10月3日(金)〜5日(日)にかけて、愛媛県上浮穴郡久万高原町を拠点に2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第7戦「久万高原ラリー」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR-WRJ)から参戦した大竹直生選手/橋本美咲選手(GR YARIS GR4 Rally)が、MORIZO Challenge Cup(MCC)において3位表彰台を獲得しました。平川真子選手/冨本諒選手(GR YARIS GR4 Rally DAT)はMCC5位で完走を果たしました。

「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦してきたTGR-WRJは、眞貝知志監督のもと、フィンランドのTGR-WRTとの連携をいっそう深め、「世界を見据えた」活動を行っています。2025年シーズンはJN-2クラス内の「MORIZO Challenge Cup」に、大竹選手がMT仕様のGR YARIS GR4 Rally、平川選手が高性能スポーツ8速AT(GR-DAT)搭載車のGR YARIS GR4 Rally DATでエントリーします。
北海道を舞台とするグラベル(未舗装路)ラリー2戦に続き、迎えた第7戦久万高原は、第4戦モントレー以来となるターマック(舗装路)ラリーであり、シリーズ唯一の四国開催。また、2021年以来、4年ぶりに春から秋へと実施時期を移すことになりました。ハイスピード区間とテクニカル区間が組み合わせられた久万高原のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)は、初日と同じコースを、2日目は逆方向に走ります。
チームは第4戦までに得たターマックラリーでの知見を盛り込み、舗装でのテストを実施してラリーに臨みました。大竹選手は第6戦ラリー北海道の時点で、MCCのタイトルを確定。平川選手は今回からドライバーとしての経験を持つ冨本諒選手をコ・ドライバーに迎え、ラリーを戦います。眞貝知志監督は「平川選手はこれまで竹原静香選手とコンビを組んできましたが、このタイミングで違うコ・ドライバーと組むことで、さらなる成長に結びつくと考えています。冨本選手はメカニックやドライバーとしての経験も長いので、平川選手と組むことで、その強みを活かした新たな展開につながるはずです。また、これまでともに戦った竹原選手の貢献にも感謝しています。競技経験を活かして、平川選手とふたりで良い成績を出してくれましたし、TGR-WRJのメンバーとしてだけではなく、陸別のMCCトレーニングでは、TGR-WRTの講師陣とMCCエントラントとのコミュニケーションの架け橋となって、MCC全体のレベルアップにも貢献していただきました」とコメント。ラリーについては、「久万高原のSSは基本的にグリップが効き、走りやすい路面です。ただ天候の変化もありますし、苔や泥も点在するので、いかにグリップの良いラインを走行できるかが重要です」と、攻略の鍵を語りました。
事前の予報どおり、雨となった競技初日。滑りやすいコンディションとなったSS1で、大竹選手は右2輪が側溝に落ち、右フロントタイヤをバーストさせてしまい、このSSだけで約40秒のタイムロスを強いられました。MCC9番手から順位アップを狙う大竹選手は午後のセクションでペースを取り戻し、4番手まで順位を回復しています。一方の平川選手はSS2以降ハンドリングの不調に見舞われながらも慎重な走行を続け、6番手で初日を走り切りました。
夜半に降雨があったものの、スタートの段階では雨が上がった最終日。大竹選手は安定したペースを刻み、前日からひとつ順位を上げてMCC3位でラリーを走り切りました。平川選手は最終SSでSS2番手タイムをマークするなどスピードを見せ、冨本選手と初めてコンビを組んだラリーを5位で終えています。
■眞貝知志(TGR-WRJチーム監督)
2日間、たいへん難しいコンディションとなりましたが、大竹選手/橋本選手、平川選手/冨本選手とも、厳しい状況のなか、最後まで走り切ってくれたことに感謝しています。大竹選手に関しては、我々が持ち込んだセットアップも含めて、道の上を気持ちよく思いどおりに走れるクルマに仕上げられず申し訳なく思います。しっかり原因を究明し、次戦のハイランドマスターズは万全な状態のクルマで挑みます。平川選手は冨本選手とのコンビネーションを熟成しながらのラリーになりました。最終SSではMCC2番手タイムを刻み、最終戦のハイランドに向けて、いいかたちで終わることができました。
■大竹直生(ドライバー)
不完全燃焼の悔しいラリーになってしまいました。SS1では僕のミスでコースアウトし、クルマを傷めてしまいました。その後、サービスでメカニックの皆さんに修理していただいたのですが、そこから路面に合うセットアップをなかなか見つけることができませんでした。色々と試してみましたが、これという決め手が見つからないままラリーが終わってしまった印象です。何が悪かったのか、原因をしっかり突き止めて次戦で優勝できるように頑張ります。
■橋本美咲(コ・ドライバー)
すごく悔しい一戦だったなという気持ちです。クルマのセットアップに関しては、チームやメカニックの皆さんにも色々と相談に乗っていただきながら、自分たちでやれることを模索し、できることは全部やり切ったと思います。ですが、そこに結果が伴わなかったということで、モヤモヤする部分が残るラリーとなりました。今回は悔しい気持ちで終えてしまったので、最終戦のハイランドマスターズはまたふたりで勝って、有終の美を飾れるように頑張りたいと思います。
■平川真子(ドライバー)
まず無事に2日間を走り切れてホッとしています。1日目は霧が出たり、泥が出たりする様々な路面で大変だったのですが、2日目はその点も考慮してペースノートを調整し、ひとつひとつのコーナーを大切に走り切りました。次戦に向けたセットアップの方向性についてもチームと話ができているので、とても学びのあるラリーになったと思います。初めてコンビを組んだ冨本選手は、多くの準備を重ねてくださり、ペースノートを読む以外にも、クルマやタイヤの内圧のことなど色々と教えていただき、とても心強かったです。
■冨本諒(コ・ドライバー)
久万高原ラリーには初めて参加したのですが、霧が出たり雨が降ったり、コースには苔や泥が多く、様々な状況を経験できる難しいラリーだと感じました。同時に、平川選手のドライビングのうまさや、ペースノートシステムのレベルの高さが印象的でした。私自身としては5回目のコ・ドライバーですが、マシンのスピードも速く、不安な点も多かったです。準備は万全にしてきたつもりですが、本番ではまだまだ足りないことが多いと痛感したので、もっとドライバーをサポートできるように取り組みたいと思います。
■中村豪佑(平川号メカニック)
以前は車両試験課という部署で、車両の総合評価に携わっていました。今年の8月から全日本ラリー選手権の現場で学ばせていただいており、2026年1月からはフィンランドのTGR-WRTに出向することが決まっています。今回の久万高原ラリーはターマックラリーにもかかわらず、グラベルラリー走行後のようなクルマが帰ってくるなど、多くの“想定外”に直面しました。「道が人を鍛える」という言葉を実感する毎日で、現場での臨機応変さが重要だと感じています。常に基本を大切にしつつ、セオリー外のこともカバーできる引き出しを増やし、ドライバーが安心して走れるように安全で確実な整備を第一に心がけたいです。

