2019 Rd.2 FUJI

SUPER GT 2019年 第2戦 富士

    難レースを制しLEXUSに今季初勝利をもたらしたZENT CERUMO LC500 38号車の立川 祐路と石浦 宏明

    GT500 予選/決勝

    雨上がりの「ホーム」富士で立川/石浦組LEXUS LC500が逆転勝利!

     SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」が5月3日(金)、4日(土)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。

     悪天候に翻弄された開幕戦の岡山大会から3週間。SUPER GTは恒例のゴールデンウィーク開催となる第2戦富士を迎えました。国内のモータースポーツで最高の人気を誇るSUPER GTの中でも、毎年特に多くの観客が集まるGWの富士大会。今年は特に10連休、そして天候に恵まれたこともあり、2日間で9万人以上ものモータースポーツファンの皆様が集結し、熱いレースを堪能しました。

     前戦岡山大会は悪天候のために長いセーフティカーランの末に2度目の赤旗で短縮終了となりました。今季がLEXUS LC500での参戦ラストシーズンとなるLEXUS勢は予選から苦戦を強いられ、最上位が6位に終わりました。

     第2戦となる富士大会は、通常の300kmよりも長い500kmでの開催。2度のドライバー交代が義務づけられます。開幕戦がハーフポイント獲得に終わったため、各車のウェイトハンデも例年に比べると差のない状況での長丁場のレース、ホームコースであるLEXUS勢の巻き返しに期待がかかりました。

     今大会、au TOM'S LC500 36号車の中嶋一貴はWEC(世界耐久選手権)第7戦スパ6時間のために欠場。代わりにGT300クラスに出場している宮田莉朋が36号車の第2ドライバーとして、GT500クラスにデビューすることとなりました。

    予選

    3日(金)は好天に恵まれ、暖かさを感じる気温22度、路面温度33度というコンディションで午後2時30分より予選が行われました。

     15分間で行われたQ1では、セッション開始から5分ほど全車待機してコースイン。数周でタイヤを暖め、セッション終盤にタイムが更新され、順位が目まぐるしく入れ替わっていきました。

     LEXUS勢は38号車の石浦がまず1分27秒台に入れてトップに立つと、KeePer TOM'S LC500 37号車の平川亮が好タイムでこれを塗り替えました。しかし、その後ライバルに0.007秒上回られ、平川が2番手、石浦が3番手、そして、前戦は予選、決勝共に走行のチャンスがなかったDENSO KOBELCO SARD LC500 39号車の中山雄一が初のGT500クラス予選アタックで見事7番手タイムをマークし、Q2進出を果たしました。

     WAKO'S 4CR LC500 6号車の大嶋和也は僅か0.037秒及ばず9番手。36号車が11番手、WedsSport ADVAN LC500 19号車が14番手でQ1敗退となりました。

     Q2(10分間)は15時33分から開始され、やや路面温度も下がる中、セッション終盤に僅差での激しいアタック合戦が繰り広げられました。LEXUS勢ではQ1でも最上位につけた37号車のニック・キャシディが、これまでの予選コースレコードを上回る好タイムをマーク。ライバル勢もレコードを更新し食い下がりますが、キャシディのタイムには届かず、ポールポジション獲得かと思われましたが、最後の最後に上回られ、37号車は最前列2番手グリッド。ヘイキ・コバライネンがアタックした39号車が5番手、立川祐路の38号車が7番手グリッドから明日の決勝に臨むこととなりました。

    決勝

    4日(土)も午前中までは好天で、昼のウォームアップ走行時は暑いほどのコンディションでしたが、スタート前のグリッドウォーク中に雨がぱらつき始め、午後2時半の決勝スタート時には路面はウェットコンディションに。雷雨の予報もあり、各チームタイヤ選択に悩むこととなりました。

     雨の中、セーフティカー先導で500kmで争われるレースがスタート。2周を終えたところでグリーンフラッグが振られ各車全開でのバトルが開始されました。

     LEXUS勢最上位の2番手からスタートを切った37号車キャシディは、水煙の中で前車をかわし首位浮上。後方では7番手スタートの38号車立川が好スタートを切り、4位争いを展開しました。

     その後、雨が強くなっていき、37号車キャシディはコースオフを喫するなどで3位へと後退。変わって13周目に38号車が首位に立ちました。その直後、強くなった雨のためにセーフティカーが導入され、15周目にレースは赤旗中断。

     30分ほどの中断を経て午後3時30分過ぎにセーフティカー先導で走行が再開されました。冷え切ったタイヤを温め直し、19周目、残り92周でバトルが再開。38号車、37号車とライバルによる三つ巴の首位争いが繰り広げられました。

     その後路面は乾いていき、40周目終了時に38号車がピットイン。立川から石浦へとドライバーチェンジ。ほかの車両も次々にピットインし、全車が1度目のドライバー交代を終えた時点で38号車が2位、ピットアウト直後にコースオフを喫した37号車は7位、中山雄一へと交代した39号車が8位で中盤戦を迎えました。

     LEXUS勢はピットアウト直後は苦戦したものの、タイヤが充分に暖まってからはライバルを上回るペースでの追い上げを開始。59周目には38号車の石浦が首位を奪還しました。

