LEXUS GAZOO Racing

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SUPER GT 2017年 レース車両解説

SUPER GT 2017年 レース車両解説

2017年はLEXUS LC500で連覇に挑む
車両規定の改定に合わせて新型車両を投入

厳しくなった空力制限を全て見直して克服

 SUPER GTのGT500クラスでは、2014年よりDTM(ドイツツーリングカー選手権)と統一化した国際規格の車両規定で行われているが、2017年に一部改定が行われ、参戦する全車が新型車となった。

 基本の全車種共通のカーボンコンポジット製のモノコックに、ベース車両のシルエットを活かしたボディパネル(カーボン製のカウル)を被せる、という基本コンセプトは変わらず。モノコックに加えてミッションやブレーキ、リアウィングなどに関して、DTMとの共通部品を使用していることも同様。エンジンに関しても2014年から使用される規格、NRE(ニッポン・レーシング・エンジン)と呼ばれる2リッターの直列4気筒直噴ターボという基本も変わりない。

 2017年の改定で重要な点は2つ。まずは空力の制限強化。そして、エンジンのシーズン使用基数の削減である。

 空力に関しては、安全性との兼ね合いであるコーナリングスピードの低減を目指して、ダウンフォースを約25%削減することになった。また、昨年までは高速コースの富士スピードウェイと他のサーキットでは違う空力パーツを使うことが許されていたが、今季からは開幕戦時に使用した空力パーツを全レースで使用することになった。

 ダウンフォースとは空気の力によって走行する車両を路面に押え付ける力。この力が大きくなればなるほど、タイヤのグリップが上がり、コーナリングスピードが高くなる。ただしダウンフォースを上げると、同時にドラッグ(空気抵抗)も上がる。それだけに、高速コースと中低速コースでは、方向性の違う空力デザインが当たり前であった。しかし今年はそうはいかないだけに、基本となる開発能力が問われるであろう。

 LEXUS GAZOO Racingでは、この新たな制限に対応するため、失われたダウンフォースをできる限り取り戻すための空力開発だけではなく、サスペンションを始めとしたメカニカルグリップの向上やエンジン、ブレーキなどの冷却性能向上など、新たに採用したLC500の全てに改良を加えた。

エンジン使用基数の制限で耐久性も重要に

 エンジンに関しては、1シーズンの使用基数が減ることになり、出力の向上だけでなく、より高い耐久性が必要になってくる。昨年まではシリーズ全8戦で3基を使用できた(切替のタイミングは自由)。これが2017年では、1シーズン全8戦で2基となった。

 GT500クラス車両では、2000cc直列4気筒直噴ターボ・エンジンのNREが使用され、各メーカーは市販車開発にも活用できる熱効率(燃焼効率)を引き上げる技術を高めている。今シーズンからはさらに耐久性という、これも市販車開発に通じる技術も競うことになる。

2017年シーズンを戦うLEXUS LC500

シャシー&ボディ

  • ベース車両名称

    LEXUS LC500

  • ボディサイズ

    4960×1950×1220mm(全長×全幅×全高:フラットボトムから)

  • 最低車両重量

    1020kg以上

  • ホイールベース

    2750mm

  • トランスミッション

    6速シーケンシャルパドルシフト 後退1速

  • クラッチ

    カーボン製4プレート

  • サスペンション形式

    F:ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
    R:ダブルウィッシュボーン プッシュロッド

  • ブレーキ

    F:ベンチレーティッドカーボンディスク 6ポッド(AP製)
    R:ベンチレーティッドカーボンディスク 4ポッド(AP製)

エンジン

  • エンジン型式

    RI4AG

  • エンジン仕様

    直列4気筒直噴ターボ

  • 排気量

    2000cc

  • 最高出力

    550ps以上