Kamui's Race Diary 2016

スーパーフォーミュラ 第2戦 岡山

Kamui's Race Diary 2016 スーパーフォーミュラ 第2戦 岡山

「レースを見せられなかったのは非常に残念でした」

 みなさんこんにちは小林可夢偉です。
 スーパーフォーミュラ第2戦岡山が終わりました。
 ご存知の方も多いと思いますが、決勝レースは雨のためセーフティーカー先導でスタートし8周を走った時点で赤旗中断。結局レースはそのまま終了してしまいました。悪天候にも関わらず岡山国際サーキットに応援に来て下さったスーパーフォーミュラファンのみなさまに、レースを見せられなかったのは非常に残念でした。

 もともと日曜日は天候が崩れるという予報もあり、後方からスタートする僕はウエットレースを期待していたので、お昼前から雨が降り出したときは、これはチャンスと思っていたんです。
 ただあそこまで雨が降ってしまうと、フォーミュラカーで走るのは非常にチャレンジングな状況でした。実際、8分間のウオームアップ走行後、グリッドに向かう1周でも、低速からホイールスピンを起こしていたし、クルマを降りてきた他のドライバーたちとスタンディングスタートになるとかなり荒れる展開になるよね、と話していました。
 正直なところセーフティーカースタートと聞いたときは残念でしたが、雨足が強くなったことを考えると間違っていなかったと思います。

 ただこのセーフティーカーランも大変でした。ただでさえ雨で前が見えないし、クルマは滑る上に、僕は電気系統のトラブルとも戦っていたんです 苦笑。
 セーフティーカーランがスタートした直後から、突然ステアリングホイールのディスプレイが消える症状が出始めたんです。しかもディスプレイが落ちているときはギアがニュートラルになってしまうのでアクセルを踏んでも前に進みません。
 チームに無線で状況を伝えると「ニュートラルになるのはステアリングホイールがきちんとはまっていない症状なので、ステアリングホイールがきちんと奥まではまっているか確認してほしい」という指示がありました。
 走行しながらステアリングを叩いてみたり、奥まで押し込んでみたりしたんですけど、しっかりはまっているし、でも症状は直らないので、ともかくまずスペアのステアリングに交換するためにピットに入りました。
 スペアのステアリングホイールに交換しても状況は変わらず、もう一度最初に使っていたステアリングに戻すことになって、2回目のピットインをしました。
 その時、念のためステアリングやステアリングコラムにエアを吹いて、もし水が入っていたら飛ばすような作業もしたんですが、コースに戻るとやっぱりだめで。最後にもう一度スペアのステアリングに戻してコースに戻ると、ステアリングを左に切ったり、急にハンドルを切ると確実にステアリングの機能が落ちることが分かりました。
 幸いそのまま赤旗になったので、コース上でクルマからステアリングコラムを抜いて配線をチェックすることができました。当初は、雨がひどいので何らかの理由で水がステアリングかコラムに入ったことを疑っていたんですが、実際は原因はまったく違い、電装ケーブルが断線していました。
 レース再開に向けてその場で修理できたので、もしあの後再スタートしていたら問題はなかったと思います。今回はセーフティーカーラン中の出来事だったし、雨でレースが短縮終了していたので、あまり目立たないトラブルですが、通常のレースであれば、たぶん1周も走ることができずリタイアしていたと思います。

 2レース終わってノーポイントという展開はまったく想像していませんでした。
 オフシーズンのテストの速さがなくなってしまったのには、なんらかの理由があるはずです。
 岡山の予選では、タイヤにまったくスイッチが入りませんでした。アウトラップをかなり速く走ってタイヤへの入力をきつくしたり、内圧を調整したりと、できる限りいろいろとトライはしました。それでもまったくグリップ感がなかった。こんな予選はもう2度とゴメンです。
 ただ、おかげさまで今回の予選結果を受けて、自分のなかで開幕からこうなんじゃないかと思っていたことが確信に変わりました。次の富士ではこれまでずっとアプローチしてきたことからガラリと方向転換します。幸い次のレースまで丸々ひと月以上の時間があるので、この時間をチームと有効に使いたいと思います。
 個人的には、まず一旦頭をスーパーフォーミュラからWECに切り換えてルマン24時間を戦ってきます。フランスから最高の結果を報告できるように頑張ってきます。
引き続き応援よろしくお願いいたします。

  • ピット練習をする小林可夢偉とチームスタッフ
  • ピットでの小林可夢偉
  • 岡山国際サーキットで練習走行する小林可夢偉
  • 岡山国際サーキットで練習走行する小林可夢偉
  • コクピットに収まる小林可夢偉
  • スターティンググリッドにつく小林可夢偉
  • レース終了後ピットで話す小林可夢偉、ナレイン・カーティケヤン、ジェームス・ロシター、山田健二監督