三角形のロングオーバル、ポコノで行われたNASCARカップ・シリーズでは、前半のピット戦略が功を奏したカイル・ブッシュが後半戦をリードして今季4勝目を挙げました。エクスフィニティ・シリーズではクリストファー・ベルが苦しみながらも5位に入り今季7度目のトップ5フィニッシュを果たしました。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第14戦 Pocono 400
レース戦略が功を奏しカイル・ブッシュが今季4勝目!
今季4勝目を挙げたカイル・ブッシュ(#18)と3位に入ったエリック・ジョーンズ(#20)
6月2日(日)、米国東部ペンシルバニア州ロングポンドのポコノ・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第14戦「Pocono 400」が開催されました。
ここポコノは、3本のストレートをそれぞれ曲率が違う3つのコーナーで繋いだ、独特の3角形をしていることから「トリッキー・トライアングル」の愛称を持っています。1周が2.5マイル(約4km)と長く、グリーンフラッグ下でピットインしても周回遅れになりにくいため、様々なピット作戦が採られるコースです。
50年の歴史を持つポコノではカップ・シリーズ戦が6月と8月の2回開催されており、デニー・ハムリンがトヨタ移籍以前も含め通算4勝、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が2勝、そしてカイル・ブッシュが昨年、一昨年の夏大会を連続で制しています。
今季ここまでの13戦中8勝と強さを見せるトヨタ勢の更なる活躍に期待がかかりました。
2日(日)午後2時2分、1周2.5マイルのトライアングルオーバルを50周、50周、60周の3ステージ合計160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られました。
トヨタ勢はカイル・ブッシュが2番手、エリック・ジョーンズが4番手、ハムリンが6番手からのスタートで上位争いを展開。20番手と中団スタートを強いられたトゥルーエクス・Jr.もじりじりと序盤から順位を上げていきました。
ステージ1が残り3周となったところで、カイル・ブッシュとエリック・ジョーンズ、ハムリンの3台がステージ2再スタート時の好ポジションを狙ってピットイン。ステージ1はこの時ピットに入らなかったトゥルーエクス・Jr.が9位となりました。
ステージ2では作戦通り、再スタート前に上位勢がピットへ向かったため、ここでもピットインを見送ったトゥルーエクス・Jr.が2位、これにカイル・ブッシュ、ハムリン、エリック・ジョーンズと続き、"トヨタ カムリ"が2位から5位を占めて再スタートを切りました。
再スタートが切られてまもなくマット・ディベネデットがスピン。これ出だされたイエローコーション(何らかの障害による全車スロー走行指示)によりトゥルーエクス・Jr.がピットへ。カイル・ブッシュは3ワイドでの再スタートを制し、この日初めて首位に立ちました。
首位に立ったカイル・ブッシュは、イエローコーションが出ない展開となったステージ2後半戦で独走。一時は2位に5秒以上もの大差をつけて快走しました。一方、トゥルーエクス・Jr.は91周目に車両トラブルに見舞われ、リタイアを余儀なくされてしまいました。
ステージ2も終盤にカイル・ブッシュらトヨタ勢はピットイン。ステージ3をカイル・ブッシュが首位、ハムリンが4位、エリック・ジョーンズが6位でステージ3の再スタートを切り、その後はピット作戦の違いはあったものの、カイル・ブッシュが事実上の首位をキープ、2位にエリック・ジョーンズ、ハムリンもトップ5圏内での走行を続けました。
終盤クラッシュ車両によりイエローコーションが出され、カイル・ブッシュが築いていた後続とのマージンは帳消しとなったものの、カイル・ブッシュは再スタートも決めてトップチェッカー。カイル・ブッシュは昨年夏対からのポコノ2連勝で、今季最多の4勝目への一番乗りを果たすとともに、自身の通算カップ・シリーズ勝利数を史上9位タイとなる55へと伸ばしました。トヨタは今季9勝目。
レースを通しトップ3を走行し、カイル・ブッシュと一時は首位を争ったエリック・ジョーンズが今季3度目の3位フィニッシュ。トヨタ勢では既に今季複数勝利を挙げているカイル・ブッシュ、マーティン・トゥルーエクス・Jr.、ハムリンが"プレーオフ"進出を決めている中、唯一未勝利のエリック・ジョーンズですが、この3位フィニッシュにより、ドライバーズランキングでも"プレーオフ"圏内(上位16台)となる15位へと浮上しました。
次戦第15戦は6月9日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われます。
ドライバー カイル・ブッシュ:
「レース序盤はコース上の混雑に阻まれました。5位、6位あたりを走行している状況ではどうしようもありませんでした。しかし、ピットクルーの素晴らしい働きで順位を上げ、クルーチーフの良い判断もあってトップに浮上することが出来ました。ここで勝てるのは最高です」
リザルト
決勝結果
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 160 |
2 | 5 | 2 | ブラッド・ケゼロウスキー | フォード | 160 |
3 | 4 | 20 | エリック・ジョーンズ | トヨタ カムリ | 160 |
6 | 6 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 160 |
17 | 22 | 95 | マット・ディベネデット | トヨタ カムリ | 160 |
35 | 20 | 19 | マーティン・トゥルーエクス・Jr. | トヨタ カムリ | 91 |
ドライバーズポイント
順位 | ドライバー名 | メーカー | ポイント |
---|---|---|---|
