ABOUT SUPER GT

SUPER GTとは

世界を代表する多彩なGTカー40台以上がバトル!
SUPER GTはアジアで人気を誇るモータースポーツ

SUPER GT 2023年 第2戦 富士  SUPER GT(スーパー・ジーティ)は、高性能な"GTカー"をベースにしたレーシングカーで行われるレースの国際シリーズ戦です。この"GT"とは「Grand Touring(グランド・ツーリング)」の略で、乗用車では長距離を高速に移動できる高性能なグレード(車両の格付け)として用いられています。このようなGTカーを、さらに走行性を向上させたレース専用とした車両で行われるのがGTレースです。GTレースは各国で行われていますが、日本を中心にアジアで開催されているSUPER GTはアジア圏のみならず欧米からも注目されている人気の高い国際シリーズ戦です。

 2023年シーズンは42台(GT500クラス15台3車種、GT300クラス27台12車種※1)の車両と、国内外で活躍するトップドライバー84名以上が参戦を予定しています。2019年※2の毎戦平均は48,638人、総観客動員389,110人という、日本発祥のレースシリーズ戦では最大の人気を誇っています。

※1:2023年開幕戦のエントリーリスト4月3日版より。
※2:2020〜2022年は新型コロナウイルス禍により観客の入場制限や感染対策が行われていました。このため観客動員データは、2019年を参照しています。

2023シーズンは国内で全8戦を開催

 SUPER GTには2クラスに分けられた車両が同時にレースを行い、クラスごとの順位を毎戦争います。この順位と結果をポイントにして、1シーズンの総計でドライバーとチームのタイトル(チャンピオン)を決めます。

 2023年シーズンは全8戦を開催。4月15日、16日に第1戦が行われ、11月4日、6日の第8戦までを国内6つのサーキット(岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、スポーツランドSUGO、オートポリス、モビリティリゾートもてぎ)で行います。なお、海外でシリーズ戦開催は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、2023年も開催を見合わせています。

  • 日本美作市(岡山県)

    第1戦 
    岡山国際サーキット

  • 日本小山町(静岡県)

    第2戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本鈴鹿市(三重県)

    第3戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本小山町(静岡県)

    第4戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本鈴鹿市(三重県)

    第5戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本村田町(宮城県)

    第6戦 
    スポーツランドSUGO

  • 日本日田市(大分県)

    第7戦 
    オートポリス

  • 日本茂木町(栃木県)

    第8戦 
    モビリティリゾートもてぎ

全日本GT選手権は1994年に本格スタート
2005年からSUPER GTとなり国際シリーズに

SUPER GT 2023年 第1戦 岡山  SUPER GTの前身は、1994年5月に始まった全日本GT選手権(JGTC)です。この前年にも全日本GT選手権が3戦行われましたが、参加台数が少なく独立したレースとしては成立しませんでした。当時、1990年代はスポーツカーのレースがGTカーに変わっていく、カテゴリー再編の時代でした。これまでのスポーツカーシリーズや1993年年の失敗を糧に、日本のレース界では、多種多様なGTカーが参加しやすく、ファンにも満足してもらえるシリーズをつくろうという動きが起こり、翌年のJGTC初開催へ至ったのです。

 その後、観客動員、参戦車種、参戦チームを着実に増やしたJGTCは、2000年にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで初の海外戦(エキジビション)を開催。以後は毎年海外戦を行い、2002年からは海外戦もシリーズ戦として組み入れ、また2005年には国際シリーズとなって、名称も「SUPER GT」と改めました。

※以後、毎年開催スケジュールに海外戦が含まれていますが、2003年はアジア圏でのSARSでマレーシア戦は富士で代替に、2020〜2023年は世界的な新型コロナウイルス禍により海外大会が行えず、国内戦のみの開催となっています。

 GT500クラスに参戦車両を供給するトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)、ホンダ、日産は、近年メーカーの垣根を越えて連携。参戦コストの軽減とドライバーの安全性、サステナビリティなどの面から、エンジン仕様や使用パーツの共通化、空力技術の制限などを競技性や開発技術の追求を損なわない車両開発を行っています。

 またGT300クラスでは、GT3カーと言われる国内外の自動車メーカーが販売するGTレース専用車両と、GT300カー(マザーシャシー含む)と言われるGT3カーと同等の競技性を持つGTレース専用車両で競っています。

