全日本ラリー選手権第8戦
第52回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2025 supported by カヤバ
路面の難しさに悩まされた最終戦
大竹が3位表彰台、平川が5位で完走

2025.10.20(月曜日)- 17:00配信

10月17日(金)〜19日(日)にかけて、岐阜県高山市を拠点に2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第8戦「第52回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2025 supported by カヤバ」が開催され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR-WRJ)から参戦した大竹直生選手/橋本美咲選手(GR YARIS GR4 Rally)が、MORIZO Challenge Cup(MCC)において3位表彰台を獲得しました。平川真子選手/冨本諒選手(GR YARIS GR4 Rally DAT)はMCC5位で完走を果たしました。

濡れた落ち葉や泥が行く手を阻む難しい路面で大竹選手/橋本選手は3位表彰台を得た
濡れた落ち葉や泥が行く手を阻む難しい路面で大竹選手/橋本選手は3位表彰台を得た

「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦してきたTGR-WRJは、眞貝知志監督のもと、フィンランドのTGR-WRTとの連携をいっそう深め、「世界を見据えた」活動を行っています。2025年シーズンはJN-2クラス内の「MORIZO Challenge Cup」に、大竹選手がMT仕様のGR YARIS GR4 Rally、平川選手が高性能スポーツ8速AT(GR-DAT)搭載車のGR YARIS GR4 Rally DATでエントリーします。

前戦久万高原から約2週間という短いインターバルを使い、チームは久万高原で得たデータをもとに、舗装路でのテストを実施しました。大竹選手は「久万高原はウェット路面での挙動に苦しむことになりました。クリーンな路面で行ったテストでは、良い手応えを感じることができたので、実際のラリーで確認したいと考えています」と、コメント。平川選手にとっては、新たにコンビを組んだ冨本選手と2戦目のラリーで、さらに経験を積み重ねることを目標としています。

一部にウェット路面が残った初日。大竹選手はSS1で幸先良くトップタイムをマークしますが、続くSS2のスタートから1km地点で、落ち葉に乗ってハーフスピン。右リヤをヒットしたことでパンクを喫し、1分以上を失いました。6番手まで順位を落とした大竹選手でしたが、SS4ではトップタイムを記録し、3番手までポジションを戻しています。平川選手はドライからウェットへとコンディションが変化するなか安定したペースを刻み、5番手で初日をまとめました。

前日までの雨が残った最終日は、濡れた落ち葉や泥により、非常に滑りやすいコンディションとなりました。この厳しい路面に対して、安全な走行を心がけた大竹選手は、SS9で2番手に浮上。最終的に3位で厳しいラリーを走り切りました。平川選手はSS7で4番手に順位を上げますが、リタイアの危険のある路面を警戒。フィニッシュを優先し、5位で完走を果たしました。

■眞貝知志(TGR-WRJチーム監督)
大竹選手/橋本選手組が3位、平川選手/冨本選手組が5位と、両クルーが無事にラリーカーを完走させてくれたことに感謝します。大竹選手には、我々の持ち込んだセットアップが彼のフィーリングにうまく応えられず、申し訳ないことをしました。平川選手は2日目にいいセットアップが見つかり、目覚ましいスピードアップを果たしてシーズンを締めくくれたと思います。今年はTGR-WRJとして『TGR-WRTというプロから謙虚に学ぶ』新体制でスタートしました。まだ完璧とはほど遠いですが、ラリーの前後、そしてラリー中の基本的なプロセスや考え方は落とし込めたと考えています。この活動はモータースポーツのプロになることが唯一の目的ではなく、ここで経験を積んだ社員が量産車開発の部署に戻り、プロに学んだことを活かして『もっといいクルマづくり』につなげるためです。その第一歩となったシーズンだったと思います。

■大竹直生(ドライバー)
前戦からの課題だった低ミュー路のグリップ感に、今回も悩まされました。ドライではフィーリングが良かったのですが、ウェット路面ではフロントのグリップを感じるのが難しく、正直厳しい展開でした。ただ、日曜のサービスでセットアップを変更し、午後は少し良くなった部分もあったので、終わり方としては今後の方向性が見えたと感じています。シーズンを通しては、開幕から連勝でチャンピオンを決めることができ、本当にチームの皆さん、ノートを読んでくれる橋本選手、そして若手が切磋琢磨できるカテゴリーを用意してくださったモリゾウさんに、心から感謝しています。

