4月26日(金)〜28日(日)にかけて、愛媛県上浮穴郡久万高原町を拠点に2024年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「久万高原ラリー」が開催され、今季から導入された若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup」において、FIT-EASY Racingの山田啓介/藤井俊樹組が優勝を飾りました。
MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に導入された全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリー。JN-2クラス車両規定をベースとしたトヨタGRヤリスで争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで29歳以下)のドライバーが対象となります。MCC独自のポイント制度のもと、シリーズ年間成績優秀者にはフィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいて、ラリー講習への参加権利が与えられます。
前戦唐津から2週間という短いインターバルで迎えた第3戦は、前戦同様に貝原聖也選手、稲葉摩人選手、星涼樹選手、山田啓介選手、最上佳樹選手、中溝悠太選手、KANTA選手、大竹直生選手の8名がエントリーしました。シリーズ随一の標高を誇る久万高原ラリーは、標高1400メートルという高地を走行するターマック(舗装)ラリー。2日間、高低差のある8つのスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)を舞台に、スピードを競います。
ラリー初日、久万高原町役場でセレモニアルスタートが実施されました。事前の予報に反して朝から雨が降り、路面コンディションはウェットに。滑りやすい路面となったSS1とSS2では、大竹選手が連続ベストタイムをマークしてラリーをリード。2番手にはこのラリーでクラス優勝経験を持つ山田選手、成長著しいKANTA選手が3番手につけます。
午後のセクションでは、天候が回復傾向に。SS3でMCC首位の大竹選手が側溝にタイヤを落としてしまい、脱出に時間がかかり大きく順位を落としました。さらにこのSSでは、KANTA選手がスタートから8km地点でクラッシュし、リタイアを余儀なくされています。これでトップに立った山田選手は「思ったような走りができなかった」と振り返りながらも、2番手の貝原選手に大差をつけて、初日を首位で折り返しました。3番手には最上選手、4番手には星選手がつけています。
前日のルートを逆走するラリー最終日は、天候が回復。首位の山田選手は、一部にウェットが残る難しいコンディションで、2番手以下との差を見ながらペースをコントロールするクレバーな走りを披露。見事にトップでフィニッシュし、開幕からの連勝記録を3に伸ばしました。この日、3番手でスタートした最上選手は、ギヤボックスにトラブルを抱えていた貝原選手を最終SSで逆転し、初めての2位表彰台を獲得。最終SSでペースを落とした貝原選手が3位で走り切っています。最多SSトップタイム賞は8SSのうち6SSを制した大竹選手が獲得しました。
■山田啓介(MCC1位/JN-2クラス4位)
2番手以下と差があったので、今後に向けたテストを兼ねながら、ペースを落としすぎないように走りました。泥、苔、霧という難しいコンディションのなか、今までの経験をしっかり活かして完走することができたと思います。また、結果がついてきたことも自信につながっています。3連勝することができましたが、まだ余裕を持つまでには至っていません。追われながら走ることの難しさを感じています。
■最上佳樹(MCC2位/JN-2クラス5位)
ラリーを始めて、初の表彰台です。今回は難しい道だと聞いていましたし、次戦の丹後が近いこともあり、チームと『まずは生き残ろう』と話をしていました。事前の予想通り、かなり荒れた展開になりました。生き残ることが重要なラリーになったと感じていますし、これがラリーであると、あらためて理解しました。チームとして1-2フィニッシュできたことで、チームのみんなが本当に喜んでくれたことも嬉しかったです。
■貝原聖也(MCC3位/JN-2クラス6位)
ギヤボックスにトラブルを抱えていて厳しい状態でしたが、SS7はごまかしながらも、大きなロスタイムなくなんとか走れました。最終SSはスタートしてから完全に2速が使えなくなって、最上選手に見事にまくられてしまいました。それでも、この状況でフィニッシュすることができ、やれることはすべてやり切ったという充実感はあります。あらためて、クルマとコ・ドライバー、そしてチームに感謝したいです。
■稲葉摩人(MCC4位/JN-2クラス7位)
邪念が入ってしまうと危ないので、順位は気にせず走りましたが、最終日に順位を上げることができました。表彰台まであと一歩だったので、少し悔しいです。今回、セッティングを変更したことで、自分の感覚とだいぶ噛み合ってきました。まだ緩いコーナーで自信を持って踏み込んでいくことができず、ペースノートに課題を感じています。少し悔いが残りましたが、まずはチームの皆さんに感謝したいです。
■星 涼樹(MCC5位/JN-2クラス8位)
今回のラリーを振り返ると、『もったいない』ということを一番に感じました。特に最終日のSS5でタイヤをパンクさせてしまい、これがなければ、さらに上位も狙えたはずでした。MCCの参加ドライバーと僅差の戦いをしているので、課題となっているペースノートの精度を上げていくことで、僕自身もよりよい走りをすることで上位を狙っていきたいです。
■中溝悠太(MCC6位/JN-2クラス9位)
初戦の三河湾をリタイアしてしまったため、丹後に向けて絶対に走り切ろうと、完走ペースでのラリーになりました。少しずつペースを上げていきましたが、ペースノートの精度の甘さもあり、高速コーナーでは踏み切れませんでした。そういった場所で差がついてしまい、『もっと行けたはずなのに』という結果で終わってしまいました。先輩ドライバーの皆さんからアドバイスも頂いていますし、次戦までに改善していきたいです。
■大竹直生(MCC7位/最多SSトップタイム賞/JN-2クラス10位)
本当に悔しいです。今回はクルマのフィーリングがとても良く、レッキから手応えを感じていました。ペースノートもコ・ドライバーの草加浩平選手と協力しながら、良いものができました。初日の午前中のループも良いペースで走れていましたが、予想していなかったミスで大きなタイムロスにつながったことを反省しています。スピードは良かったと思いますが、それだけではダメだと実感しています。
■KANTA(リタイア)
SS3のスタートから8km地点で苔に乗り、そのままクラッシュしてしまいました。午前中に続き2回目の走行ということもあり、ペースノートに修正を加えつつ、リタイア地点までは良い感覚で走れていました。ただ、動画で確認すると、1回目の走行の時点で危ない場面もあったので、様々な可能性も想定して走る必要があったと反省しています。次に向けて同じことを繰り返さないように、走りも見直したいです。
全日本ラリー選手権第3戦 久万高原ラリー
MORIZO Challenge Cup最終結果
1 山田 啓介/藤井 俊樹(FITEASYソミック石川GRYARIS)
1:34:33.0
2 最上 佳樹/前川 富哉(FIT-EASY ZEAL GRYARIS)
+1:49.4
3 貝原 聖也/西﨑 佳代子(ADVICS多賀製作所Kone GRヤリス)
+2:17.3
4 稲葉 摩人/立久井 大輝(Ahead GRYaris)
+3:10.9
5 星 涼樹/梅本 まどか(CUSCO GRヤリス)
+3:12.3
6 中溝 悠太/小藤 桂一(MATEX-AQTEC DL GRヤリス)
+4:04.7
7 大竹 直生/草加 浩平(GR YARIS GR4 Rally)
+8:15.6
R KANTA/保井 隆宏(TK motorsport GRYaris)
参戦8台、出走8台、完走7台
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cupは、「若手ラリードライバーの発掘・育成」と「全日本ラリー選手権の発展」のため、活動します。サイドミラーとリアウィングにイメージカラーであるブルーをまとった参戦車両・若きドライバーに、ご声援をお願いします。
TOYOTA GAZOO RacingのMORIZO Challenge Cupにおける活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。