※国内のコンストラクター(レースカー製作会社)がベース車両をSUPER GT独自規定で改造したSUPER GT専用のレース車両。

 このようにSUPER GTはユニークでハイレベルな競技性とレース車両性能を両立させ、新しいレース競技のスタイルを日本から発信しています。

GT500とGT300の2クラスが混走
常に追い抜きがある緊張感あるレース

GT500とGT300の2クラスが混走  SUPER GTは「GT500」と「GT300」という2クラスがあります。この速さの異なる2つのクラスの車両が同時に決勝レースを走り、それぞれの順位を争います。

 上位のGT500クラスは約500馬力のエンジンを搭載することから名付けられました。現在は550馬力以上と言われています。また、車体はクラス共通のカーボン製シャシーを使い、市販GTカーのシルエットを採用したSUPER GTのGT500クラス専用車両としています。

 下位のGT300クラスは、約300馬力を想定しています。ただし、現在は500馬力以上を出すGTカーも参戦しています。そのため、GT300車両は車種ごとに出力制限や重量調整によって戦闘力を均一化しています。

 このように速度差のある2クラスが同時にレースをすることで、SUPER GTでは常に抜きつ抜かれつの混戦が生じるようになっています。このため、トップが独走状態でも何度も追い越しをする必要があり、ドライバーもチームも、そしてファンも常に高い緊張感のレースに浸ることができるわけです。

GT500クラス

 シャシーやボディカウルはGTA(SUPER GT運営団体)が定めたGT500クラスの車両規則に則り、SUPER GT専用につくられています。車体シルエットなどイメージは、参戦メーカーの市販GTカーがベースです。
 エンジンは、2000ccの直列4気筒直噴ターボというNRE規格のレース専用エンジンです。NREは「ニッポン・レース・エンジン」の略で、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)、ホンダ、日産が日本の上位レースで使う前提で基準を決めたものです。

GT300クラス / GT3車両

 GT3は、FIA(国際自動車連盟)が定めるカテゴリーで、自動車メーカーが製造・販売するGTレースの専用車両です。チーム独自の改造は許されず、レースごとのミッションやサスペンションの交換もできません。シャシーやエンジンに厳格な制限はありませんが、レースごとに競技団体が性能調整を行い、車種間の戦闘力を均衡させています。中にはGT500車両に匹敵する最高速を記録する車種もありますが、コーナーリングのスピードは遅いとされます。
 TOYOTA GAZOO Racingからは、LEXUS RC F GT3がGT3車両として参戦しています。

GT300クラス / GT300車両

 GTAが定めるSUPER GTのGT300クラス車両規則に沿って制作された車両です。ベースとなる市販車のモノコックを使用してチームが独自改造し、エンジンもベース車と同じメーカー製ならば変更できます。レースごとのミッションやサスペンションの交換ができ、コーナーでは速さを示す傾向がありますが、エンジン出力では厳しい性能調整もあってストレートが苦手と言われます。
 TOYOTA GAZOO Racing公認のGT300車両は、TOYOTA GR Supra、TOYOTA GR86が参戦中で、2023年からはLEXUS LC500hが参戦します。

GT300クラス / GT300MC(マザーシャシー)車両

 GTAが定めるSUPER GTのGT300マザーシャシー車両規則に則した車両です。マザーシャシーとはGTAが企画したモノコックとV8の4500ccエンジン、空力パーツなどの車両キットです。これに各チームが市販車を模したボディカウルを載せます。このため低コストでチーム独自のGT300クラス用の競技車を製作できます。クルマの素性としては、GT300規定車と同等と言われています。
 TOYOTA GAZOO Racing公認のGT300マザーシャシー車両は、TOYOTA 86MCが参戦中です。

クルマやドライバーの速さだけで勝てない!?
SUPER GTはチームの総合力が問われるレース

SUPER GTは2名のドライバーが交代してレースを行う  SUPER GTの決勝レースは、250〜1000kmの距離、もしくは時間制と規定では定められています。2023年のシリーズ8戦では、これまで基本的だった300kmレースが3戦となり、やや長めの450kmレースが5戦と増加しました。