■橋本美咲(コ・ドライバー)
前戦が残念な結果だったので、今回こそはと準備して臨みましたが、万全の状態で結果を出せず悔しく思っています。最後のループでは少し改善の兆しが見え、ポジティブな方向で終えられたものの、最後まで『気持ち良く走れた』という瞬間がなく、不完全燃焼な部分が心残りです。今季は久しぶりの全日本ラリー選手権参戦で、最初はうまくいかないこともありましたが、1年間同じコンビで戦う中で、徐々に息が合っていくのを実感できました。チームの皆さんにも本当に良くしていただき、とても恵まれた環境でラリーをさせてもらっていると、ありがたく感じる1年でした。

■平川真子(ドライバー)
今回のラリーは生き残るのが精一杯の厳しいコンディションでしたが、セッティングに関してもチームと話し合い、良い方向性を見つけられた学びの多いラリーでした。今シーズンは、初めての4駆ターボでのラリーを本当に楽しく走ることができました。その中でもペースノートに力を入れて取り組み、1年間を通して成長できたと感じています。毎戦課題が見つかり、ラリーが終了後も自分のクルマでレッキのトレーニングを行うなど、本番以外も含めて、自分の糧となる1年でした。チームとともに、もっと良いクルマづくりに関われたことはとても楽しく、貴重な経験になったと思います。

■冨本諒(コ・ドライバー)
ドライバーとして参戦した経験のあるコースでしたが、泥と水で本当に厳しいコンディションでした。その中で走り切れたのは、平川選手のペースノートの良さが発揮されたからだと思います。前戦から時間がない中での参戦でしたが、チームの皆さんに温かく支えていただき、集中して臨むことができました。前戦でできなかった課題にも対策して臨めたので、とても良かったと感じています。また、ワンメイクで争うモリゾウチャレンジカップは盛り上がっていて、ドライバー時代も楽しかったですが、コ・ドライバーとして平川選手と切磋琢磨できたこの2戦は、自分にとって貴重な経験となりました。

■澤藤行博(平川号メカニック)
平川選手の車両のフロントセクションを担当しています。昨年10月から、自分の技能を磨きたいという思いで凄腕技能養成部に加わりました。ラリーの経験は初めてで、厳しい環境を走るクルマのメンテナンスは自分の経験が通用しないことばかりでしたが、とても内容が濃く、技能を高められた1年でした。平川選手は毎戦実力を培っており、チームとしてもレベルアップしている実感があります。最終戦はセッティングで苦戦しましたが、後半は徐々に良くなり、しっかり整備をしてクルマを送り出せました。今回のラリーの中でも様々な作業をメンバー一丸となってこなし、非常に内容の濃い一戦になったと思います。

高山市内を走る移動区間(リエゾン)での応援に手を振って応える平川選手/冨本選手
高山市内を走る移動区間(リエゾン)での応援に
手を振って応える平川選手/冨本選手
TGR-WRTから学びを得てチーム全体としても成長した1年となった
TGR-WRTから学びを得て
チーム全体としても成長した1年となった

全日本ラリー選手権第8戦
第52回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2025 supported by カヤバ

MORIZO Challenge Cup最終結果

  1. 1 最上佳樹/小藤桂一(GRヤリス)

    1:11:11.4

  2. 2 兼松由奈/山下秀(GRヤリスDAT)

    +1:04.4

  3. 3 大竹直生/橋本美咲(GRヤリス)

    +1:09.5

  4. 4 米林慶晃/木村悟士(GRヤリス)

    +1:38.4

  5. 5 平川真子/冨本諒(GRヤリスDAT)

    +1:49.9

  6. 6 田部井翔大/藤田めぐみ(GRヤリス)

    +2:56.8

  7. 7 及川沙利亜/安藤裕一(GRヤリスDAT)

    +6:19.6

  8. 8 伊藤はづき/槻島もも(GRヤリスDAT)

    +11:45.0

  9. 9 服部紡久/春日美知子(GRヤリス)

    +52:50.0

TOYOTA GAZOO Racingは、「もっといいクルマづくり」のために「人を鍛え、クルマを鍛える」活動の一環としてGRヤリスで全日本ラリー選手権に参戦し、将来の車両開発に活かします。