スーパーフォーミュラとは
2024年はFIA F2のチャンピオンと上位ランカーが参戦
国内外の若手やファンが注目するスーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ(SF)の正式名称は「全日本スーパーフォーミュラ選手権」です。全日本の冠が懸かっていますが、アジア圏で最高峰のフォーミュラレースでもあります。またフォーミュラワン世界選手権(通称F1)を頂点とするヒエラルキー(階層・順位)では、F1直下のFIA F2と並ぶとも劣らないフォーミュラカーレースと言われています。
フォーミュラカーは、レース専用の1人乗り車両で、そのドライバー1人が速く走るために細かくセッティングすることが可能です。また外観の特徴はコックピット上部(運転席)とタイヤ4輪が覆われていません。
自動車レースを統括する国際自動車連盟(FIA)は、1950年代に「ドライバーズチャンピオンシップは純然たるレーシングカーであるフォーミュラカーによって競われる」と定義していたほど、ドライバー個人の技量を問う競技車両なのです。
フォーミュラカーによるシリーズ(選手権)では、世界選手権の頂点にF1があり、次にヨーロッパ中心のFIA F2選手権、そしてアメリカを中心に行われるインディカーシリーズやアジアのスーパーフォーミュラが位置する形になっています。その中で、近年FIA F2が“F1予備校”的な存在となり、一部の各国有力選手がそこからこぼれているように思われています。それだけに、国内外の若手選手からスーパーフォーミュラが注目されており、毎年のように実力ある若手が参戦しています。彼らと日本のトップ・ドライバーたちが競い合うことでレベルが上がり、さらに世界の関係者やファンから注目されています。
スーパーフォーミュラでは、全チームが同じシャシー(車体)とタイヤを使用します。現在は「SF23」というシャシーと、横浜ゴム製のSF専用タイヤとなっています。
エンジンは2000cc直列4気筒の直噴ターボと規格が定められており、TOYOTA/TRD製※のエンジン「TOYOTA/TRD 01F」、もしくはホンダ/M-TEC製の「HONDA/M-TEC HR-417E」の2種から選んで使用します。どちらも出力はほぼ同等(約550馬力)です。
このように車両自体の能力には大きな差がなく、スーパーフォーミュラではドライバーの実力とチームの戦略・技術力が勝敗に直結するようになっています。
※TRD(TOYOTA Racing Development)は、株式会社トヨタ・カスタマイジング&ディベロップメント内でモータースポーツ事業を担う部門でありブランド名です。TOYOTA GAZOO Racingなどのレース車両やエンジン、モータースポーツ部品の開発と製造を行います。
2024年シーズンは7大会全9戦を開催
終盤の2大会は土日で2ラウンドを実施
2024年のスーパーフォーミュラは、7大会※で9戦を行う予定です(3月6日現在)。第1戦から第5戦までは1大会で1ラウンドと通常のレースフォーマットで行われ、そしてシリーズ終盤の2大会は土曜、日曜で各1ラウンドを行います。
開催サーキットは、第1戦と第8/9戦が鈴鹿サーキット(三重県)、第2戦はオートポリス(大分県)、第3戦はスポーツランドSUGO(宮城県)、第4戦と第6/7戦が富士スピードウェイ(静岡県)、第5戦はモビリティーリゾートもてぎ(栃木県)となります。
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鈴鹿市(三重県)
第1戦
鈴鹿サーキット -
日田市(大分県)
第2戦
オートポリス -
村田町(宮城県)
第3戦
スポーツランドSUGO -
小山町(静岡県)
第4戦
富士スピードウェイ -
茂木町(栃木県)
第5戦
モビリティリゾートもてぎ -
小山町(静岡県)
第6戦
富士スピードウェイ -
小山町(静岡県)
第7戦
富士スピードウェイ -
鈴鹿市(三重県)
第8戦
鈴鹿サーキット -
鈴鹿市(三重県)
第9戦
鈴鹿サーキット
全9戦の獲得ポイント合計でチャンピオンが決定
シリーズ各戦では競技結果によりドライバーおよびチームに選手権ポイントが与えられます。その全9戦の合計が最も多いドラバーとチームがシリーズチャンピオンとなります。また1大会で2レース(ラウンド)を行う場合も、それぞれレースが1大会1レースと同等のポイントとなります。ドライバータイトルは毎戦の予選と決勝のポイントを加算。チームタイトルは毎戦の決勝ポイントを2台まで加算します。
