5月10日(金)〜12日(日)にかけて、京都府京丹後市を拠点に2024年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第4戦「YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg」が開催され、今季から導入された若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup」において、FIT-EASY Racingの山田啓介/藤井俊樹組が優勝を飾りました。山田選手/藤井選手は開幕戦から負けなしの4連勝を達成しています。
MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に導入された全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリー。JN-2クラス車両規定をベースとしたトヨタGRヤリスで争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで29歳以下)のドライバーが対象となります。MCC独自のポイント制度のもと、シリーズ年間成績優秀者にはフィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいて、ラリー講習への参加権利が与えられます。
2024年シーズンの全日本ラリー選手権は、第2戦唐津、第3戦久万高原、今回の第4戦丹後と2週間ごとに連続でターマック(舗装)ラリーが開催されます。3連戦の最後を締めくくる丹後には、久万高原に続き貝原聖也選手、稲葉摩人選手、星涼樹選手、山田啓介選手、最上佳樹選手、中溝悠太選手、KANTA選手、大竹直生選手の8名がエントリー。2日間、8つのスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)を舞台に、スピードを競います。
丹後半島を舞台とするラリー丹後は、高速セクションやテクニカルなコーナーなど、性格の異なる区間がSS内に存在する、難易度の高い一戦。また、唐津や久万高原と比較すると、路面自体はスムーズですが、滑りやすいことも特徴となります。
ラリー初日は快晴が広がり、路面コンディションはドライ。SS1はシリーズ逆転優勝を狙う大竹選手が首位に立ちますが、SS2でここまで3連勝中の山田選手がベストタイムを獲り返し、トップに浮上します。続くSS3はコース内で山林火災が発生したため、消火活動にあたった車両以降のドライバーには一律のタイムが主催者から与えられました。サービスを挟んだSS4でも山田選手はベストタイムを刻み、2番手の大竹選手に8.3秒の大差をつけて初日を首位で折り返しました。3番手に貝原選手、4番手に最上選手、前戦久万高原でのクラッシュから復帰を果たしたKANTA選手が5番手で続いています。
ラリー最終日はSS3の山林火災の影響により、同じコースを使うSS6とSS7のキャンセルが決定され、SS5とSS8の2SSのみで争われることになりました。首位の山田選手は、降雨のあったSS8でも前日までのリードを守り切り、開幕4連勝を達成。最終日に2回のベストタイムをマークし、3.6秒差まで追い上げた大竹選手が2位。貝原選手が3位、最上選手が4位で走り切りました。また、SS5では6番手につけていた稲葉選手、8番手の星選手がクラッシュし、いずれも悔しいリタイアに終わっています。
■山田啓介(MCC1位/JN-2クラス4位)
スケジュールの変更などに動揺せず、目の前のSSに集中し、自分たちのベストを尽くすことを積み上げて、良いパフォーマンスを出せました。今回のラリーは精神的な成長が大きかったと感じています。特に2日目は距離が短いので、どうしても前のめりになってしまうところですが、しっかりノートを信じて丁寧に走ることができました。今回、勝ち切れたのは、その点が大きかったと思っています。
■大竹直生(MCC2位/最多SSトップタイム賞/JN-2クラス6位)
トップに届かず、非常に残念です。初日は、山田選手と貝原選手は走った経験のあるSSが中心だったので、2日目が勝負だと考えていました。しかし、SSキャンセルによって走行距離が短くなり、逆転が難しくなってしまいました。初日からもっと攻めた走りができれば良かったという反省もありますし、ドライビングだけではなく、ラリー全体を見た戦略の立て方など、総合力を強化していくことが今後の課題です。
■貝原聖也(MCC3位/JN-2クラス7位)
全体を通して低速コーナーではセットアップも合っていましたし、走りもまとまっていました。ただ、高速コーナー中心の道幅が広いSSではクルマの挙動が大きくなり、なかなか攻め切ることができず、上位2台に離されてしまいました。また、ペースノートの精度も課題のひとつだと考えています。毎回改善することによって、その分攻められるようになり、新たな課題を見つけることができています。
■最上佳樹(MCC4位/JN-2クラス8位)
SSの走行距離が短くなったり、想定していた路面と違ったり、色々なことが起きたラリーでしたが、セットアップなど収穫もありました。何よりもしっかりと生き残り、4位まで順位を上げることができた点は、良かったと思っています。チームメイトの山田選手から話を聞くと、走らせ方や精神面でも自分との差を感じています。経験をしっかり積んで、よりいっそう攻めて走らせられるようになりたいです。
■KANTA(MCC5位/JN-2クラス9位)
前回クラッシュをしてしまいましたが、チームの皆さんに助けていただき、参戦できたことだけでも本当に感謝しています。SSがキャンセルとなったため、あまり走行距離を稼ぐことができませんでした。それでも、新しいクルマで色々なセッティングを試して、大会中に煮詰めていくことができたのは大きな収穫です。後半戦に向けても良い手応えを感じていますし、次戦ではしっかり勝負したいです。
■中溝悠太(MCC6位/JN-2クラス10位)
連続するターマック3連戦は、唐津・久万高原と安全なペースで少しずつタイムを上げていくことができました。今回の丹後では、更に攻めつつも良いペースで走り切りたいと考えていました。ドライビングやセッティングなどでの課題も見え、最終日のウェットは少し怖いと感じる部分もありましたが、良い経験になりました。路面状況をしっかり見ながら走れるようになってきたと感じています。
■星 涼樹(リタイア)
調子良く、何事もなく走れていたのですが、最終日のSS5でリタイアとなってしまいました。速度を出しすぎていたわけではなく、アンダーステア気味でコーナーに進入し、そのまま膨らんでガードレールに突っ込んでしまいました。現場ではコ・ドライバーの梅本選手が冷静に対処してくれたので、本当に助かりました。まだタイヤのグリップをちゃんと使い切れていない点が今後への課題です。
■稲葉摩人(リタイア)
リタイアで終わったことが本当に悔しいです。ペースノートに『スロー』と入れていたのに、車速を落とし切れずクラッシュしてしまいました。初日にタイヤを溝に落としたことで、クルマに曲がりにくさを感じていましたが、リタイアしたSSの前半はなんとなく走れてしまったため、オーバースピードで行ってしまいました。そうした感触の違いに気づけなかったことが、一番の反省点です。
全日本ラリー選手権第4戦 YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg
MORIZO Challenge Cup最終結果
1 山田 啓介/藤井 俊樹(FITEASYソミック石川GRYARIS)
28:44.2
2 大竹 直生/竹藪 英樹 (GR YARIS GR4 Rally)
+3.6
3 貝原 聖也/西﨑 佳代子(ADVICS多賀製作所Kone GRヤリス)
+24.5
4 最上 佳樹/前川 富哉(FIT-EASY ZEAL GRYARIS)
+32.1
5 KANTA/保井 隆宏(TK motorsport GRYaris)
+35.3
6 中溝 悠太/佐々木 祐一(MATEX-AQTEC GRYaris)
+49.9
R 星 涼樹/梅本 まどか(CUSCO GRヤリス)
R 稲葉 摩人/立久井 大輝(Ahead GR Yaris)
参戦8台、出走8台、完走6台
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cupは、「若手ラリードライバーの発掘・育成」と「全日本ラリー選手権の発展」のため、活動します。サイドミラーとリアウィングにイメージカラーであるブルーをまとった参戦車両・若きドライバーに、ご声援をお願いします。
TOYOTA GAZOO RacingのMORIZO Challenge Cupにおける活動は、パートナー企業の皆さまによって支えられています。