1 | カイル・ブッシュ | トヨタ | 568 |
2 | ジョーイ・ロガーノ | フォード | 564 |
3 | チェイス・エリオット | シボレー | 511 |
6 | デニー・ハムリン | トヨタ | 465 |
7 | マーティン・トゥルーエクス・Jr. | トヨタ | 452 |
15 | エリック・ジョーンズ | トヨタ | 343 |
26 | マット・ディベネデット | トヨタ | 188 |
マニュファクチャラーズポイント
順位 | メーカー | ポイント |
---|---|---|
1 | トヨタ | 524 |
2 | フォード | 502 |
3 | シボレー | 468 |
NASCAR XFINITY SERIES
第12戦 Pocono Green 250
クリストファー・ベルが5位フィニッシュ
5位フィニッシュを果たしたクリストファー・ベル(#20)
6月1日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第12戦「Pocono Green 250」がポコノ・レースウェイで開催されました。
エクスフィニティでのポコノ戦は2016年に初めて行われ、今年が4回目の開催。昨年はスポット参戦したカイル・ブッシュが勝利を挙げています。
1日(土)午後1時19分に2.5マイルオーバルを25周、25周、50周の3ステージ合計100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。7番手からスタートを切った22歳のシリーズレギュラードライバー、ブランドン・ジョーンズがスピンを喫し、車体後部から壁に激しくクラッシュ。ブランドン・ジョーンズは無事でしたが、車両のダメージは大きくレースはここで終えることとなってしまいました。
17周目には最前列2番手からスタートを切り首位を争っていたクリストファー・ベルがスピン。こちらは大きなダメージはなかったもののピットインを強いられ、28位へと大きくポジションを落としてしまいました。
しかし、ステージ1が終盤に入っていたこともあり、ベルはステージ2の再スタート前にピットインせずにポジションを取り戻し、4位で再スタートを切ると再スタートで一気に首位を奪いました。
この日はハンドリングに苦しんだベルでしたが、首位争いを続け、ステージ2を3位で終えました。
ステージ3でもベルが上位争いを展開。一方でトップ10圏内へと浮上したジェフリー・アーンハートは残り7周というところで他車との接触によってスピンを喫し、上位争いからは脱落してしまいました。
トヨタ勢で唯一上位に残ったベルは苦しみながらも5位でチェッカー。今季8度目のトップ5フィニッシュを果たしました。
次戦第13戦は6月8日(土)、ミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われます。
ドライバー クリストファー・ベル:
「一日を通して速さが足りませんでしたし、望んでいた結果とは言えません。最後、イエローコーションが出なければ2位でフィニッシュ出来たと思いますが、不運にもコーションが出てしまいました。私はイン側からの再スタートを強いられ、何も出来ないまま、チェッカーを受けるしかありませんでした。残念ですが、前戦シャーロット(クラッシュでリタイア)からの流れを断ち切るという意味では5位は悪くない結果です」
リザルト
決勝結果
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 00 | コール・カスター | フォード | 103 |
2 | 6 | 2 | タイラー・レディック | シボレー | 103 |
3 | 12 | 98 | チェイス・ブリスコー | フォード | 103 |
5 | 2 | 20 | クリストファー・ベル | トヨタ スープラ | 103 |
19 | 21 | 66 | ティミー・ヒル | トヨタ スープラ | 102 |
22 | 10 | 18 | ジェフリー・アーンハート | トヨタ スープラ | 102 |
30 | 38 | 5 | マット・ミルズ | トヨタ スープラ | 65 |
31 | 36 | 13 | ジョン・ジャクソン | トヨタ カムリ | 36 |
33 | 19 | 35 | ジョーイ・ゲイス | トヨタ スープラ | 34 |
37 | 26 | 42 | チャド・フィンチャム | トヨタ スープラ | 10 |
38 | 7 | 19 | ブランドン・ジョーンズ | トヨタ スープラ | 6 |
ドライバーズポイント
順位 | ドライバー名 | メーカー | ポイント |
---|---|---|---|
1 | タイラー・レディック | シボレー | 572 |
2 | クリストファー・ベル | トヨタ | 495 |
3 | コール・カスター | フォード | 473 |
12 | ブランドン・ジョーンズ | トヨタ | 320 |
21 | ジェフリー・アーンハート | トヨタ | 166 |
27 | ジョーイ・ゲイス | トヨタ | 119 |
28 | ティミー・ヒル | トヨタ | 115 |
29 | チャド・フィンチャム | トヨタ | 94 |
31 | トミー・ジョー・マーティンズ | トヨタ | 70 |
37 | ライリー・ハーブスト | トヨタ | 50 |
42 | マックス・タルマン | トヨタ | 26 |
45 | ジョン・ジャクソン | トヨタ | 21 |
48 | コディ・ウェア | トヨタ | 16 |
52 | コリン・ギャレッット | トヨタ | 11 |
56 | D.J.ケンニントン | トヨタ | 4 |
57 | スタン・マリス | トヨタ | 3 |
マニュファクチャラーズポイント
順位 | メーカー | ポイント |
---|---|---|
1 | トヨタ | 437 |
2 | シボレー | 431 |
3 | フォード | 410 |