FUJI
スーパーフォーミュラ 2020年 第7戦(最終戦)富士
予選/決勝
スーパーフォーミュラの今季最終戦(第7戦)が富士スピードウェイで行われ、坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が今季2勝目。ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)は最後尾から追い上げたが4位、平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は6位でフィニッシュし、惜しくもタイトル獲得はなりませんでした。
全日本スーパーフォーミュラ選手権の2020年シーズン最終戦となる第7戦が12月19日(土)、20日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
新型コロナウイルス感染症の影響により予定よりも大幅に遅れて8月末に開幕した同シリーズも、4か月で7戦という過密スケジュールの末に、ついに最終戦を迎えました。
今季のスーパーフォーミュラは、特別に7戦中の5戦分のみを有効ポイントとして計算、予選の順位でもポイントが加算されるなどの特別規定で争われています。開幕戦をポール・トゥ・ウィンで制するなど前半戦でポイントを稼いだ平川が、後半戦では不運に見舞われながらも、ライバルと同点でのランキング首位につけており、チャンピオン獲得を目指し最終戦に挑みます。
そして、ディフェンディングチャンピオンであるキャシディも9点差のランキング4位につけており、他車の結果次第ではあるものの、逆転タイトルの可能性を残しての最終戦となります。
12月後半という、国内トップフォーミュラとしては史上初となる「真冬の」富士での開催となった今大会、前戦に引き続きタイヤウォーマーの使用は許可されますが、それ以外の要素も全く予想ができない中で、タイトルを賭けた熱いバトルに注目が集まりました。
今大会の19日(土)は専有走行とフリー走行のみで、予選と決勝は20日(日)に両方行われるスケジュールでの開催となりました。
快晴となった20日(日)午前9時55分、予定より10分遅れで気温7度、路面温度10度のコンディションでノックアウト方式の予選が行われました。
Q1はここまでのランキングで2グループに分けて実施。A組ではトヨタ勢の最上位に付けていたキャシディが、セッション後にトラックリミット違反(走路外走行)としてベストタイム、セカンドベストタイムを抹消され、最後尾へ後退。石浦 宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が4番手、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が5番手、関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が6番手、そしてキャシディの後退により大嶋 和也(ROOKIE Racing)が7番手に入り、Q2へ進出。国本 雄資(carrozzeria Team KCMG) が9番手、キャシディ10番手でQ1敗退となりました。
B組では、平川がトップタイムをマーク。坪井が3番手、中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が5番手、山下 健太(KONDO RACING)が6番手でQ2へ進出。小林 可夢偉(carrozzeria Team KCMG)は9番手で予選を終えることとなりました。
14台と予選では最多台数がアタックするQ2では、トヨタ勢はQ1のタイムに届かないなど苦戦する車両が多く、坪井が4番手、平川が6番手とこの2台のみがQ3へと進出。大嶋が9番手、関口が10番手、中嶋11番手、石浦12番手、フェネストラズ13番手、山下14番手と、厳しい結果となってしまいました。
Q3では、タイムをのばすことのできなかった平川が8番手。坪井は最後のラップで1分19秒台に入れる快走を見せましたが、僅か0.017秒ポールには届かず、最前列2番手から午後の決勝レースに臨むこととなりました。
予選の後、決勝を前にしたウォームアップ走行中、関口の車両から出火するアクシデントがあり、関口は無事でしたが決勝レースは欠場することとなってしまいました。
また、このアクシデントにより決勝レースのスタート進行が予定よりも遅れ、冬晴れの空の下、午後2時47分、気温9度、路面温度13度のコンディションで決勝レースのスタートが切られました。
最前列2番手グリッドの坪井が好スタートを切り、首位へと浮上。後方では3台、4台が並びながらの激しいバトルの中、平川が2つポジションアップの6位、石浦が8位、山下9位、中嶋10位、フェネストラズ11位、そして最後尾スタートのキャシディが一気に12位へとジャンプアップを果たしました。
タイトルを争う平川は、4周目の1コーナーで前の車両をパスし、5位へ。先を行くライバルと、前でフィニッシュした方がチャンピオンという、直接対決に持ち込みました。
規定でピットインが可能となる10周を過ぎると、各車ライバルの動きを見ながらピットイン。平川は14周終了でピットへ向かい、素晴らしいピット作業でコースへと復帰しました。翌周ピットインしたライバルが平川の直前でピットアウトしたことで、2台は抜きつ抜かれつ、接触すれすれのチャンピオンをかけたバトルを展開。
このバトルで平川は一旦前に出たものの、その後ライバルの先行を許すことに。しかし、平川は諦めることなく僅差のまま追走。最後まで前でフィニッシュした方がチャンピオンというバトルが続きました。
一方で、最後尾から順位を上げていたキャシディは最後までピットを遅らせ、ピットインで必要となる後続とのタイム差を広げながらのハイペース走行。キャシディも優勝すればチャンピオンの可能性があるため、タイトルを賭けて見えない敵との争いとなりました。
30周を終えたところでキャシディがピットイン。平川の前でコースへ戻ったキャシディは、ニュータイヤの優位性を活かし、猛烈なアタックで4位に上がると、さらに上位を狙ってプッシュを続けました。
