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若手ドライバーが腕を磨くフォーミュラ3
世界共通の車両でイコールコンディションを徹底
F3は各国で行われるステップアップカテゴリー
フォーミュラ3(F3)は、各国、各地域で行われているフォーミュラレースで、上位カテゴリーを目指す若手ドライバーの登竜門と呼ばれるレースだ。
ドライバーの技量がレース結果に表れるという"ドライバーズレース"と呼ばれるフォーミュラレースでは、入門者向けからミドル、トップシリーズまで段階的に分かれている。その中で、F3は若手が国際レースに出る前の腕を磨くカテゴリーとされている。その上にはF2やスーパーフォーミュラなどがあり、その上、ピラミッドの頂点となっているのが、世界最高峰であるフォーミュラ1世界選手権(F1)だ。
F3はFIA(国際自動車連盟)が定めるF3規定によって車両が製造されているため、各国で行われていても基本は同じ。また、タイヤも各シリーズでコントロールタイヤ制が導入されており、車両性能はイコールコンディションに近い。このためシリーズが違っても若手ドライバーの評価を比べやすく、上位カテゴリーの有力チームが次世代ドライバーを見いだすカテゴリーともなっている。
日本国内でのF3は、1979年にシリーズがスタート。1981年からは全日本選手権のタイトルが懸けられるようになり、現在まで続いている日本最長の歴史を持つレースシリーズでもある。
現在、日本以外にもイギリス、ドイツ、スペイン、ユーロシリーズ、オーストラリアなどの選手権が行われていて、これまで数多くのトップドライバーが輩出されてきている。また、シーズン終了後の11月に行われる、マカオグランプリのF3では各シリーズのランキング上位が集まり、さながらF3世界1決定戦の様相となっている。
TOYOTA GAZOO Racingでは、F3に参戦する有望な若手ドライバーをトヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)として支援している。現在WEC(世界耐久選手権)で活躍する中嶋一貴や小林可夢偉なども、TDPの支援を受けて各地のF3に参戦。その活躍が認められて現在の地位を確立している。
タイヤも共通、エンジンも同等で腕を磨く
FIAが規定するF3のレギュレーションは、ほぼ3年おきに見直されてきた。現行の規定は2012年から施行されており、それ以前のF3車両は、厳密に言うなら今シーズンのレギュレーション(F3車両規定)には合致していない部分がある。だから当然、そのままでF3レースに参戦することは不可能だが、その一方で、こうした旧型マシンなら参戦コストが抑えられるのも事実。そこで国内のF3レースを統括する日本F3協会では、旧型のシャシーに、旧型のエンジンを搭載した車両に、F3協会の指定パーツを多く使用することでさらにランニングコストが抑えられ、ステップアップを目指すドライバーにとって敷居を低くするよう配慮されたNクラスが設定されている。
エンジンは2000ccの自然吸気で、2013年からレース専用エンジンの使用が認められるようになった。それまでは市販車用をベースにしたエンジンしか認められていなかった。だが、レース専用でも最低重量や価格、さらにはクランク位置まで事細かにレギュレーションで規定されることで、コスト高にならず、イコールコンディションを保てることから変更されることになった。
シャシーも規定に基づき造られたものなら使用できるが、現状はイタリアのダラーラ社製のワンメイクの状態になっている。したがって、シャシー面ではさらにイコールの状態になっている。
2017年は9大会、全20戦でチャンピオンを争う
2017年の全日本F3選手権の大会数は9大会。各大会で2レースまたは3レースが実施され、シリーズとしては全20戦で競うことになる。これは若手により多くの"レース経験"を積ませようという意図から実施されるものだ。また全日本F3では金曜日に数回の走行セッションが設けられているなど、走行の機会も充分に確保されている。なお、最終戦は9月に行われる第9大会(スポーツランドSUGO戦)となっている。これはランキングの上位が、F3世界一決定戦に位置づけられているマカオグランプリに参戦するための準備活動を行えるようにという考えからだ。