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勝田貴元/新井大輝 × 新田真剣佑 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム・ドライバー × スピカレーシングファクトリー・ドライバー檜山直純役

勝田貴元/新井大輝 TOYOTA GAZOO Racing
ラリーチャレンジプログラム・ドライバー
×
新田真剣佑 スピカレーシングファクトリー・ドライバー檜山直純役

「攻めなきゃ、勝てねぇから」と魂を削りながら全力で走り続ける新田真剣佑が演じた檜山直純。
その姿は、WRCを目指す若き日本人ドライバー 2人と重なる。ラリードライバーに必要な資質とは。

古賀敬介=文 ©2018「OVER DRIVE」制作委員会

 WRCを目指し、いつかその頂に立とうと情熱を燃やす若者。『オーバードライブ』で新田真剣佑が演じる檜山直純は、夢を最短距離で実現させるべく己のすべてをスピードに託す。オン・ザ・エッジ。成功を信じギリギリの戦いを続ける直純の姿は、ふたりの若き日本人ラリードライバーの姿と重なる。新井大輝と勝田貴元。まだ20代半ばの彼らは、トヨタ主催のスカラシップ「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム」に選ばれ、現在はフィンランドを拠点にWRC2に参戦している。

 WRC2は、WRC王者を目指す若者たちが鎬を削るハイレベルなサポートシリーズである。結果を残せばワークスドライバーへの道が開ける。しかし、もし速さを示すことができなければ、逆に評価を大きく落とす危険性をはらんでいる。彼らは映画のストーリーさながらの険しい道を歩んでいるのだ。

 勝ち気で天才肌の直純は、チームのメカニックである兄の篤洋と激しく衝突しながらも、クルマを最高の状態に仕上げてくれるメカニックの存在の大切さにやがて気がつく。全日本F3選手権などサーキットレースの世界でも活躍した貴元は、ラリーにおけるメカニックの重要性を次のように語る。

 「ラリーという競技はクルマがダメージを受けやすく、それをサービスで直しながら走る事が多い。また、競技は数日間行われるので、何かが壊れてしまっても直せば挽回することも不可能ではない。だから、ある意味サーキットレース以上にメカニックの力が重要ですし、彼らとの信頼関係がとても大切なんです」

 ドライバーを演じる過程で、ラリーの世界を深く知る事になった真剣佑も「メカニックを信じているからこそ、ドライバーは全力で走れるのでしょう。それは映画で言えば、監督と俳優の関係にすごく似ていると思いました。信用しているから全力で演じることができるし、監督のひと言で方向性が変わったりもする」と、貴元の言葉に共感する。

ラリーの最高峰WRCを目指し、本場フィンランドで修業を続ける勝田(左)と新井 Naoki Kobayashi/CiNQ

 スカラシップ3年目の貴元は、今年2月に行われたラリー・スウェーデンのWRC2クラスで序盤トップに立ち、北欧の強豪選手を相手に僅差の首位争いを展開。首位で最終日を迎えた。これまで「学習」のため完走重視の抑えた走りを続けてきた貴元だが、「このチャンスだけは絶対に逃したくない。しかし相手はWRC2チャンピオン、全力で攻めなければ勝てない」と、封印していた「開放」をチームに直訴。常日ごろから完走の重要性を説いてきた彼の担当コーチも「ならば思いきり走ってこい」と、笑顔で貴元を送り出した。そして貴元は、映画の中の直純同様、持てる力を存分に発揮し、前年のWRC2王者を向こうに回し一歩も引かぬ戦いを展開。大接戦の末に勝利を手にしたのだ。「リスクを冒した限界の走りでしたが、自分でも驚くほど冷静でまったくミスをする気がしなかった。まだまだこれからですが、支えてくれたメカニックやエンジニアに少しだけ恩返しできたような気がします」と、感謝の言葉をチームの仲間に捧げた。

 一方、大輝は悶々とした日々を過ごしていた。ラリーは荒れた不整地を、それも雨や雪など様々な環境下で走るため、トラブルに襲われることが多い。去年から今年にかけてクルマのトラブルに悩まされ続けた大輝は、天性のスピードを結果につなげることができなかったのだ。

 「これまではクルマに何か問題が起こると、自分も崩れてしまうことが多かった。でも、いろいろ悩み考え抜いた末に考え方を改めることにしたんです。トラブルが起きてもそれを受け入れ、置かれた状況の中で自分に何ができるのかを探し、ベストを尽くすことにした。そう前向きに考えられるようになったら、楽しんで走れるようになりました」。大輝は苦しみながらも打開策を見つけ、彼本来の速さを取り戻しつつある。

 競技だけでなく、自分の将来とも向き合わなければならない彼ら若手選手は、常人には想像もつかないようなプレッシャーにさらされている。劇中、常に強気の姿勢を崩さない直純が、走行を前に人知れずトイレに篭り嘔吐するシーンはとてもリアルだ。

「表向きは怖いもの知らずの直純ですが、本当は繊細なところがあってプレッシャーと戦いながら自分に打ち克とうとしている。僕も役者として常にプレッシャーと戦っています。心が折れそうになることも多くありますが、逃げずに真正面からぶつかって戦うしかないんですよね」

と語るアメリカ育ちの真剣佑もまた、日本という「アウェー」で戦いを挑み、そして世界へと大きく羽ばたこうとしている。彼の現在の立ち位置は、直純や若手日本人ドライバーふたりと極めて近い。

「いつか『オーバードライブを観て、夢を貰ったんです』という言葉を聞きたい。この映画を通して、WRCを目指そうとしている人たちに夢を与えられたら嬉しいですね」。真剣佑のメッセージは、選手だけでなく、ラリーメカニックを志す人々にも向けられている。

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