6月7日(金)〜9日(日)にかけて、群馬県安中市を拠点に2024年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第5戦「加勢裕二杯 モントレー2024」が開催され、今季から導入された若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup」において、TOYOTA GAZOO RacingーWRJの大竹直生/竹藪英樹組が優勝を飾りました。なお、今大会で2位となったFIT-EASY Racingの山田啓介/藤井俊樹組が、初年度のシリーズチャンピオン(暫定)に輝きました。
MORIZO Challenge Cup 山田・藤井組のシリーズチャンピオン決定におけるモリゾウコメントと選手コメント>>
MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に導入された全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリー。JN-2クラス車両規定をベースとしたトヨタGRヤリスで争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで29歳以下)のドライバーが対象となります。MCC独自のポイント制度のもと、シリーズ年間成績優秀者にはフィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいて、ラリー講習への参加権利が与えられます。
2024年シーズンの全日本ラリー選手権は、第5戦モントレーから後半戦に入ります。22年以来の開催となるモントレーは、2車線を使ったハイスピードコースやツイスティな低速コーナーなど、バリエーションに富んだターマック(舗装)路が舞台。2日間、10本のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)を舞台に、スピードを競います。山間部は天候の変化も激しく、突然の雨に襲われることも考えられます。前戦のラリー丹後に続き、貝原聖也選手、稲葉摩人選手、星涼樹選手、山田啓介選手、最上佳樹選手、中溝悠太選手、KANTA選手、大竹直生選手の8名がエントリーしました。
サービスパークが置かれた安中しんくみスポーツセンターでのセレモニアルスタートに続き、初日は6SSを走行。この中には、碓氷峠の旧道を使用したSS3/4『Old Usui Touge(9.10km)』も含まれます。ラリー序盤、SS2でMCCのトップに立った大竹選手を、続くSS3で山田選手がパス。その後、山田選手がラリーをリードしますが、今回最長の14.90kmを走行するSS6でJN-2クラス全体のベストタイムをマークした大竹選手が、首位の山田選手との差を0.4秒に縮めて初日を終えました。3番手に貝原選手、4番手には中溝選手がつけています。稲葉選手はSS2フィニッシュ後、星選手はSS3、KANTA選手はSS4でそれぞれリタイア、この日の競技続行を断念しています。
ラリー最終日、心配された降雨はなく、ドライコンディションでの走行となりました。首位の山田選手はこの日最初のSS7でベストタイムをマークしますが、続くSS8、SS9と大竹選手が連続ベストタイムを獲り返し、山田選手をかわして首位に浮上します。大竹選手は最終SSも一番時計でまとめ、今シーズン待望の初勝利を手にしました。さらにライバル選手を0.7秒上まわり、JN-2クラスでの勝利も手にしています。
2位でフィニッシュした山田選手は、MCC初年度の暫定シリーズチャンピオンに。山田選手はフィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいて、ラリー講習に参加する予定です。SS9では3番手につけていた貝原選手がクルマをヒットしリタイア、これでひとつ順位を上げた中溝選手が3位表彰台を獲得しました。また、4位には最上選手が入り、車両を修復して再出走を果たした稲葉選手も、最終日の4SSを走り切っています。
■大竹直生(MCC1位/最多SSトップタイム賞/JN-2クラス1位)
まずは、ようやく優勝できたことにホッとしています。アクシデントやトラブルなど、厳しいラリーが続いていたので本当にうれしいです。今回、チームの皆さんからは『全開でアタックしてこい』と言っていただきました。それもあって、スタートから楽しく走ることができましたし、あらためて感謝しています。山田選手とは得意なコースが違っていて、ベストタイムを獲り合う展開になりました。最終的に僅差の展開となり、あらためてラリーの面白さを感じています。
