2016 SUPER FORMULA チャンピオン インタビュー
~崖っぷちから掴み取った頂点~
2016年のスーパーフォーミュラは、第5戦までの6レースすべて違う勝者が登場し、コンスタントに上位を占めるドライバーも不在という例年にない大混戦のチャンピオンシップとなりました。
その中、全7戦9レースで2勝を挙げた国本雄資選手が、自身初となるドライバーズチャンピオンを獲得。また、2年連続で所属ドライバーをチャンピオンとしたP.MU/CERUMO・INGINGも、昨年逃したチームチャンピオンをついに獲得しました。
こうまとめると、強いチームの選手が順当に獲ったチャンピオンと思われますが、それはまったく違います。国本選手は今シーズン結果が残せなければ「レースを辞める」と思うほどの決意で挑んでいました。
速さは評価されながらも、崖っぷちに立っていた彼と、良きチームメイトであり昨年のチャンピオンという最強のライバル石浦宏明選手、そして彼らの勝負をフェアに支え、チームのタイトルを決めた立川祐路監督と浜島裕英総監督。
この今季の主役4人をP.MU/CERUMO・INGINGのガレージに尋ね、今シーズンを振り返ってもらいました。
前編 「今年ダメだったら"レースを辞めるしかない"」
昨年は石浦宏明選手をチャンピオンに押し上げたP.MU/CERUMO・INGING。もちろん、2016年シーズンはドライバーズの連覇と初のチームチャンピオン獲得を目指します。その意気挙がるチームの中、"崖っぷち"で開幕を迎えたのが、国本雄資選手でした。昨年チームタイトルを逃したのは、自分がポイントを獲れなかったから。今季結果が出なければ「辞める覚悟をしていた」と言います。前編では、国本選手、石浦選手に加え、立川監督、浜島総監督にシーズン前から、開幕戦の後までを振り返ってもらいます。
中編「最終戦に巻き返せるという自信」
2016年の開幕戦で2位表彰台に上がった国本雄資選手は、チームにモノコックを換えることを要望しました。開幕戦で結果が出たにも関わらず、どうしてなのか? そして立川監督らチームはどう答えたのでしょうか? 厳しいレースが続いたシーズン中盤戦を国本選手はじめ、石浦宏明選手、立川祐路監督、浜島裕英総監督の4人が振り返ります。中編では、国本選手の真意に加え、彼らの走りをバックアップしたトヨタのエンジン"RI4A"についても語っていただきます。
後編「もっと強くて速いチャンピオンになる」
ドライバー2人ともに下位に沈んだ第6戦SUGO。最終戦を前に苦境に陥ったP.MU/CERUMO・INGINGだったが、鈴鹿でのレースには自信を持っていたと立川祐路監督は言います。そして、チームがクルマに施した策とはなんだったのでしょうか? チャンピオンを巡ってチームメイトで争う国本雄資選手と石浦宏明選手、それを見守る立川監督、浜島裕英総監督、それぞれの胸中はいかに。最終回となる後編では、最終戦鈴鹿の戦いと来季へ向けてのメッセージを語っていただきました。
プロフィール
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No,2 国本 雄資
(くにもと・ゆうじ)1990年9月12日生まれ/神奈川県出身
2002年からカートを始め、2006年にFTRSを受講。翌年はフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)でレースデビューし、最年少優勝を記録。2008年はFCJで、2010年は全日本F3でチャンピオンとなる。翌年、20歳でProject μ/cerumo・INGINGからフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)に参戦。今季は2勝してチャンピオンを獲得した。2012年からSUPER GTのGT500クラスに参戦し、通算2勝を挙げる。 -
No,1 石浦 宏明
(いしうら・ひろあき)1981年4月23日生まれ/東京都出身
高校生からカートを始め、2002年にFTRSを受講。翌年から3年間フォーミュラトヨタに参戦。2007年にはSUPER GTのGT300に参戦してチャンピオンを獲得。2008年からはGT500クラスに参戦し、今年までに4勝を挙げる。フォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)には2008年から4年参戦。2014年にP.MU/CERUMO・INGINGから再度の参戦となり、2015年には2勝を挙げてチャンピオンを獲得した。 -
立川 祐路
(たちかわ・ゆうじ)1975年7月5日生まれ/神奈川県出身
幼少期からカートで活躍し、海外シリーズでレースデビュー。1995年に帰国し、フォーミュラトヨタ西日本でチャンピオンを獲得。1996年から全日本GT選手権(現SUPER GT)のGT500クラスに、翌年にはフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)にデビュー。GT500ではチャンピオン3回を誇り、現在もトップドライバーだ。国内トップフォーミュラは2009年までドライバーとして参戦し、2011年からP.MU/CERUMO・INGINGの監督を務める。 -
浜島 裕英
(はましま・ひろひで)1952年生まれ/東京都出身
大学院を修了後、ブリヂストンに入社。同社では長年モータースポーツ用タイヤの研究・開発に携わった。ブリヂストンを定年となった2012年、F1用タイヤでの経験と実績を評価されて、F1チームのフェラーリでタイヤマネージメントのディレクターを2年に渡って務めた。2016年はセルモに加入し、スーパーフォーミュラのP.MU/CERUMO・INGINGおよび、SUPER GTのLEXUS TEAM ZENT CERUMOで総監督を務める。