豊富な経験を持つ冨本選手のサポートのもとラリーを戦った

泥で黒く汚れた車体が道の厳しさを語る
全日本ラリー選手権第7戦 久万高原ラリー
MORIZO Challenge Cup最終結果
1 ジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン(GRヤリス)
1:38:29.1
2 岩堀巧/相原貴浩(GRヤリス)
+1:03.9
3 大竹直生/橋本美咲(GRヤリス)
+1:17.7
4 兼松由奈/山下秀(GRヤリスDAT)
+2:07.7
5 平川真子/冨本諒(GRヤリスDAT)
+3:00.4
6 最上佳樹/小藤桂一(GRヤリス)
+9:00.0
7 及川沙利亜/安藤裕一(GRヤリスDAT)
+14:55.5
8 服部紡久/佐々木裕一(GRヤリス)
+15:34.5
9 伊藤はづき/槻島もも(GRヤリスDAT)
+20:52.1
10 関あゆみ/市橋真由子(GRヤリスDAT)
+28:58.6
R 田部井翔大/梅本まどか(GRヤリス)
R 米林慶晃/木村悟士(GRヤリス)
R 木内秀柾/藤田めぐみ(GRヤリス)
TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGRヤリスで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。
TOYOTA GAZOO Racingの全日本ラリー選手権(JRC)における活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。
