チャンピオンの肖像
~7人の証言者が語る石浦宏明のスピリット~
2017年、激戦の続いた全日本スーパーフォーミュラ選手権を制したのは、石浦宏明選手でした。
2015年に続き2度目のチャンピオンであり、2016年もランキング5位でチームの初タイトルに貢献しており、近年のスーパーフォーミュラにおいて"強さ"が際立つ存在となっています。
その石浦選手の"強さ"の秘密、そして彼の人柄を探ってみたいと、ご本人ではなく、7人の関係者から"石浦宏明"を語っていただきました。そこから描き出されたのは、果たしてどんな姿でしょうか?
前編「普段はクールに、そして時に発露する情熱」
2度目のチャンピンとなった石浦宏明選手を語っていただく1番手は、チーム総監督として、彼を間近で見てきた浜島裕英さん。続いて、石浦選手をファインダー越しに毎戦見つめる全日本スーパーフォーミュラ選手権オフィシャルフォトグラファーの小林稔さん。石浦選手が若き時にステップアップを支援したレーシングドライバーの服部尚貴選手。立場や付き合い方の違う3人は、チャンピオン石浦選手をどう見ているのでしょうか?
後編「クルマを知り、極め、レースに挑む日々」
続いて証言をいただくのは、スーパーフォーミュラの実況を通じて石浦宏明選手を皆さんにお伝えしているアナウンサーのピエール北川さん、石浦選手の使用するトヨタエンジンを担当するTRDの増田亮エンジニア、SUPER GTではチームメイトとして2人でタイトルも獲った大嶋和也選手、そして国内トップフォーミュラで4度のタイトルを獲り、現在はスーパーフォーミュラの解説などを行っている本山哲選手。そこには、チャンピオンの走りの秘密が垣間見えてきます。
番外編「石浦本人が今シーズンと7人の証言に対して語る」
スーパーフォーミュラで2度目のチャンピオンとなった石浦宏明選手。今回、その"強さ"を探るため、彼をよく知る7人にそれぞれの視線から語っていただきました。きっと石浦選手のレーススタイルや人柄を、より興味深く知っていただけたかと思います。でも、本当のところ石浦選手自身がこの証言をどう感じているのか、気になりませんか?「違うよ」なのか「そうなんです」なのか。そこで、この原稿を持ってTGRFの準備で忙しい石浦選手を尋ねてみることにしました。激戦の今シーズンを振り返ると共に、率直な気持ちを語っていただきました。
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プロフィール※順不同
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浜島 裕英
(はましま・ひろひで)
P.MU/CERUMO・INGING総監督ブリヂストンでモータースポーツ用タイヤに携わり、F1タイヤ開発の責任者を務める。同社を退職後の2012年から3年間はタイヤのスペシャリストとしてフェラーリのF1チームに所属。2016年から株式会社セルモに役員として招かれ、総監督としてスーパーフォーミュラとSUPER GTのチームマネージメントを任されている。1952年生まれ。
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小林 稔
(こばやし・みのる)
全日本スーパーフォーミュラ選手権オフィシャルフォトグラファー自動車専門誌「カーグラフィック」のフォトグラファーを務めた後、独立して国内外の自動車やモータースポーツの写真を撮影する。現在、スーパーフォーミュラ、SUPER GTのオフィシャルフォトグラファーを務めると共に、ル・マン24時間など国際レースや海外自動車メーカーの仕事も手掛ける。日本レース写真家協会会長。1955年生まれ。
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服部 尚貴
(はっとり・なおき)
Team Naokiオーナー&レーシングドライバー1966年6月13日生まれ、三重県出身。1990年に全日本F3チャンピオンとなり、翌年から全日本F3000選手権(現スーパーフォーミュラ)にステップアップ。その後、国内トップフォーミュラやアメリカのCART、SUPER GTなどに参戦。一方でTeam Naokiを結成し、若手の支援も行う。現在はトップカテゴリーから引退し、SUPER GTの競技役員を務める。
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ピエール北川
(ぴえーる・きたがわ)
全日本スーパーフォーミュラ選手権公式アナウンサー仲間内でのカート大会で行ったものまね的なレース実況がうけたことが高じて、レースアナウンサーの道へ。ピエールはその時からの芸名で、生粋の日本人だ。鈴鹿サーキット専属などを経てフリーとなり、現在はスーパーフォーミュラとSUPER GTの公式アナウンサーやテレビのモータースポーツ中継の実況を務めている。1970年生まれ。
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増田 亮
(ますだ・りょう)
TRD エンジン開発担当エンジニア(TRD開発部 MSユニット開発室)2005年にトヨタテクノクラフトに入社し、SUPER GTのスープラが搭載する3UZ-FEに携わる。2008年にトヨタ自動車の東富士研究所へ出向してフォーミュラ・ニッポン用RV8Kを、2014年からスーパーフォーミュラとSUPER GT(RC F)用のRI4A(G)を開発。2016年にTRDに復帰し、RI4A開発と共にP.MU/CERUMO・INGINGのサポートを担当。1983年生まれ。
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大嶋 和也
(おおしま・かずや)
レーシングドライバー1987年4月30日生まれ、群馬県出身。1999年に全日本ジュニアカートで王者となり、FTRSを受講。2004年にスカラシップを得てフォーミュラトヨタに参戦し、翌年に王者となる。2007年には全日本F3とSUPER GTのGT300クラスでチャンピオンを獲得(GT300は石浦宏明とのコンビ)。以後、国内トップフォーミュラやSUPER GTのGT500で活躍する。
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本山 哲
(もとやま・さとし)
全日本スーパーフォーミュラ選手権公式アンバサダー&レーシングドライバー1971年3月4日生まれ、東京都出身。1996年にフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)に初参戦。1998、2001、2003、2005年とタイトルを4度獲得。SUPER GTのGT500クラスでも王座3回と日本代表するドライバーだ。現在、トップフォーミュラは引退してGT500に専念。スーパーフォーミュラでは解説者、アンバサダー(紹介者)を務める。