回の作業はもちろん、連戦では事前準備も重要です。1分1秒を大切にして取り組んでいます。
■佐々木健太(GR Garage TSタカタ)
GR Garage TSタカタで店長を務めています。眞貝選手のクルマの右リヤを担当しましたが、ラリーは現地で観るのも参加するのも、まったく初めてで、限られた時間の中での整備は本当に緊張感がありました。そのなかで、選手からの声を聞きしっかりと段取りを決めてから動く点や、手が足りない時は他の人がフォローするチームワークなど、店舗での仕事にも活かせる部分を見つけることができました。全日本ラリー参戦のフィードバックがされるGR-DATが、競技の場で十分に通用する性能を持っていることを間近で見ることができました。お客様にも自信を持ってお勧めできると思います。
全日本ラリー選手権第3戦 久万高原ラリー
JN-1クラス最終結果
1 勝田範彦/木村裕介(GR YARIS RALLY2)
1:25:28.0
2 田口勝彦/北川紗衣(GR YARIS RALLY2)
+1:57.7
3 福永 修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)
+2:38.8
4 新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)
+2:39.4
5 眞貝知志/安藤裕一(GR YARIS GR4 RALLY DAT)
+4:20.5
6 石黒一暢/穴井謙志郎(トヨタGRヤリス)
+6:12.8
7 金岡義樹/マクリン大地(シュコダ・ファビアR5)
+15:07.2
参戦11台、出走11台、完走7台
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGRヤリスで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。
TOYOTA GAZOO Racingの全日本ラリー選手権(JRC)における活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。