選手権ポイント
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
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予選 | 3 | 2 | 1 | - | - | - | - | - | - | - |
決勝 | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
なお、決勝レースが2周回する前に中止の場合は不成立でポイントなし。先頭車両が2周回以上で当初レース距離の75%(※)未満で終了、中止となった場合はレース成立でポイントは半分となり、先頭車両が当初レース距離の75%(※)以上ならポイントは当初の通りとなります。
※小数点は切り捨て。予選はQ1とQ2のノックアウト方式
予選方式は、Q1とQ2による2段階のノックアウト方式(予選タイムの上位のみ次に進出できる勝ち抜き制)になっています。
Q1はA組とB組(参加台数の半分ずつ)に分けて各10分間で実施。そしてQ2はQ1各組の上位6台、計12台で10分間を行います。
悪天候等の不可抗力やアクシデント等で予定された走行が中止となった、または時間が足りなくなった場合は、競技会の審査委員会が別の方式を決定します。
決勝でタイヤ交換を行わないと失格に
2023年の決勝レースは最短110kmから最長は300kmで行われ、最大レース時間は各大会によって定められます。
決勝レース中のタイヤ交換は全戦で義務付けられ、1回で4本すべてを交換します。このタイヤ交換のピットインは、先頭車両が10周目の第1セーフティカーラインを通過した時点から最終周回に入るまでに行わなければなりません。これを行わずゴールした場合は、失格となります。
決勝レース中の燃料給油は行いません。
国内トップフォーミュラが歩んだ50年の歴史を引き継ぐスーパーフォーミュラ
日本のみならず欧米からも注目されるようになったスーパーフォーミュラ。
その原点は、1973年に始まったフォーミュラレースのシリーズです。1960年代の日本モータースポーツは黎明期であり市販乗用車やその改造車・試作車によるレースがほとんどでした。その中、1964年の第2回日本グランプリにおいて、初めてフォーミュラカーによる公式レースが開催されました。この時は外国からの招待選手が大半でしたが、翌年の第3回日本グランプリでは日本人選手が中心となりました。
そして1973年5月に全日本F2000選手権(全4戦)が開幕。ここから国内トップフォーミュラの歴史がスタートします。以後は車両規定やシリーズ名称の変更に伴い、全日本F2選手権、全日本F3000選手権、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンと変遷。2013年にアジア最高峰のシリーズを明確にする意味を込めて“スーパーフォーミュラ”と改名し、現在の「全日本スーパーフォーミュラ選手権」となりました。
トヨタは、フォーミュラ・ニッポンがワンメイクシャシーの「FN06」を導入した2006年にV型8気筒3000ccのエンジン「RV8J」を供給。その年にドライバーズチャンピオンであるブノワ・トレルイエ選手らの走りを支えました。TOYOTA GAZOO Racingとなってからも、ユーザーチームとドライバーの厳しい要求に適合したエンジンを供給しています。2023年には宮田莉朋選手の活躍で通算12回目のドライバータイトルを獲得しました。
注目の選手3名が加入したTOYOTA GAZOO Racing
6チームの11名が2024年のチャンピオンを目指す
2024シーズンのスーパーフォーミュラでは、12チーム21名が参戦(3月6日現在)。そしてTOYOTA GAZOO Racingから参戦するのは、6チーム11名です。今季はFIA F2で昨年チャンピオンに輝いたテオ・プルシェールが初参戦。さらにホンダ系チームから移籍した福住仁嶺選手と大湯都史樹選手という実力ある2名も新たに加わりました。
TOYOTA GAZOO Racingは供給するエンジン「TOYOTA/TRD 01F」を通じて、この11名のドライバーを支援し、タイトル獲得を目指します。より速く走ることで“いいクルマづくり”を実現するTOYOTA GAZOO Racingのドライバーとチームに、今シーズンも大きなご声援をよろしくお願いします。