     前戦岡山では予選、決勝共に走るチャンスのなかった39号車の中山雄一は、7位でコバライネンから39号車のステアリングを引き継ぐと、次々にライバルをパスしていき68周目には元F1チャンピオンのジェンソン・バトンが駆るNSX 1号車をパスし4位へポジションを上げて、コバライネンへと再び交代しました。

     78周終了時点で首位を行く石浦の38号車もピットイン。しかし、このピットのタイミングでライバルの先行を許し、立川は2位でコースに復帰。立川は4秒以上あった首位との差をじりじりと詰めて行き、残り15周でテール・トゥ・ノーズの状態まで持ち込みました。

     ベテラン同士の見応えある首位争いが数周にわたって繰り広げられましたが、「富士マイスター」の称号で知られる立川が残り12周、99周目のTGRコーナー進入でついに逆転。首位に立つと、その後は後続を引き離していきました。

     その後方では、4位のコバライネンがライバルをかわして表彰台圏内の3位に浮上。しかし、終盤になると別のライバル勢の猛追を受け、必死の防戦を繰り広げましたが惜しくもかわされ、4位へ後退。

     立川の38号車は、最後は2位に約20秒もの大差をつけてトップでチェッカー。2017年の第2戦富士500km以来2年ぶりとなる勝利を石浦と共に飾りました。39号車は4位。37号車が7位、6号車が8位でポイント獲得を果たしました。

    優勝を果たしたZENT CERUMO LC500 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)
    優勝を果たしたZENT CERUMO LC500 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)

    DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車(ヘイキ・コバライネン/中山 雄一)
    DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車(ヘイキ・コバライネン/中山 雄一)
    ZENT CERUMO LC500 38号車 ドライバー 立川祐路

    最初から最後まで気の抜けないバトルの連続でしたが、本当にいいレースが出来たと思います。今シーズン新たな体制で臨むこととなり、新たな責任と絶対に勝たなくてはというプレッシャーもありました。開幕戦が厳しい結果に終わり、TRDやチームも頑張ってくれて、富士で勝たなくてどこで勝てるんだという思いで臨んだので、実現できて嬉しいです。昨日の予選がタイヤ選択などが上手く行かなくて中団グリッドに沈み、今日は微妙なタイミングでの雨でどうなるか分からない状況でしたが、思いのほかスタートで前に出られたのは良かったです。ただ、ドライになってからはライバルと最後まで気の抜けないレースでした。

    ZENT CERUMO LC500 38号車 ドライバー 石浦宏明

    とにかくほっとしています。このシーズンオフにチーム体制などが変わり、自分の責任も増えてという状況で臨んだシーズン、この第2戦が一番チャンスがあるので勝ちに行こうと立川さんとも話していました。ホームですし、僕らも得意のサーキットなので、絶対にここで結果を残すという気持ちが2人とも走りに出せたかなと思います。すごくいいレースが出来て、本当にチームの皆に感謝しています。

    SUPER GT 2019年 第2戦 富士 決勝結果:GT500
    順位 No. 車名 ドライバー 周回 ベストラップ 所要時間/差 タイヤ ウエイト
    1 38 ZENT CERUMO LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    立川 祐路
    石浦 宏明
    110 1'30.230 3:40'46.358 BS 3
    2 23 MOTUL AUTECH GT-R
    NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
    松田 次生
    ロニー・クインタレッリ
    110 1'30.120 19.693 MI 17
    3 1 RAYBRIG NSX-GT
    Honda NSX-GT / HR-417E
    山本 尚貴
    ジェンソン・バトン
    110 1'29.709 44.890 BS
    4 39 DENSO KOBELCO SARD LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    ヘイキ・コバライネン
    中山 雄一
    110 1'30.794 45.809 BS
    5 17 KEIHIN NSX-GT
    Honda NSX-GT / HR-417E
    塚越 広大
    ベルトラン・バゲット
    110 1'30.599 46.972 BS
    6 3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
    NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
    平手 晃平
    フレデリック・マコヴィッキィ
    110 1'30.931 1'16.405 MI 8
    7 37 KeePer TOM'S LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    平川 亮
    ニック・キャシディ
    110 1'30.596 1'28.019 BS
    8 6 WAKO'S 4CR LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    大嶋 和也
    山下 健太
    109 1'30.572 1 Lap BS
    9 8 ARTA NSX-GT
    Honda NSX-GT / HR-417E
    野尻 智紀
    伊沢 拓也
    109 1'30.355 1 Lap BS 20
    10 64 Modulo Epson NSX-GT
    Honda NSX-GT / HR-417E
    ナレイン・カーティケヤン
    牧野 任祐
    109 1'30.271 1 Lap DL 1
    11 16 MOTUL MUGEN NSX-GT
    Honda NSX-GT / HR-417E
    武藤 英紀
    中嶋 大祐
    109 1'30.870 1 Lap YH 4
    12 12 カルソニック IMPUL GT-R
    NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
    佐々木 大樹
    ジェームス・ロシター
    108 1'30.834 2 Laps BS 11
    13 19 WedsSport ADVAN LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    国本 雄資
    坪井 翔
    107 1'31.213 3 Laps YH 5
    14 24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R
    NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
    高星 明誠
    ヤン・マーデンボロー
    103 1'30.423 7 Laps YH 6
    36 au TOM'S LC500
    LEXUS LC500 / RI4AG
    関口 雄飛
    宮田 莉朋
    61 1'30.908 49 Laps BS 2