雨の下、荒れたセッションが続いた公式テスト2日目
No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)がトップタイムをマーク
スーパーフォーミュラの第2回公式テスト2日目を迎えた岡山国際サーキット。この日は朝からあいにくの雨模様となったが、初日同様、午前と午後の2回、それぞれ2時間半の走行が実施されている。午前の走行3回目のセッションは、少ない雨量の中、No.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がトップにつけた。また、2日間最後のセッションとなる午後からの走行4回目では、雨も上がり、濡れた路面が次第に乾いていくという回復方向の中で、終盤にNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)がテスト2日目の最速タイムとなる1分13秒368をマークしている。
テスト2日目が行われた4月1日。雨量こそ少なかったものの、朝から雨が降り続くコンディションの中、昨日より1台少ない19台が出走した。午前9時30分にスタートを切った走行3回目のセッション。まずは新しいスリックタイヤを装着してコースイン、タイヤの皮むきを行なう車両もちらほら見られたが、アウトラップのみでピットへ戻るとウェットタイヤへと交換、改めてコースへ向っている。メインストレートでは水煙が上がっており、完全なウェットコンディションでの走行を精力的に進めたいところだったが、開始から15分ほどでNo.4 ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が最終コーナー手前でコースアウト。この日最初の赤旗中断を招いてしまった。
スーパーフォーミュラ参戦2年目を迎えるブラーだが、「今年もこのカテゴリーに戻ってこられてとってもうれしい。去年は走行時間も短く、難しいこともたくさんあったけれど、今年は経験を活かした走りができると思っているし、その自信もある」と数少ないテストで果敢にチャレンジしていることを強調した。
その後もセッションは、コースアウトやスピンする車両によって繰り返し赤旗が掲示された。その結果、午前中だけで9度も赤旗によるセッション中断が発生している。
そんなコンディションの中でも、フル参戦3年目を迎えたNo.18 中山雄一(KCMG)は着実にタイムを削って一時は9番手まで浮上。「去年は予選でQ3進出とポイント獲得の両方を達成することができたので、今年は毎戦実現できるようになって常に上位で戦いたい」とした上で、テストではセットアップ作業も順調に進んでいると笑顔を見せた。
午前の走行3回目の結果は、昨年の岡山戦のウイナーでディフェンディングチャンピオンの石浦がトップタイム。これにNo.8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)が続き、TOYOTA勢がトップ2につけた。
参戦2年目のシーズンを迎えるNo.4 ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)
No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)とNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)
No.18 中山雄一(KCMG)
午後2時からの最終セッションを前に、天気が回復。雨も上がり、空が明るくなり始めた。しかしながら、路面は依然としてウェットのまま。したがってコースインする各車もウェットタイヤを装着しての周回となる。だが、開始6分にはまたも赤旗が出るアクシデントが発生。だが、再開後は落ち着きを取り戻したかのように各車がそれぞれメニューの消化に努める。
中でも順調に自己ベストタイムを削っていたNo.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)は、セッション開始1時間を前にしてTOYOTA勢トップに立つ躍進ぶり。「テストでは少しずつながら良い方向に進んでいるという意識もある中で、やりたいこともまだまだあります。クルマをもっと速くしなきゃ、と思っています」という前向きなコメントのとおり、手応えある走りを披露した。
No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)
No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)
セッション折り返しに入ると、日差しはないものの、路面コンディションの向上に合わせてタイムが大きく動き始める。そして残り1時間を切ると、スリックタイヤを選択する車両が続出。まずはNo.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)が1分16秒台をマーク。これをターゲットタイムに1分20秒台を切る車両が半数を超えた。その後も、確実にタイムを縮める走りを見せる各車の様子は、まるでこれから始まる予選に向けて最終準備を進めるかのよう。ベテラン選手はじめ、若手ドライバーやルーキーが入り乱れて順位が変動する走行が続いた。
チェッカーまで残り時間30分を前に、トップはNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。だがその直後にロッテラーが1分14秒台に入り、トップを奪取。するとチームメイトの中嶋も2番手に浮上、揃ってタイムを更新したが、ポジション変動はこのままでは終わらない。小林が1分14秒前半を、さらにデ・オリベイラは1分13秒836へと突入、再びトップに立つなど、緊迫したタイム合戦となっていた。だが残り時間13分、国本がレッドマンコーナーでオーバーラン。セッション2度目の赤旗中断になった。なお、この赤旗の影響により5分間のセッション延長がアナウンスされている。
