ABOUT SUPER GT

SUPER GTとは

迫力のバトルが最大の魅力!
国内外の高性能GTカーによる
大好評レース

SUPER GT 2020年開幕戦 富士でポールポジションを獲得したKeePer TOM'S GR Supra 37号車 SUPER GT(スーパー・ジーティ)は、高性能な乗用車であるGTカーをベースにしたレーシングカーで行われるレースのシリーズ戦です。"GT"とは「Grand Touring(グランド・ツーリング)」の略称で、元々は長距離を高速に移動できる高性能車を表すグレード(車両の格)です。このためクルマ好きはもちろん、一般にもGTカーは高性能車として名前が知られています。

 このようなGTカーを、さらにレース専用に改造した車両で行われるのがGTレースであり、国内外からも注目される国際シリーズがSUPER GTです。2019年シーズンは44台(GT500クラス15台3車種、GT300クラス29台14車種)の車両、延べ107人の実力あるドライバーが参戦。毎戦平均は48,638人、総観客動員389,110人という、日本のレースシリーズ戦では最大の人気を誇っています。

2020年開催スケジュール

 SUPER GTには2クラスに分けられた車両が同時にレースを行い、レースごとの順位と年間でドライバーとチームのタイトルの獲得を目指します。2020年シーズンは、新型コロナウイルス感染拡大を避けるため、海外2戦の中止など当初のスケジュールを大幅に変更しました。改定スケジュールでは7月に富士スピードウェイで開幕戦を行い、以後、富士、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎの3つのサーキットにて全8戦が行われる予定です。

  • 日本 小山町(静岡県)

    第1戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本 小山町(静岡県)

    第2戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本 鈴鹿市(三重県)

    第3戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本 茂木町(栃木県)

    第4戦 
    ツインリンクもてぎ

  • 日本 小山町(静岡県)

    第5戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本 鈴鹿市(三重県)

    第6戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本 茂木町(栃木県)

    第7戦 
    ツインリンクもてぎ

  • 日本 小山町(静岡県)

    第8戦 
    富士スピードウェイ

全日本GT選手権は1994年に本格始動
2005年から国際シリーズのSUPER GTに

SUPER GTスタートシーン 1994年5月、SUPER GTは全日本GT選手権(JGTC)として富士スピードウェイで初開催されました。この時期はカテゴリー再編期で、世界各地でスポーツカーに代わりGTカーによる選手権が始まっています。実は1993年にも全日本GT選手権が3戦行われましたが、参加台数がとても少なく他カテゴリーと混走する状況でした。そこで多種のGTカーが参加しやすく、ファンにも満足してもらえるシリーズをつくろうと動きが起こり、翌年のJGTC初開催へ繋がったのです。

 その後、観客動員、参戦車種、参戦チームを着実に増やしたJGTCは、2000年にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで初の海外戦(エキジビション)を開催。以後は毎年海外戦を行い、2002年から海外戦もシリーズ戦とし、2005年には国際シリーズ「SUPER GT」と名称も改めました。
※以後、毎年開催スケジュールに海外戦が含まれていますが、2003年はアジア圏でのSARSでマレーシア戦は富士で代替に、2020年は新型コロナウイルスにより海外2戦がキャンセルされて国内戦となっています。

 また、ドイツの人気GTシリーズであるDTM(ドイツツーリングカー選手権)とGT500クラスとで共通となる車両規則"CLASS 1(クラス・ワン)"を協議し、共に2014年よりそれに準じたシャシーを導入。2020年からエンジン形式も共にCLASS 1に従った車両で行われています。

 海外からも注目される国際シリーズであるSUPER GTは、海外各メーカーもGTカーの供給・支援も積極的に行われています。また、ドライバーもF1や世界耐久選手権(WEC)経験者、GTや耐久レースのスペシャリストなどが海外からも集っており、さらにハイレベルなレースとなっています。

GT500とGT300の2クラス制
速度差のある混走が呼ぶ緊張感

SUPER GTはGT500とGT300という速度差のある2クラスの車両が混走する SUPER GTには速さの違うGT500とGT300の2つのクラスが、同時に決勝レースを走り、それぞれの順位を争います。

 上位のGT500クラスは約500馬力のエンジンを搭載することから名付けられました。現在は550馬力以上と言われます。また、車体はクラス共通のカーボン製シャシーを使い、市販GTカーのシルエットを採用したSUPER GTのGT500クラス専用車両としています。

 下位のGT300クラスは、約300馬力を想定して名付けられました。ただし、現在は500馬力以上を出すGTカーも参戦しています。そのため、GT300車両は車種ごとに出力制限や重量調整によって戦闘力を均一化しています。

 このように速度差のある2クラスが同時にレースをすることで、SUPER GTでは常に抜きつ抜かれつの混戦が生じるようになっています。このため、トップが独走状態でも何度も追い越しをする必要があり、ドライバーもチームも、そしてファンも常に高い緊張感のレースに浸ることができるわけです。