首位を行く坪井は、ライバルからの追撃を抑えながらの走行となりましたが、最後まで首位の座を守りきり、トップでチェッカー。第2戦岡山に続き、今季2度目の勝利を飾りました。スーパーフォーミュラ2年目の坪井は、今季唯一の複数優勝ドライバーとなりました。
チャンピオンを賭けての追い上げを続けたキャシディは4位、平川も逆転ならず6位でフィニッシュ。惜しくもトヨタ勢のドライバーチャンピオン獲得はなりませんでした。
チーム部門では、キャシディと中嶋のVANTELIN TEAM TOM'Sがチャンピオンを獲得しました。
正直、予選で2番手になれるとは思っていなかったので、そこが流れを変えられた大きなポイントだったと思います。スタートは自信があったので、2番手グリッドならいけると思ってましたし、トップに立ってからは主導権を握ってペースコントロールもできました。ただ、ライバルがずっと後についてましたし、セーフティカーが入るリスクもあったので、ヒヤヒヤしながら、最後の最後までしんどいレースでした。まさかシーズン最多勝を取れるとは思ってませんでしたが、良いクルマを作り上げてくれて、ピットもミス無くこなしてくれたチームのおかげだと本当に感謝していますし、結果で応えられて嬉しいです。個人的にも納得のいくレースができました。
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム | エンジン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 39 | 坪井 翔 | JMS P.MU/CERUMO・INGING | 40 | 56'13.803 | 2 | 1'19.989 | TOYOTA/TRD 01F | |
2 | 65 | 大湯 都史樹 | TCS NAKAJIMA RACING | 40 | 0.687 | 7 | 1'20.516 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
3 | 50 | 松下 信治 | Buzz Racing with B-Max | 40 | 1.522 | 4 | 1'20.185 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
4 | 1 | ニック・キャシディ | VANTELIN TEAM TOM'S | 40 | 2.268 | 20 | 1'24.710 | TOYOTA/TRD 01F | |
5 | 5 | 山本 尚貴 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 40 | 6.361 | 3 | 1'20.155 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
6 | 20 | 平川 亮 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | 40 | 7.550 | 8 | 1'20.719 | TOYOTA/TRD 01F | |
7 | 15 | 笹原 右京 | TEAM MUGEN | 40 | 8.541 | 5 | 1'20.192 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
8 | 4 | サッシャ・フェネストラズ | KONDO RACING | 40 | 24.737 | 13 | 1'21.298 | TOYOTA/TRD 01F | |
9 | 36 | 中嶋 一貴 | VANTELIN TEAM TOM'S | 40 | 25.360 | 11 | 1'21.144 | TOYOTA/TRD 01F | |
10 | 3 | 山下 健太 | KONDO RACING | 40 | 25.785 | 14 | 1'21.311 | TOYOTA/TRD 01F | |
11 | 7 | 小林 可夢偉 | carrozzeria Team KCMG | 40 | 29.569 | 17 | 1'21.418 | TOYOTA/TRD 01F | |
12 | 38 | 石浦 宏明 | JMS P.MU/CERUMO・INGING | 40 | 30.496 | 12 | 1'21.287 | TOYOTA/TRD 01F | |
13 | 64 | 大津 弘樹 | TCS NAKAJIMA RACING | 40 | 30.966 | 15 | 1'21.267 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
14 | 14 | 大嶋 和也 | ROOKIE Racing | 40 | 40.493 | 9 | 1'21.125 | TOYOTA/TRD 01F | |
15 | 18 | 国本 雄資 | carrozzeria Team KCMG | 40 | 41.319 | 18 | 1'22.311 | TOYOTA/TRD 01F | |
16 | 6 | 福住 仁嶺 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 40 | 1'03.943 | 6 | 1'20.340 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
17 | 12 | タチアナ・カルデロン | ThreeBond Drago CORSE | 39 | 1Lap | 19 | 1'21.674 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
16 | 野尻 智紀 | TEAM MUGEN | 28 | 12Laps | 1 | 1'19.972 | HONDA/M-TEC HR-417E | ||
19 | 関口 雄飛 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | 10 | 1'21.128 | TOYOTA/TRD 01F | ||||
51 | シャルル・ミレッシ | Buzz Racing with B-Max | 16 | 1'21.782 | HONDA/M-TEC HR-417E |