コンディションとしては必ずしも万全とは言い難い路面での走行だった最終セッション。しかしながら、チェッカーまでの僅かな時間に見せた各車の走りは、まさに本番さながらの予選アタックを思わせるものになる。小林が再びトップに立った矢先、中嶋がこれを上回る1分13秒368をマーク。これに引っ張られるようにロッテラーもベストタイムを更新するなど、見応えのある最終アタックをもってすべてのセッションが終了している。結果、トップタイムをマークした中嶋が2日目の総合トップとなり、TOYOTA勢がトップ4を占めた。
今年もFIA世界耐久選手権(WEC)との掛け持ち参戦となる中嶋。小林同様、WECのテスト(フランス・ポールリカール)を終えてすぐのテスト参加というハードなスケジュールだったが、「時差ボケもなくなったし、それにテストがあったほうが意外とラクかもしれません」と自身をうまくコントロール。雨の走行ではクルマのセッティング変更を随時行いながら都度確認作業を進め、「良かったり、悪かったり、その原因を探る必要はありますが、色々なコンディションを見られたのは良かったと思う」と言いつつも、最後の最後にトップタイムをマークした。
2度にわたる公式合同テストを終えたスーパーフォーミュラ。今シーズンの開幕戦は4月23、24日。三重・鈴鹿サーキットがその舞台となる。
RESULT
スーパーフォーミュラ 2016年 第2回公式テスト岡山 2日目 総合結果
順位 | No. | ドライバー | チーム/エンジン | 3回目 | 周回 | 4回目 | 周回 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 37 | 中嶋 一貴 | VANTELIN TEAM TOM'S TOYOTA RI4A | 1'36.788 | 15/34 | 1'13.368 | 55/57 |
2 | 36 | アンドレ・ロッテラー | VANTELIN TEAM TOM'S TOYOTA RI4A | 1'36.708 | 12/36 | 1'13.589 | 49/49 |
3 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL TOYOTA RI4A | 1'37.795 | 20/36 | 1'13.719 | 55/57 |
4 | 8 | 小林 可夢偉 | SUNOCO TEAM LEMANS TOYOTA RI4A | 1'35.137 | 22/28 | 1'13.776 | 43/45 |
5 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM 無限 Honda HR-414E | 1'43.504 | 12/15 | 1'13.859 | 30/30 |
6 | 11 | 伊沢 拓也 | REAL RACING Honda HR-414E | 1'39.454 | 16/23 | 1'13.967 | 61/62 |
7 | 1 | 石浦 宏明 | P.MU/CERUMO・INGING TOYOTA RI4A | 1'31.038 | 25/36 | 1'13.998 | 41/41 |
8 | 34 | 小暮 卓史 | DRAGO CORSE Honda HR-414E | 1'37.101 | 7/31 | 1'14.014 | 57/57 |
9 | 20 | 関口 雄飛 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL TOYOTA RI4A | 1'36.294 | 17/24 | 1'14.050 | 44/45 |
10 | 4 | ウィリアム・ブラー | KONDO RACING TOYOTA RI4A | 1'40.847 | 21/21 | 1'14.069 | 43/45 |
11 | 65 | ベルトラン・バゲット | NAKAJIMA RACING Honda HR-414E | 1'40.010 | 25/26 | 1'14.179 | 63/65 |
12 | 7 | ナレイン・カーティケヤン | SUNOCO TEAM LEMANS TOYOTA RI4A | 1'37.668 | 16/24 | 1'14.261 | 50/54 |
13 | 10 | 塚越 広大 | REAL RACING Honda HR-414E | 1'37.928 | 16/26 | 1'14.305 | 54/56 |
14 | 2 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO・INGING TOYOTA RI4A | 1'40.591 | 19/27 | 1'14.325 | 47/47 |
15 | 40 | 野尻 智紀 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda HR-414E | 1'39.153 | 35/35 | 1'14.397 | 53/54 |
16 | 64 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING Honda HR-414E | 1'35.763 | 31/32 | 1'14.404 | 56/59 |
17 | 18 | 中山 雄一 | KCMG TOYOTA RI4A | 1'38.294 | 26/33 | 1'14.416 | 54/55 |
18 | 3 | ジェームス・ロシター | KONDO RACING TOYOTA RI4A | 1'38.580 | 22/32 | 1'14.879 | 55/56 |
19 | 05 | 武藤 英紀 | ホンダテストカー Honda HR-414E | 1'35.184 | 30/40 | 1'15.020 | 39/39 |
41 | ストフェル・バンドーン | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda HR-414E | 出走せず | 出走せず |