■山田啓介(MCC2位/最多SSトップタイム賞/JN-2クラス4位)
新しいチームから2台で参戦という大きなチャレンジのなか、最上選手との1-2フィニッシュなどもありましたし、僕自身もシリーズチャンピオンを決めることができました。タイトルという形で、チームに恩返しできたことがうれしいです。今シーズンは、年上の自分がタイトルを狙い、最上選手を育てることが使命だと考えていました。プレッシャーがかかればかかるほど力を出せるタイプなので、背中を押してもらったようにも感じています。最終的な目標はWRCでチャンピオンを獲ること。それに向かって、FIA規定のラリーカーで次のチャレンジができたらうれしいです。
■中溝悠太(MCC3位/JN-2クラス8位)
開幕戦の三河湾でクルマを壊してしまい、それからはしっかり走り切って経験を積みつつ、少しずつペースを上げていけたらと考えていました。その結果としてクルマにも慣れ、思いどおりに走らせられるようになってきました。これまでかなり苦しい戦いが続いていたので、3位表彰台は本当にうれしいです。最終日はかなりプレッシャーを感じながらの走りになりましたが、無事に走り切れたことにホッとしています。
■最上佳樹(MCC4位/JN-2クラス9位)
少しでも前との差を詰めるためペースを上げようとしましたが、思うように攻めることができませんでした。1回目の走行を受けてペースノートに危ない箇所の情報を足すと、2回目は抑えた分だけタイムが落ちてしまうので、再走するSSでタイムを上げるペースノートの作り方や、ドライビングが課題だと感じています。上位とはタイム差がありましたが、リタイアの多いラリーで4位は悪くない結果だと考えています。
■貝原聖也(リタイア)
SS9の序盤、路面が掘れたギャップにクルマをヒットさせてしまいました。ペースノートにも抑えてゆっくり走るよう注意を入れていたのですが、それでもかなりの衝撃があり、おそらくセンサー類が壊れてしまったようで、エンジンが3000回転以上に上がらず、タイムアウトでリタイアとなりました。それでもクルマのフィーリングは良くなってきましたし、トップまであと少しというところまで来ていると感じています。
■KANTA(リタイア)
SS4の滑りやすい路面で、少し行きすぎてしまい、曲がり切れず右側のコンクリートにヒットしてしまいました。SS3で路面もそれなりに綺麗だし、グリップも安定していたのでちょっと気を抜いてしまったのかもしれません。ラリー前に2日間のテストを行い、クルマのセットアップも好感触を得ていました。今回のラリーは午前中を抑え気味に走って、午後からペースを上げていこうと考えていたので本当に残念です
■星涼樹(リタイア)
碓氷峠を走ったSS3のスタートから7km地点において、ガードレールにクルマをヒットさせてしまいました。リズム良く走れていたのですが、速度が乗りすぎてブレーキングが遅れたことが原因です。サーキットと林道では走りの違いが大きく、参戦するたび新たな課題が見つかっています。次に参戦予定の最終戦ハイランドマスターズまでは時間があるので、しっかり練習してレベルアップしたいと考えています。
■稲葉摩人(リタイア/最終日再出走)
SS1フィニッシュ後のリエゾンでボンネットが跳ね上がってしまい、フロントウィンドウを壊してしまいました。壊れた状態のフロントウィンドウでは走行が続けられないため、レグ離脱を選択しました。多くの人に協力していただき、車両を修復しての参戦でしたし、今回はどうしても完走したかったので本当に悔しいです。自分のミスでラリーを終わらせてしまったことを申し訳なく感じています。最終日にリスタートするために、クルマを直していただいたチームの皆さんに感謝しています。
全日本ラリー選手権第5戦 加勢裕二杯 モントレー2024
MORIZO Challenge Cup最終結果
1 大竹 直生/竹藪 英樹(GR YARIS GR4 Rally)
1:25:32.7
2 山田 啓介/藤井 俊樹(FITEASYソミック石川GRYARIS)
+27.6
3 中溝 悠太/佐々木 祐一(MATEX-AQTEC DL GRヤリス)
+2:35.6
4 最上 佳樹/前川 富哉(FIT-EASY ZEALGRYARIS)
+2:51.5
R 貝原 聖也/西﨑 佳代子(ADVICS多賀製作所KoneGRヤリス)
R KANTA/保井 隆宏(TK motorsport GR Yaris)
R 星 涼樹/梅本 まどか(CUSCO GRヤリス)
R 稲葉 摩人/立久井 大輝(Ahead GR Yaris)
参戦8台、出走8台、完走4台
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