崖っぷちから掴み取った頂点 後編(2/2)
「もっと強くて速いチャンピオンになる」
攻めもせず守りにも入らず。
いつも通りを心掛けたラストレース
―― そして国本選手がポイントリーダーとなって、レース2を迎えました。
国本 レース2は"守る"も"攻める"も考えていなくて、いつも通りのレースをしようと思っていました。(チャンピオンを)意識して攻める必要もないし、でも守りに入ったら、あの状況ではダメになってしまうと思ったので、いつもと同じレースを心がけようと...。
石浦
鈴鹿前、あまり条件の良くない状況でダブルポールを獲って、最後の抵抗をしたんですが、レース1で(ポイントの面では)ほぼ決着がついてしまった。レース2で国本が普通にポイントを取ってしまえば、チャンピオン争いは終わりです。
それでも、せめて自分は勝ってシーズンを終えたいという気持ちがあって、チームからも「それが一番いい終わり方だよね」と言われていたので(勝ちを)狙っていました。
国本 (レース2の)スタートはあまりよくなくて、スタートしてからポイント争いがどういう状況になっているのか無線で聞きましたが、なぜか教えてくれなかった(苦笑)。 レース前には自分でポイント計算していたんだけど、走り出したら周囲が見えないので序盤はどうなっているのかわからなくて。終盤にセーフティカーが入ったときに周りの順位が分かって「ああ、大丈夫かな」と。でも、結構ギリギリだったんですよね。
石浦 そうだよね、オレがアンドレ(ロッテラー)に抜かれた(※2)からね(笑)
(※2)・・・石浦を抜いてロッテラーが2位となる。ロッテラーが勝ったら、その時点で6位の国本ではタイトルが獲れない。
国本 最終ラップの最終コーナーを立ち上がっても、わからなかったんですよ。

立川 石浦がアンドレに抜かれたときには、少し焦りましたけどね(苦笑)。あれで(トップを走るストフェル)バンドーンと争って、アンドレが前に行っちゃったら、タイトル争いはひっくり返るわけだから。
浜島 ああいうのは心臓に良くないよね。僕は、(終盤のセーフティカーからの)リスタートで巻き込まれてしまうんじゃないかと心配した。(各車が接近して)結構きわどい状況だったしね。たとえ自分のせいではなくても、この世界、獲れるときに獲らないと、(2度と)獲れないこともありますから。でも獲れて本当に良かった。
―― 観てる側も最後までハラハラしたレース2でしたね。改めて今季を振り返ってと、来季に向けてのお気持ちをお聞かせください。
国本
今シーズンは良いときも悪いときもあった1年ですね。最終的にタイトルが獲れましたけれど、まだ僕には足りない部分もたくさんあったし、来年に向けた課題もたくさんあるので、今は不安です。1年間戦って、プレッシャーを感じて身体が震えたりとかそういうこともあった。でも、その中でしっかりと結果を残せたというのは、自分が成長したからかなと思えた1年でもありました。
また来年、もっと強い自分になって、その中で速さも見せたい。強くて速いチャンピオンとなって、戦いたいと思います。あと、僕はまだポールポジションを獲ったことがないので、獲りにいきます。

2016年ドライバーズチャンピオンを獲得した国本雄資
立川
P.MU/CERUMO・INGINGとしては、毎年毎年少しでもいいから自分たちにできることをクリアして、レベルを一歩一歩上げていくことですね。その積み重ねの中で昨年、今年とタイトルを獲ることができたので、それを引き続き来年に向けてもやっていこうと思います。
進歩が止まったら負けるだけですから。タイトルはあくまでも結果で、前進し続けないとダメな世界ですからね。
石浦 ところで国本は、ロズベルグ(※3)のように電撃引退はしないの?
(※3)・・・ニコ・ロズベルグは、今年F1でチャンピオンを獲った数日後に引退を表明した。
国本 ないない(笑)。

<あとがき> チームメイト同士のタイトル争いとなると、2人に格差をつけたり、完全にセパレートしたりするチームも多いと言います。その中でも良い雰囲気を損なわず、楽しいレースだったと監督が言えるP.MU/CERUMO・INGINGは、やはり従来の枠に収まるチームではないようですね。来季はライバルチームのマークもきつくなるでしょうし、簡単ではないでしょうがP.MU/CERUMO・INGING、そして新チャンピオンの国本雄資選手の更なる躍進を期待したいものです。 TOYOTA GAZOO Racingも、P.MU/CERUMO・INGINGをはじめトヨタエンジンユーザーのチームを来季もしっかり支援し、よりスーパーフォーミュラを盛り上げてまいります。皆さんも各チーム、各選手へ、一層のご声援をよろしくお願いいたします。