GT500クラス

 シャシーやボディカウルはDTMとの共通の車両規則「CLASS 1」に準じ、SUPER GT専用につくられています。車体シルエットなどイメージは、参戦メーカーの市販GTカーがベースです。
 エンジンは、2000ccの直列4気筒直噴ターボというNRE規格のレース専用エンジンです。NREは「ニッポン・レース・エンジン」の略で、トヨタ、Honda、日産が日本の上位レースで使う前提で基準を決めたものです。CLASS 1規則にも採用され、2020年からはDTMでも同等のエンジンが登場します。

GT300クラス / GT3車両

 FIA(国際自動車連盟)が定めるカテゴリーで、自動車メーカーが製造・販売するGTレース車両です。チーム独自の改造は許されず、レースごとのミッションやサスペンションの交換もできません。シャシーやエンジンに厳格な制限はありませんが、レースごとに性能調整を行い車種間の戦闘力を均衡させています。GT500車両に近い最高速を出すものもありますが、コーナーリングのスピードは遅いとされます。

GT300クラス / JAF-GT300

 JAF(日本自動車連盟)が定めるSUPER GTのGT300クラス車両規則です。市販車のモノコックを使用してチームが独自改造し、エンジンの種類も変更できます(車体と同じメーカーをフロントに搭載)。レースごとのミッションやサスペンションの交換ができ、コーナーでは速さを示す傾向がありますが、エンジン出力には厳しい規制もあってストレートが苦手と言われます。

GT300クラス / JAF-GT300MC(マザーシャシー)

 JAF(日本自動車連盟)が定めるSUPER GTのGT300クラス車両規則にあるマザーシャシーを使用した車両です。マザーシャシーとはSUPER GTの運営団体であるGTアソシエイションが販売するモノコックとV8の4500ccエンジン、空力パーツなどの車両キットです。これに各チームが市販車を模したボディカウルを載せます。このため小規模ながら独自技術を持つチームが、安価にレース用GTカーが造れます。

ドライバー2名とチームが
一体で勝利を目指す
単なる速さではなく
チームの総合力が問われる

SUPER GTは2名のドライバーが交代してレースを行う 250~300kmのレースでは、ドライバー2名が交互に1台の車両に乗ります。このため、ドライバー交代のために必ず1回はピットインをする必要があります。301km以上のレースでは、レースによって2回以上のドライバー交代が行われます。ドライバー1名だけのレースなら、その人専用のクルマの特性、操縦環境を作り、レースの結果もそのドライバーの責任です。ですが、SUPER GTの2名制では、エース格ドライバーに合わせたり、互いが妥協したりと、チームによってクルマのセッティングもレース戦略も異なってきます。なお、500km以上のレースでは、3人目のドライバーも認められています。

 レースのピットインではドライバー交代に加え、給油やタイヤ交換も行われることがあります。各チームのメカニックが行う作業もレースタイムに反映されるため、メカニックのミスで大きく遅れてしまうこともありえます。その逆にメカニックの素早い作業でドライバーのミスをフォローすることもあるわけです。個人の結果以上に、チームとしての一体感が求められ、そうなる工夫がSUPER GTでは必要です。1人のドライバーが凄くても勝てない。SUPER GTは"チーム戦"なのです。

毎戦の結果で増える
ウェイトハンディ
シリーズを通した戦略も
必要になる

レース結果によってウェイトハンディが課される SUPER GTの最大の名誉はシリーズチャンピオンです。このため、各レースでは決勝順位に比例したポイントがドライバーとチームに与えられ、その年間合計が最も多い者がチャンピオンとなります。このポイントに併せたSUPER GT独自のシステムとして、ウェイトハンディ制があります。2020年からGT500クラスとGT300クラスのウェイトハンディ制が別になりました。

 GT500クラスはこれまでと同じで、第1戦はなく、第2戦から参戦6戦(全8戦の場合)まではポイント×2kgのウェイト(オモリ)をハンディとして搭載。そして参戦7戦目(先に同じ)はポイント×1kgとなり、参戦8戦目(先に同じ。全戦出場なら最終戦)はノーハンディとなります。

 GT300クラスのウェイトハンディ制は、第1戦と参戦8戦目(全戦出場なら最終戦)のノーハンディは同じです。ただし、第2戦から参戦6戦(全8戦の場合)まではポイント×3kg、参戦7戦目(先に同じ)はポイント×1.5kgのウェイトを搭載になりました。

 またGT300クラスでは上記の通りのウェイトを実際に搭載します。GT500クラスはGT300車両より速度が速いため安全性を考慮し、車両に搭載するウェイトは50kgまでとなります。それ以上は燃料流量リストリクターでエンジン出力を絞ることで、実搭載ウェイトと組み合わせてウェイト数値相当のハンディとします。なお両クラスとも最大ウェイトハンディは100kgです(計算上の累積は制限なし)。

 このようにSUPER GTでは、強い者ほど厳しい状況に置かれる形になります。それを跳ね返す工夫やシリーズを見渡して重要レースを定めるなどの戦略も必要です。速いチームにとっては苦しいことですが、最後は真の実力を存分に発揮して"総合的な最強"を決める仕組みになっています。