 ドライバーは基本2名で、予選は各セッションそれぞれ1名で走行し、決勝レースも2名共に走行する必要があります。このため決勝では、ドライバー交代のため必ず1回はピットインをする必要があります。また301km以上のレースでは、3名目のドライバーも登録可能です(なお規定の距離を走行しないと選手権ポイントは与えられない)。

 タイヤ交換は大会毎に特別規定で決められ、2023年の300kmレース3戦第1戦岡山と第8戦もてぎがタイヤ交換の義務はなしとなりました(無交換作戦が可能)。また301km以上のレースでは、2回の給油(ピットイン)が義務付けられます。

 このようにSUPER GTは、ドライバー1人制のレースに較べて、勝つために多様な要素をクリアする必要があります。ドライバーの面では2名の相性や妥協も必要で、クルマのセッティングもドライバーに加え、距離や作戦によって異なってきます。また、2〜4時間のレースでは気温や天候などが変化する可能性があり、それにも対応しなくてはなりません。

 また、レース戦略としてピットインのタイミングだけでなく、レースタイムに影響する給油量、タイヤ交換の可否を重要になります。さらに各チームのメカニックが行う作業時間もレースタイムに反映されるため、メカニックのミスで勝利や順位を失うこともありえます。その逆にメカニックの素早い作業で順位を上げる、ドライバーのミスをカバーすることもあります。

 SUPER GTでは、個人の結果以上にチームとしての総合力、一体感が求められ、そうなる工夫がされています。1人だけのドライバーが速くても勝てない。それがSUPER GTなのです。

毎戦の結果で増えるサクセスウェイト
シリーズを通した戦略も必要になる

レース結果によってサクセスウェイトが課される  SUPER GTで最終的に目指すものは、シリーズタイトル(年間チャンピオン)です。このため、各レースの競技結果に比例したポイントがドライバーとチームに与えられ、その年間合計が最も多い者がチャンピオンとなります。

 このポイントに併せたSUPER GT独自のシステムとして、サクセスウェイト制があります。以前は「ウェイトハンディ制」と呼ばれていましたが、2021年より「サクセスウェイト制」と名称が変更されました。

 サクセスウェイト制はGT500クラスとGT300クラスでは、搭載するウェイト指数が異なります。両クラスとも第1戦は搭載ウェイト(オモリ)なし。第2戦から参戦6戦(全8戦の場合)まではGT500クラスがポイント×2kg、GT300クラスはポイント×3kgのウェイトを搭載。そして参戦7戦目(先に同じ)はGT500クラスがポイント×1kg、GT300クラスはポイント×1.5kgとなり、参戦8戦目(先に同じ。全戦出場なら最終戦)は両クラスとも搭載ウェイト(オモリ)なしとなります。

 またGT300クラスでは上記の通りのウェイトを実際に搭載します。GT500クラスはGT300車両より速度が速いため安全性を考慮し、車両に搭載するウェイトは50kgまでとなります。それ以上は燃料流量リストリクターでエンジン出力を絞ることで、実搭載ウェイトと組み合わせてウェイト数値相当のハンディとします。なお両クラスとも最大ウェイトハンディは100kgです(計算上の累積は制限なし)。

 このようにSUPER GTでは、強い者にはサクセスウェイトを搭載します。確かに強者に厳しいですが、それを跳ね返す工夫やシリーズを見渡して重要レースを定めるなどの戦略も必要になります。そして、最終戦はウェイトなしと実力を存分に発揮して"総合的な最強者"を決める仕組みになっています。

2023年よりカーボンニュートラル燃料を導入
競技性を損なわずに環境技術もトライする

 2023シーズンよりSUPER GTはGT500、GT300両クラスの全車がカーボンニュートラル燃料を使用することになりました。この燃料はドイツのメーカーによる環境負荷の少ないバイオ燃料です。

 2022年の最終戦終了後に主要車両で走行テストが行われ、その後はTOYOTA GAZOO Racingをはじめ車両メーカーで、このカーボンニュートラル燃料を用いたエンジンテストが実施されました。そして2023年3月の公式テスト2回から全チームに供給されて、確認、セッティングが進められ、シリーズ第1戦から使用されています。

 この従来のカーボンニュートラル燃料は、従来のガソリンと遜色のない性能を発揮しており、そしてエキゾースト・ノート(排気音)も変わりありません。